決闘の申し込み
俺達は帝国へと戻ると兵士達が門で待っていて「ベルスターズ・レイ・ロナメス様から任務完了の報告を頂きました。よくぞ任務を達成してくれました」敬礼されて俺は頭を下げると兵士に一瞬睨まれた気がした
「?」
ミランダが話掛けてくる「気にしないでレイヤール、ちょっと兵士達はドラゴンに対して複雑な心境なのよ」
エルローラがミランダに少し落ち込んだ感じで話しかける「それって先日にあったドラゴンに殺されてしまった兵士って話しですよね・・・?」
リュウビが頷いて「兵士達は意外と仲が良い連中も多いからなぁ・・・拗れみたいなもんがあるんよ。それに今回の事件はドラゴンによって起こされた被害だったはずなのに、結局の所、あの化け者オッサンやった訳やし、ドラゴンに殺された兵士の件は解決せえへんかったからなぁ」
ミランダが頷いて「だからエルローラちゃん・・・レイヤールにしばらく回りから色々と複雑な気分にさせられるでしょうけど・・・しっかりフォローしてあげてね」
「は、はい」
俺としては嬉しいやら悲しいやらだな・・・そんなんで複雑な心境にならないって・・・
帝国の広い街を兵士たちに案内され、城までたどり着いた、城の周りには断崖絶壁の堀があり、そこに一本だけ大きい可動式のかけ橋があるだけで地上から攻めるのは困難な構造の城だった
そして架け橋が掛かり中へと入る
中はフリース国王の城なんかくらべものにならないほど豪華で、広く天井も高く教会のような印象の室内だった、そして奥の大きい大王にふさわしい椅子に座る女性が居た
頭から白く長い髪が伸び、毛先は染めているのか毛先から青く染まってグラデーションになっている髪が特徴の皇女様だった
「童は第一皇女、エミルス・バーミリンオンだ。レイから報告は受けている不死の化け物を始末したと・・・ご苦労であった」
そういうとすぐに椅子に座り、嫌そうに俺を見ている
俺も早々に出ようとすると話しかけてくる「お前のようなドラゴンが・・・」と怒り気味に少しだけ呟いた
リュウビが呆れて「ホンマ皇女様はドラゴンに対して相当に恨みをお持ちですな。あのドラゴンはレイヤールはんと全く違うドラゴンだって言うのにな」
皇女は立ち上がり「何が言いたい!?」
リュウビは振り返り「あの黒い邪竜とレイヤールはんは全くの別人みたいなもんや、それなのにドラゴンの種族にまで恨みおって・・・皇女様は頭が良いと聞きましたで。それならご自分でも他のドラゴン達を責めるのは、前皇帝さんと同じような考えちゃうんですか?」
エミルス皇女は歯ぎしりした後椅子に座り「もうよい・・・童が悪かった、早々に出て行け・・・」
俺達は城から出るとリュウビが嫌々そうに「全くホンマ、アタマが硬いのは前の殺された皇帝とそっくりやな・・・」
ミランダが溜息を吐いて「本当ね・・・ドラゴン皆が皆悪い訳じゃないのに・・・」
俺がエルローラに「邪竜って言ってたよな?」
エルローラが頷いて「私もミランダさんの書庫を調べている時にちょっとだけ見たことあるわ、ドラゴンの中でも最も最悪の部類それが邪竜、歩くだけで不浄の土地を作り、降伏した人々は姿を変えさせリザードマンとして使役させ、世界を暗黒に染めたって言う話よ・・・数十年前に行方不明になったきり出現しなくなった事から民衆はその事を忘れ始めているわ」
そこでミランダが補足してくれる「それで10年前ほどだけど、ここの国にも邪竜擬きが現れたのよ、人々を使役する事とかは無かったけど・・・それでも強くて帝国は大損害を受けたの・・・レイはその時戦って皇女様を守り切ったって話しがあるんだけど・・・皇女様がどうしてドラゴンを恨むのかはレイしか知らないの・・・色々説があるけど、きっと恋人を殺されたんじゃないかって話しが有力ね」
エルローラが頷いて「もしレイヤールを殺した人が現れたら・・・確かに・・・私もその人が許せるか分かりません・・・」
俺は慌てて「ちょ、エルローラまで物騒な事言うな」
エルローラが笑って「レイヤールは不死だからちょっと安心しちゃってるけどね」
レミウスが溜息を吐いて「家も母親が病死した事があるけど・・・それが誰かに殺されていたら・・・私も許せるもんじゃないからね」
レイメストが暗い空気を見て「レイメスト・・・ここの空気嫌い・・・あの白青っぽい髪の人も・・・剣士の人も皆、悲しみ背負ってる」
エルローラがレイメストを撫でて「どうして悲しみがあるって分かるの?」
レイメストが言う「頭の上に暗くて雲みたいなものがかかってる」
感情が見えるのかもしれないな・・・レイメストには
