第61話
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2017年5月26日午前11時45分。月井と今村が新宿の街を歩く。喧騒が湧くのは街の中心部だ。歌舞伎町もビル街も人の流れが多い。この街も絶えず忙しいのである。人も物も常に流れて……。
正午になると、月井が、
「食事取ってしばらく休憩です」
と言った。
「ええ、そうしましょう」
今村が頷き、近くのランチ店へと入っていく。ピラフを単品で二人分頼み、アイスコーヒーを付けてもらった。テーブルに座り、しばらく休憩する。互いに黒っぽいスーツを着てネクタイを締めているから、傍目からは堅気の仕事をしているように見えた。まあ、別に月井も年中同じ格好をしているから、慣れている。
耳に嵌めた無線からは絶えず連絡が入っていた。他のデカからはいろんな情報が漏れてくる。月井がタブレットを取り出し、掻き集めた情報を目で追っていた。
食事が届き、月井が端末を閉じて、揃って食べ始める。今村が、
「月井巡査部長、これからまだこの街に張り付き続けます?」
と訊く。
「そうですね。上の命令ですから、仕方ありません」
「新宿区がメインの捜査場になることは、間違いないと?」
「ええ、私もそう考えてます。……岡田社長が殺害されたのは、区内のビジネスホテルの一室。……高木梨帆が水死体で発見されたのは、港区お台場。……必ず見つけ出します。岡田社長と高木梨帆を殺害したホシを」
月井がそう言い、食事に箸を付け続ける。今村も食事を取りながら、幾分気を抜き、ゆっくりしていた。特に変わったことはない。店はいろんな人が食事している洋食屋で、新宿でも相場が安い。今、捜査員は三々五々現場に散っている。月井たちも食事を取って休憩したら、午後1時にはまた動くつもりでいた。
警察官は激務だ。今は事件捜査で現場にいるからいいのだが、普段は課内庶務や各種訓練など、いろいろとやることがある。月井もいつもは新宿区内を見張ることを仕事としていても、合間に本庁で庶務や訓練などをやっていた。確かにデカはきつい仕事だ。朝昼晩区別がない。正直なところ、いつ休めるのかすら、よく分からないのである。仕事に追われ続けていて……。
食事を取り、コーヒーを飲み干して午後1時前には席を立つ。レジで食事代を精算し、店を出て歩き始めた。また午後は激しい日差しに照らされながら、街を行くことになる。月井も常に思う。事件が解決するまではあまり気を抜けないと。(以下次号)




