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新宿  作者: 竹仲法順
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88/1001

第88話

     88

 2017年5月29日午前6時。朝の捜査会議が本部内で開始され、月井と今村も臨席した。何かとピリピリしている。事件発生後、時が経っているからだ。捜査は思うように進んでない。デカたちも自ずと気が荒くなる。本来ならよくない兆候なのだが……。

 今日は現場の捜査に入る。岡田社長が殺害されたビジネスホテルへ乗り込むことになっていた。疲れはあったのだが、今は気を落ち着ける時だ。会議中もそんなことばかり考えていた。

 会議が終わり、岸間が、

「月井君、今村君、朝飯まだだろ?」

 と言ってきた。

「ええ」

 月井が頷くと、気さくな班長が弁当を二人分差し出して、

「これ食って、捜査に出なさい」

 と言い、笑顔を見せる。各々礼を言って受け取り、近くのデスクで食べた。肉類や野菜類がバランスよく入っている弁当は美味しい。食べ終わり、コーヒーを飲みながら、軽く息をつく。空腹時は何を食べてもイケると、正直なところ思った。そしてスーツのよれを直し、歩き出す。

 夏空から陽が照っている。今日も暑い。現場は署から歩いて数分の場所だ。街を行くと、新宿の雑多さを感じる。特に中枢部は混雑などがあった。月井もいつもここで踏ん張っている。もう長いから、慣れてしまっていた。入庁後、交番勤務などをしながら、新宿に馴染んでいる。

 タブレットを携帯していた。警察官にとってもIT機器は必要不可欠なものだ。思う。捜査でも使うことがあるだろうと。周りにいる刑事たちもノートパソコンなどを持ち歩いていた。デカは皆、賢い。特に一課の刑事たちは捜査では主になるから、しっかりしている。もちろん、月井だって例外じゃなく……。(以下次号)


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