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新宿  作者: 竹仲法順
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第63話

     63

 2017年5月26日午後3時5分。月井と今村は新宿の街を歩き続けた。互いに靴底をすり減らしながら……。月井が時折立ち止まりタブレットを開いて、いろいろと情報などを打ち込む。さすがに、夏の暑さで疲れていた。

 繁華街は人通りが多く、いつも通りだ。普段から歌舞伎町近辺は庭のように知っている。貸しビルなどが多数あった。月井も事情は承知している。ほぼ街全体の外観を掴んでいるので、特に気になることはない。

 午後3時過ぎの日差しは強い。お互い顔はすっかり日焼けしてしまっていた。無線の電波を傍受しながら、歩き続ける。都内は連日熱帯夜だ。夜は寝苦しい。月井たち警官も睡眠はほとんど取れてない。毎日が真剣勝負だった。時が過ぎるごとに殺人事件の物証も薄れていくのだし……。

 いったんカフェで休憩することにして、近くの店に入ろうとした時、月井のスマホが鳴り始めた。ポケットから取り出して、通話ボタンを押し出る。

「はい」

 ――ああ、月井君か?岸間だ。

「ああ、班長。……どうなさったのですか?」

 ――署に戻ってきなさい。熱中症になられたら困るから。

「分かりました。今から戻ります」

 月井がそう言い、電話を切った。そして今村を促し、新宿山手署へと向かう。岸間も班長としての自分の責任を感じているらしい。月井にもそれが分かる気がした。

 午後3時25分には署刑事課へと戻り、捜査本部に入る。岸間が、

「ああ、お疲れさん。……水分取った後、内勤を始めてくれ」

 と言った。

「はい」

「了解です」

 月井も今村も頷き、刑事課にあるコーヒーメーカーからプラスチック製のカップにコーヒーを注いで飲む。そして月井はタブレット、今村は空いているパソコンにUSBを差し込んでキーを叩き始めた。作業しながら、腕の腱鞘炎を感じていたのだが、いずれ痛みも治まるだろう。そう思い、キーを叩いて事件に関する調査を続けた。お互い休みがほとんど取れないまま……。それに午後6時から夕方の捜査会議がある。それまで情報収集するつもりでいた。時間を有効に使うことは普段から考えているのだ。何せ、絶えず忙しいので……。(以下次号)


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