俺がそう思っているとレイが戻ってきた「いやー・・・戻った戻った・・・悪いね!きっと皇女さんめっちゃ機嫌悪くなってるでしょ?」
ミランダが腕を組んで溜息を吐いて「めちゃくちゃね・・・それじゃレイ私達はこれからどうすればいい訳?」
レイが俺の目を見て来て「よし・・・レイヤール決闘まで後残り3カ月にしよう!」
俺とエルローラは固唾を飲む
レイが頷いて「レイヤール、お前もあのオッサン喰らって体も成長した、もう俺と対等に戦えるだけの力を有しているはずだ・・・それを引き出せるかがお前の勝負だがな・・・」
俺はレイを睨み「もし俺が勝ったら・・・?」
レイは笑って「ある仕事を一緒にやってもらって後は自由に生きるといい」
エルローラが胸に手を当てて心配そうに聞く「もし負けたら・・・?」
レイは珍しく真面目な顔で告げる「レイヤール・・・お前を封印する」
エルローラが猛反発して「どうしてですか!?だってレイヤールに害は!--」
レイは下を向いて「エルローラちゃん・・・いずれ話さないと思っていたけど・・・エルローラちゃん・・・考えた事はないかい?『もし不死の力が手に入るなら』『絶対無敵の力が手に入るなら』こうゆう欲望がレイヤールも君も苦しめると俺は踏んだからだ。レイヤールの存在を隠し続けれるのは難しい・・・やがて大きな戦争が起きる。レイヤールを掛けてな」
俺も否定はできなかった、人間とはどこまでも生きようとする。俺の前世じゃ、生きるのも辛い世界だから不死なんて聞いたらゾッとしちまう人の割合が多いだろうが
だが俺を掛けた戦いはアーベンヘルツで一度だけ起きている・・・レイの考えが間違っているとも言い切れない
エルローラは強いまなざしで「レイヤールを封印なんて私が許しません!!この身が滅ぼうともレイヤールを守ります!!」
レイは悲しい顔で「そんな事をしてみろ・・・レイヤールはどうなる?」
エルローラはハッとすると下を向いてレイが言う「逆に考えろエルローラちゃん、もしレイヤールが死んじまったら自分はどうする?」
「辛くて・・・死にたくなる・・・」
そしてレイが目を瞑り言う「レイヤールは死ねない」
「!!」
レイは遠い空を見て「そうゆう事だ・・・世界がお前達の敵になる前に・・・俺はお前達に最悪の終わり方を迎えて欲しくない・・・だから決闘で俺にお前達の強さを証明してみせろ、『自分達は世界の思い通りになどならない』ってな、俺を打ち負かす事ができるだけで世界はお前を恐れる、1人軍隊を倒したドラゴンってな・・・それに俺自身最後の仕事をやり遂げる力があるか試したい所もある」
俺は初めてレイの本音を聞いた「お前・・・初めから俺達を試していたのか・・・これから起きうる最悪の未来を回避する為に・・・」
レイは苦笑いして「するもんじゃないね~ガラじゃないことは・・・とりあえず俺に勝て!それができなきゃお前は世界に舐められて好き放題される。俺だっていつまでも守ってやれる自信は無いし、”備える事”があるしな・・・俺がお前を封印して2度と誰にも手に触れられないようにしてやる・・・この世界にドラゴンの目撃情報がほとんどないのは人間達に利用される事を恐れたから自滅したってのが俺の考えだ。だからレイヤール強くなって俺を倒してみろ、それができなければエルローラの悲しみを増やすだけだ」
「レイ・・・」俺は自分の手を見て決心した「分かった・・・リュウビ・・・世話になった・・・これからは俺一人で戦い、スキルを身に着ける」
俺は背を向けて大きくなった翼を羽ばたかせ、飛び立つ
エルローラは走って俺に叫ぶ「私も!!私も強くなってレイヤールを安心させられるように頑張るから!!それまで・・・それまで絶対にあきらめないで!!」
――――――
10分後・・・
帝国全土が見渡せる山の上で
リュウビが溜息を吐いて「ホンマにどっか行っちまいやがった・・・よかったんか?レイはん?」
レイは嬉しそうに笑い「あぁ・・・レイヤールの奴がお前にくっついているとお前の癖が出る・・・だから自己流で育った方がアイツには丁度いい・・・それにだ・・・基礎はお前が教えた・・・応用はアイツ自身の方が良いはずだアイツは頭が良い」
リュウビがムッとした顔をして「なんやそれ・・・俺が馬鹿みたいな言いぐさやな・・・」
レイは夕焼けの空を見上げて思う『レイヤール、世界はどうしようも無く強い・・・俺を乗り越えた時、お前は世界と戦うのではなく、世界を救う救世主になるかもしれん・・・』レイは振り向いて山を下り始める




