第57話
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2017年5月26日午前6時。捜査本部の大会議室で捜査会議が始まる。月井も今村も出席した。両角一課長や田川理事官など警視庁の幹部も来ていて、会議全体がヒートアップする。会議のしめくくりに、両角が、
「一課も所轄もデカは全体的に捜査が遅れてる。岡田社長と高木梨帆を殺害したマル被は新宿区内にいてもおかしくない。徹底して当たってくれ!必ずホシを確保する。以上。散会」
と言って捜査員を引き締めた。散会後、皆各々持ち場に付く。月井も今村も岸間のところに行き、指示を仰いだ。
「班長、今日も我々は新宿の街に?」
月井がそう問うと、岸間が、
「ああ、君たちは昨日と同じく街の見回りだ。疲れてるだろうが、しっかりやってくれ」
と言い、班長席へと行った。月井たちが一礼し、署外へと歩き出す。連日の蒸し暑さはデカたちを心身ともに苦しめるに十分だった。月井が、
「今村巡査部長、朝食まだですよね?」
と訊く。
「ええ、取ってませんが」
「では今から食事しましょう」
揃って署を出、街を歩き、近くの定食屋へと入っていった。新宿区内には多数の食堂があり、腹ごしらえには困らない。月井が入店後すぐに普通の定食を二人分頼み、お冷を二人分注いで、
「事件の全貌がまだ見えませんね」
と言い、困惑の表情を浮かべる。今村が、
「現時点で害者は二名ですが、また誰かが新たに消される可能性があります」
と言って、冷たい水を軽く一杯呷った。月井が持っていたタブレットを取り出して見ながら、
「今回の事件は新宿区と港区を又に掛けるようにして起こってます。要警戒は新宿の方かと」
と言って届いた定食に箸を付ける。生卵を掛けたご飯を口にし、味噌汁と焼き魚を食べて、またタブレットを見、
「ひとまず我々は新宿区内を見て回ることに全力を尽くしましょう。第一のマル害である岡田社長は新宿のビジネスホテルで闇に葬られたわけですから」
と言って付いていた冷茶を飲み、気を静めた。今村が、
「岸間班長の命令ですからね。我々も従うしかない」
と言う。横顔に疲労が滲んでいた。疲れているのだろう。察するところがあった。この事件でコンビを組んでからずっと、月井も今村には言い知れぬ親近感を覚えていたのだ。普段は所轄のデカでも、いざ事件になると、協力は惜しまない。月井も心強く思っていた。警察官も捨てたもんじゃないと……。食事後、午前7時3分頃に揃って歩き出す。新宿の街は朝静かだ。前夜の喧騒がまるでウソででもあるかのように……。(以下次号)




