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強くなる為に

俺は帝国から少し南下した所にある小さな廃墟の砦を借りていた


帝国の戦争期に建てられた物で新しい砦が建設され、ここの利用価値が無くなった為、廃棄された砦だ、石も手入れされていないため駄目になり、鉄は錆びて使い物にならない、触ると壊れる程だ。


だが剣や武具を作る為の鍛冶を行う事も十分できる設備はあった


俺はそこにあったボロボロの紙に羽ペンで書きあげて行く


俺は考えた、何が俺の力で、何が駄目なのか


まず弱い部分だ

『継続戦闘力が無い』

『魔力に頼った戦術』

『通常攻撃は人並程度しかない』


この3つだ、逆に強い部分だ


『俺が転生者である事』

『魔気を使える事』

『俺がドラゴンである事』

『俺は死なない事』


これらだ、紙に記して考えた所、俺は武器を作ろうと考えた。

俺に合った、俺専用の武器


レイだってとんでもない武器を持っているはず・・・それに対抗する為に・・・


俺は設計図を書き始めた、俺の理想は拳に装着し、魔気と通常攻撃を使い分ける事ができるガントレット・・・そしてそこにパイルバンカーを装備し、火薬の力で鉄の槍を相手へと叩きつける仕組み


俺は書き上げてみたが、構造上俺の魔気の熱量に耐えられるかどうか微妙だ

ジョイント部分が熱で溶けるんじゃないのか?


少しテストしてみよう・・・


俺は砦で大砲を固定していたと思われるレールを取って、大砲側のレールを取り合わせてみるとピッタリだった


そして俺の腕に当てて魔気を使ってみる


ジュウゥゥゥウ・・・

鉄が溶け始めて使い物にならなくなった


「やはり鉱石から見直さないと駄目か・・・」


俺は鍛冶場で色々鉄を溶かして形を変えてみた


俺の手は魔気で鉄を溶かせる為、鉄が粘土のように思うがままに加工ができた


まずPCの基盤や、モーターの熱管理などで使われるヒートシンクの原理で形を変えてみる。ヒートシンクとは鉄に風通りを良くする事で熱を逃がしやすくる方法だ


腕に装着してみて魔気を使ってみると、ヒートシンクの部分が真っ赤に染まり、熱を放出している、だがやはり根本の部分は柔らかくなっている、衝撃や振動で折れそうだ


「やはり鉱石から見直さないと駄目か・・・」


俺は鉱石について詳しくない、この世界にどういった鉱石があるのか知らない


『エルローラが居てくれれば・・・』そう思うと砦の外が何か騒がしい


俺が砦の覗き窓から見てみるとエルローラとミランダが歩いてきているレイメストも一緒だ


「エルローラ!どうしてここに!?」


エルローラはニッコリと笑って「レイヤールが1人で何かしようとしても限界があるだろうなって!」


ミランダも頷いて「実はね、私からエルローラちゃんに伝える事は全て伝えて完了してしまっているんだ、だからエルローラちゃんがレイヤールの役に立ちたいって転移したのさ」


エルローラが頭を下げて「ミランダさん・・・色々とありがとうございました・・・」


ミランダは万増そうに笑って「決闘まで残り2カ月半・・・エルローラちゃんレイヤール、頑張ってね!私は自宅へと戻ってエルローラちゃんが色々と作り上げた物をじっくり調べて研究させてもらうから・・・それじゃ!」ミランダが手を振り出てきたと思われる転移門に再び入っていく


「それではミランダさん!」


レイメストも元気よく手を振り「またねー!!ミランダさん~!!」


ミランダが転移ゲートに入って消えて行く、最後もニッコリ笑って手を振って消えて行った


エルローラが気を取り直して「さて!レイヤール!私にできる事はあるかな?」


「あぁ、大助かりだ、実は俺の武装について設計していたんだが・・・熱問題がどうにも克服できなくてな・・・鉱石に関する知識が欲しかったんだ」


エルローラが少し考えた後に頷いて「それなら・・・ちょっと待ってね!」


エルローラが周囲の魔力を使い、腕に意識を集中させ


呪文を唱える「古文書検索アーカイブ・・・」


エルローラの周囲にホログラムでモニターが形成されまるでハイテクな時代の端末でも扱っているような感じになる


「おぉ、すげぇ」


そしてエルローラが検索をかけてしばらく画面をスクロールすると頷いて「うん!いいのがあるわ!鉱石の名前はレッドパールストーン。耐熱性に優れて、摂取4000度まで耐えられるそうよ、でも耐熱が凄すぎて加工が難しいから、鍛冶屋は扱えず、価値も低いみたいで採掘されている所は無いみたいね・・・」


