第64話
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2017年5月26日午後4時34分。月井と今村は各々タブレットやパソコンに向かい、内勤をこなす。夕方でも新宿の街は蒸し暑い。捜査会議まで1時間半ほどあるので、情報収集する。捜査は何かと後手に回っていた。岸間も班長席でパソコンのディスプレイを見続けている。殺しのヤマは都内でも日々多数起こっていたのだが、今回の岡田徹・高木梨帆連続殺害事件は一際難しい。ビジネスホテルに遺棄された岡田の持ち物から、データが詰まったと目されるUSBが消えているのが気になる。それに岡田と高木はクラブの客とホステスとして、面識があった。厄介な事件だ。
月井も喉が渇くと、生温いコーヒーを啜りながら、何とか凌ぐ。今村も暑気で喉がひり付くらしい。互いに掻いた汗をハンカチで拭い取りながら、作業する。月井も手元でキーを叩いているのだが、腱鞘炎で何かと痛い。酷使し過ぎないよう、十分気を付けていた。
午後5時を過ぎると、現場の刑事たちが次々と捜査本部へ戻ってくる。刑事課の帳場は人で溢れ返った。月井も時折席を立ち、トイレに行く。外回り中など、排尿すらままならないので。
刑事たちは皆、渋い顔をしていた。現時点で警察の捜査が大きく前進するような物証等はまだ挙がってない。地味にやるしかないのだ。新宿はどこも現場が物騒で、捜査員も歩いて証拠を掻き集めてくるのが関の山である。まだ掴めてない情報があるか?しっかりと捜すつもりでいた。
午後6時前には捜査本部のあちこちで席の移動などが始まる。そして皆、報告書類やパソコンなどの事務道具を持ち、捜査本部の所定の席に着いた。会議が始まると、両角一課長も、田川理事官も話しをし出す。月井も今村も他の刑事たちの報告やそれに関する応答などを聴きながら、事件の全貌を探るよう努めた。もちろん、個々のデカが集められる情報など極わずかで、たかが知れている。月井も個人的に限界を感じ始めていた。事件が長期化しているので……。(以下次号)




