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新宿  作者: 竹仲法順
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第94話

     94

 2017年5月29日午後2時33分。月井と今村、蓜島ら現場担当の刑事たちは、岡田徹が殺害されたビジネスホテルの客室の捜索を続けた。疲れていたのだが、ドアノブの指紋・掌紋の照合の結果、加納猛が新たに捜査線上に浮上してきたことで、何とか進めそうだ。

「加納が害者と揉み合いになり、それでマル被が持っていた凶器でマル害の後頭部を殴打した?」

「それが妥当な推理ですね」

 月井の言葉に、今村が頷く。事件を単純化すると、岡田社長を殺害した被疑者は加納ということになる。密室自体は殺害後作ったものと考えられた。月井も室内を歩きながら、他に決定的な事象なり、物証なりを探す。室内に出入りできるのは、ドアからだけだ。加納を引っ張れば、事件は解決かもしれない。

 だが、他の警察官が言うには、加納は綺麗さっぱり蒸発しているということらしい。しかも事件直後から。今現在、警視庁と新宿山手署、お台場署が事件捜査に動いていて、まだ警察は土地勘がある場所しか動いてない。仮に他の所轄が捜査に入ってくるとなると、月井たち新宿山手署捜査本部の人間たちは動き辛くなる。

 午後3時15分。月井はタブレットのキーを叩きながら、情報を端末に入力していく。幾分画面が汗染みていたのだが、使うのに困ることはない。ずっと使用し続けているので、時折ディスプレイを布類で拭いていた。

 加納猛は岡田とトラブルか何かがあったのか?捜査員は皆ずっと考えていた。確かに今回の警察の捜査は後手に回っている。一課長の両角や他の幹部たちが来て、発破を掛けても士気は今一つだ。思う。まず加納と警察が接触することが先だと。警察は容疑者確保のため、絶えずいろんな方策を練るのだが……。(以下次号)


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