第99話
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2017年5月30日午前4時15分。刑事課にある捜査本部に着き、岸間と顔を合わせる。
「おはようございます、班長」
「ああ、月井君。おはよう」
「今から仕事に取り掛かります」
「頼んだよ」
岸間がそう言い、自分の座っている椅子に腰かけたまま、パソコンの画面に見入った。この班長もずっと泊り込んでいるのだろう。入浴なども、署内のバスルームで済ませていると思う。殺人などの刑事事件が巻き起これば、所轄は総出となる。大変だった。普段からずっと新宿にいるのだが、この街において警視庁の扱う案件は実に多い。空きデスクに座り、タブレットを取り出して、電源を入れてからキーを叩き出す。USBは差し込んでいた。いつでもデータのバックアップが取れるように……。
午前4時台は夏の朝とあって暑い。端末のキーを叩き、いろいろと探る。岡田徹殺害事件の重要参考人である加納猛は、警視庁が今現在手配中だ。おそらく本庁の一課の連中もかなり手擦るだろう。だが、被疑者と目される加納と警官が接触しないと、事件の核心が分からない。捜査も難渋するだろう。月井は率直にそう思っていた。
午前5時を回ると、デカたちが次々と出勤してくる。今村も午前5時15分には来て、隣のデスクに座った。そしてデスクトップ型のパソコンのキーを叩き始める。互いに仕事をした。もちろん集中して、だ。午前6時には朝の捜査会議が始まる。何かと疲れていたのだが、出席して事件に関するいろんな情報を得ることが肝要だ。月井も胃が痛くなることがあったのだが、頑張らないといけないと思っていた。警察官の底力は、捜査中に存分に発揮される。これは昔から誰もが知っている鉄則なのだが……。(以下次号)