「取れる場所は?」


エルローラが画面をスクロールして調べると「うーんっと・・・っあ!意外に近いわね!ここから5kmほどの場所よ!」


俺も翼を動かして準備して「よし・・・それじゃ飛ぶか」


俺が翼を羽ばたかせるとエルローラが驚いて「飛べるの!?」


「昨日飛んで行ったの見てただろ?」


エルローラが嬉しそうに背中に乗ってきてレイメストも乗ってくる

レイメストが俺の背中に抱き着くと俺の辺りをクンクン嗅いで「やっぱりパパの臭いがする~」


俺が後ろにゆっくりと首を動かして「そ、それって臭いとか?」


レイメストが首を振りスリスリ顔を俺の背中に擦り付けてきて「パパの優しい匂い・・・」


そうか・・・確か俺の親父とミー派の母親なんだもんな・・・もしかしたら俺と血が繋がっている可能性だって・・・まぁいいや、ドラゴニューラ族の事は後だ、今はレイを倒す・・・


俺が飛び立つとエルローラが風を受けて髪に手を当てて嬉しそうに笑い「懐かしいね!」


「あぁ・・・確かにな・・・俺が魔獣を喰って大きくなった時以来か」


エルローラが遠い目で空を見て「随分と私達強くなったわよね・・・」


「まぁな、でもそれでもレイに勝つには足りない、俺の考えているパイルバンカーのガントレットができれば・・・奴に少しなりとも対抗できるかもしれない」


エルローラが思い出して胸をゴソゴソ探り、青い宝石を取り出す


「ブルークレストのペンダント!まだ持っててくれたのか!」


エルローラは嬉しそうにペンダントを握ると「うん!だって・・・私が初めてこの世に生まれてきて良かったって思えた瞬間だったから・・・」


レイメストがそのペンダントを見ると嬉しそうに笑い「このペンダントに幸せの匂いがたくさんついてる!」


エルローラがレイメストを撫でて「私の幸せの匂いねきっと・・・」


「エルローラ・・・」


レイを倒して必ず俺は平穏を掴んでみせる・・・エルローラと一生自由に生きて行くんだ


そう思っていると、鉱山が見えてきた


「レイヤール!あそこがそうみたいよ!」


見るからに火山があり、暑そうな地帯だ


「エルローラ、ガスとかは大丈夫なのか?」


エルローラが杖を取り出して「私はもうすご腕の魔法使いよ?甘く見ないでね」


「お、おう・・・」頼もしいなエルローラどこぞの緑髪の女とは大違いだ



――――――


火山へと入って見るとまだマグマが活発に動いていて危険な場所も多い、レイメストはなぜか活発になっている


「やほー!!エネルギー!!エネルギー!!!」レイメストが辺りを子供のように両手を上げて駆け回っている


俺が指差して「なんでレイメスト元気になってんの?」


エルローラが苦笑いして「きっと、レイメストは精霊の加護の力を強く受ける性質があるみたいだからかな・・・?ここは精霊達ってすごく大地にエネルギーがあるみたいだから・・・」


