第58話
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2017年5月26日午前7時20分。月井たちは新宿の街を歩く。外回りを任されたわけだから、殺人事件に関係なく、辺りを見て回る。歌舞伎町も風俗店やクラブなどは閉まっていた。夜激しく燃え上っても、明け方は死んだように眠る――、実にそんな街だった。ここは。
パチンコ店は新台入れ替えなどの準備で朝から回っている。いけないな、こんな店。月井はまるで敵を見るような目付きでその手の店を見据える。ここで巻き上げた金が全部向こうの国に行くのだから、大変だ。警察も在日外国人などの問題では震え上がる。ヤツらの中にまともな人間などいないのだから……。
歌舞伎町の表通りを歩きながら、時折立ち止まって様子を見る。歓楽街特有の空気が流れていた。普通に危ない場所だ。月井も歌舞伎町交番には頻繁に顔を出す。昔から新宿の要として、ここの派出所の駐在員とは親しくしていた。今は男性の町村巡査が一人いる。
「町村巡査」
「ああ、月井巡査部長、今村巡査部長。……何かご用件ですか?」
「いえ。我々も刑事の身なんですが、事件捜査から外れてましてね。……町村巡査とはいろいろ話がしたいですよ」
月井がそう言って交番の中へと入る。ノートパソコンが立ち上げてあって、勤務中らしく、文書類を打つワープロソフトの画面が開いてあった。
「町村巡査、最近夜の繁華街はどうです?」
「相変わらず危ないですね。四苦八苦してます。……特に夜間のパトロールなんかは」
「お疲れのようですね」
月井が頷き、ほんの20分ほど立ち話をして、また今村と共に歩き出す。
午前8時13分。月井たちは歩きながら、街を見続けた。変わったことはなく、朝の歓楽街は流れていく。町村も夜は大変だろう。何せ、過去にこの街で命を落とした警官もいるのだから……。互いに自販機で缶コーヒーを買う。カフェインで何とか目を覚ました。事件発生時か否かに関わらず、俺たち警察官は慢性的な睡眠不足で眠いのだし……。(以下次号)




