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新宿  作者: 竹仲法順
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第98話

     98

 2017年5月29日午後10時2分。入浴し終え、タオルで髪や体を拭きながら、バスルームから出てくる。冷たい水を軽くコップ一杯飲み、寛いだ。アラームを午前3時にセットし、午後10時半には眠る。疲れていてすぐに寝入った。

 翌朝午前3時にはアラームの音で目が覚めて起き出し、ベッドを出る。キッチンでコーヒーを一杯淹れて飲んだ。上下ともスーツを着て、顔を洗い、歯を磨く。今日も事件現場担当だ。月井も苦労が絶えないのだが、別にいいやと思っていた。人間はいろんな労苦があって生きていく。所詮そんなものだ。そう割り切り、刑事としての仕事をしていた。

 充電済みのタブレットをカバンに入れ、スマホを持って歩き出す。短眠で疲労を感じていたのだが、朝が来れば自ずと一日が動き出し、否応なしに部屋を出ざるを得ない。駐車場から車を出した。新宿山手署方向へと走らせる。朝の新宿は幾分トーンダウンしていて、盛り場も静かだ。繁華街には朝まで営業する店などもあるのだが、その手の店舗も静まり返っていた。

 車はいくつもの信号機や交差点を抜けて、街の中枢部へと向かう。走りながら、夏の陽気を感じ取っていた。日常でもいろいろあり、仕事が続く。事件捜査自体にマンネリのようなものは感じるのだが、人はいろんなことを乗り越えて生きていく動物だ。月井もそうだった。面白くない類のことも、山ほどあるのだが……。

 午前4時3分。署の駐車場に着き、車を降りて、刑事課内の捜査本部へ入っていく。時間に余裕を持って歩いた。長年刑事をやっていて、この街に慣れてしまっている。月井にとって新宿は体にも心にも馴染んだ場所だ。まあ、警察官などどこにいても、必ず事件には遭遇する。捜査本部へ向かいながら、ずっとそんなことを考えていた。夏の都内の朝の蒸し暑さを感じながら……。(以下次号)


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