俺も納得が行った「まぁ火山だしな」


エルローラが地面に気づいて「っと・・・あったわよ~レッドパールストーン」


俺が驚いて振り向いて

「っえ!?もうですか!?」


エルローラが持っている石は本当に真珠のような真ん丸で、少し赤みがある石だ


良く見ればボロボロ落ちている


「お、おい・・・鉱石がこんなにゴロゴロしていていいのか・・・?」


エルローラが頷いて「そうだねー・・・価値がある物は持って行くだろうから、必要無いでしょうね」


俺がバックに詰め込んでいると、レイメストの髪が真紅の色に染まりだした

「パワーパワー!!」


俺が不安そうに見て「エ、エルローラ・・・本当に大丈夫か・・・?」


エルローラも苦笑いして「早く出た方がいいかもね・・・」


レイメストが踊り始めると大地が共鳴して、マグマの勢いが増している


エルローラがレイメストを捕まえて「レイヤール!十分に集まった!?」


俺は慌てて回収して袋に詰め込み「あ、あぁ!」


エルローラがレイメストを俺の背中へと押し込み「レイヤール!いいわよ!」


「ヨッシャ!」翼を羽ばたかせて、足りない推力はブースターを使って飛び上がり、高度を上げて離れるとレイメストも落ち着いきて髪も元通りになっている


エルローラが苦笑いして「本当レイスメトって不思議な事だらけだわ・・・」


俺も頷いて「全く・・・これじゃ落ち着いていられないな・・・」


――――――


砦へと戻り、早速採取してきたレッドパールストーンを溶かしてみる


俺の魔気の熱でドロドロにとかしてテスト用の型に流し込み、温度を少しずつ下げて、ハンマーで叩いて調整する


そして形が出来上がると水に浸けて、取り出し、腕に装着してみる


前のヒートシンクの原理とこの仕組みで耐久できるはず


俺が魔気でガントレットから炎を放つとヒートシンク部分が真っ赤に染まり、熱だれによる強度の減少も無く大丈夫だった


「よし!少々不安点はあるが、これで大丈夫だろう」


エルローラが笑顔で拍手して「やったね!」



俺は設計図のパーツのリストを作って行く


俺のパイルバンカーガントレットの仕組みは、爆発によるエネルギーをパイルバンカーへと伝える事で貫通力と破壊力をメインに考えた仕組みだ、爆薬をカートリッジ式にする事で爆発後は銃のように排莢式にする。それをマガジンとしてセットする事で、利用しようと考えている


それともう一つの問題点としては、パイルバンカーを一度発射した後に鉄の紳引き戻して装填する動作が必要になる。これがどれぐらい痛手になるかは分からないが・・・重量的な問題は俺の筋力であれば問題無い、それにバンカーに装填できる数は5発、それが2丁で合計10発、その後はパージして通常戦闘に切り替えるつもりだ


俺がハンマーを叩いて黙々と作業しているとエルローラが暇そうに丸い木のマルタの椅子に腰かけて暇そうにこっちを見ている


俺は汗を拭い、休憩に入り、エルローラと話そうと振り向くと姿が無く、俺は砦の窓を見ると、レイメストとエルローラが連れている精霊ドラゴンズと何かを作っている


全員で土を耕して何かを植えているようだ


俺が下のフロアへと下りて向かい「何してるんだ?」と聞くと


エルローラは土を見ながら「ミゲル君たちが作ってくれた魔法の種で野菜が育たないかなって・・・レイメストが精霊をここに呼び込んで自然を強くして、私が魔力でそれを調整して植物が育ちやすい環境にしているの!」


言われてみれば先ほどはここに木が無かったのに何本か木が生えている


「すげぇなおい・・・たった数時間でここまで行くものなのか・・・?」


エルローラが嬉しそうに「明日が楽しみだね!」レイメストも頷いて「うん!」


ミゲル達はあちこちを飛び回り種をばら撒いている



本当に朝起きたら森とかになってないだろうな・・・後々問題になりそうで怖い・・・


――――――


翌朝


俺は固い石のベットの上で寝ていると小鳥の鳴き声で目が覚めた


「ん・・・フワァァ・・・ん?」


砦の外の景色が違う


俺が砦の窓から見ると、辺り一面森と化していた、あまりに風景が違い過ぎて、砦ごと転移されてしまったのかと見間違う程変わっている


俺が言葉を失って呆然としているとレイメストが砦の下を走り回っていて「やっほー!自然パワー!!キャハハハ!」と走っている


エルローラが下の木の影から「おーい!レイヤールも下りてきて!たくさん作物がとれたよ!」


俺が下りてみると入口を出た瞬間、冷たい水がぶっかかる


「冷たっ!?」


レイメストがバケツのような物で俺に水をぶっかけてきた「って水・・・?」


耳を澄ましてみると確かに川の後が聞こえる


エルローラがタオルを持ってきて「ここの自然が復活した事で水源が蘇って川ができたんだよ!」


俺はタオルを受け取って拭き取って「そうなのか・・・精霊の力って環境を変える力がすげぇんだな・・・」


エルローラが俺に手渡してきたのはサンドイッチだ

「ん?買ったのか?」


エルローラが苦笑いして「小麦粉から全部お手製で作ってみたの!」


「マジカヨ・・・」とりあえず食べてみると、めっちゃ美味い、野菜しか入ってないのにみずみずしくて甘い」


「っあ、美味っ!」


エルローラがもう一つパンを渡してきた、いちごジャムみたいな物がのっている


「おぉ・・・ジャムまで・・・」


俺が石に座って食べ終えると、森が活き活きとしていて「なぁ・・・エルローラって決闘で勝った後の事って考えた事あるか?」


エルローラが首を振り「ううん・・・全く考えてないわ・・・」


決闘に勝ったとしたら、俺は世界に注目される、危険な存在とみられるか、それでも不死を諦められない者達に追われるか・・・勝ったとしてもこうして定住して幸せに暮らす事は難しいだろうな・・・勝ったとしてもその先は苦しいだけかもしれない


俺が考えているとレイスメトが俺の目の前をバチィイン!と強めに手を叩く


俺がビックリするとレイメストが「レイヤール、苦しい事考えてた!それは良くない!」


そっか・・・レイメストは相手の気分や状態をこうして見れるんだもんな・・・確かに今考えても仕方ない、今はレイに勝って封印される事態だけは避けないと


エルローラが立ち上がり「レイヤール!必要な材料とかあったら言ってね!」


「あぁ!」


俺は作業場へと戻り早速続きを始める



―――――――


黙々と作業を続けてお昼になるとまたエルローラが昼飯を持ってきてくれた、どうやら買い出しに行ってくれていたらしく、ベーコンがのっているパンだ、ここで採れた野菜もある


「おっ、サンキュー!」食べてみるとやはり美味い


「美味いなぁ・・・いろんなところで飯を食ってきたけど、一番素材の質が良い」


エルローラは嬉しそうに笑い「今、芋科の物も作ってるから夕飯楽しみにしててね!」


「あぁ!楽しみにしてるよ!」


俺は再びハンマーを振るい作業に取り掛かる


------


そして1週間俺はパーツの加工に作り続けて・・・


最後のパーツを仕上げ終わる


俺は汗を拭い、よし・・・同じ物を4つ複製したから、これで十分だろう


組立を行い、形が出来上がる、俺の腕にすっぽりとはまり、形はガントレットにパイルバンカーを取り付けた装備だ。ヒートシンク部分を鋭く研いで、剣のように形を整え、ヒートダガーとして活用できるようにも改良した


そして俺は砦に残っていた、砲弾の火薬を使い装填してみる


外で岩に目がけてぶん殴りトリガーを引く


「バゴォォォォォォン!!!」

凄まじい音で岩が跡形も無く粉砕された


エルローラが拍手して「す、すごい!!これ魔法無しでの威力なの!?」


「あぁ、魔力を使わなくとも攻撃力が欲しかったからな」


エルローラは俺を見て「それじゃ、行くの?」


俺は首を振り「まだだ、防具を作る、俺の致命的な所は防御でもある。不死故なのか、俺は歴史で見てきたドラゴンに比べて鱗が無いんだ、防御が必要ない体だからな」


エルローラは頷いて「だから防具を?」


「レイの事だ、きっと何か不死対策してくる」


エルローラは頷いて「私も手伝うわ!何が必要なの?」


「火薬と、耐熱機能がある皮だ」


エルローラが魔法を開いて「古文書アーカイブ!!」


エルローラが調べているとレイメストが耳をピクピクさせて「ママ!なんか人が来るよ!」


「っえ!?こんな所に!?」


俺がガントレットで合掌して「よし・・・悪人だったらコイツのテストでもしてやろうかな・・・」


俺が臨戦体制を取ると


「あぁぁぁぁぁぁ~もう駄目・・・無理・・・」


木の影から出てきたのは土埃つちぼこりに塗れたレミウス


すっかりコイツの事忘れてたわ・・・



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