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新宿  作者: 竹仲法順
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50/1001

第50話

     50

 2017年5月25日午前9時15分。月井たちは歌舞伎町を張り続ける。歓楽街は朝の時間帯は静かだ。飲食店などは軒並みシャッターを下ろしているのだし、ホストやキャッチなどもいない。この繁華街にも月井や今村以外に捜査員は投入されていると思う。ひとまず辺りを練り歩く。

「現場のビジネスホテルで岡田社長を殺害したのは、一体誰でしょうね?」

「私は変わらずに高木梨帆と志村浩はシロだと踏んでます。……新たな物証が出れば、それを手掛かりに捜査し直すべきだと思いますね」

「同感です。……鑑識も科捜研も必死になってるでしょうし」

 月井がそう言って歩を止めずに歩く。今村が空を見上げた。絶えず日差しが照りつけている。蒸し暑い。刑事はこんな日も通常通り仕事だ。滅入ってしまう。だが、責任感はあった。月井もずっと新宿区担当だ。警察手帳や、拳銃などの武器を所持している以上、現役の警察官である。凶悪犯さえ怖がらなければ、いつだって犯罪者を検挙する覚悟があった。

 新宿も中枢部はずっと回っている。ビル街には多数の人間がいた。人の流れはこの時間、オフィスへ向かっている。別に月井たちも伊達にスーツを着用して、歩いてるわけじゃない。MPDのロゴが入ったバッジを付けている以上、警視庁の捜査員である。

 月井自身、最初の着任地である警視庁に配属になってから、他県の警察官のことはまるで知らない。だが、広域捜査などにならない限り、他の道府県の刑事との接触はないのだ。それにそもそも警視庁以外の警官の動向など、ほとんど知らないのだし……。

 午前10時3分。缶コーヒーを買って飲みながら、目抜き通りに立つ。じっと人の流れを見ながら、歩き続けた。心の中にブランクが出来る。互いに疲れていた。汗や脂でスーツの下のワイシャツは一際不快だ。だが、何でもないように変わらず勤務を続ける。逃げ出すわけにはいかないのだから……。

 街は晴れていた。月井たちも歩みを止めない。デカはハードな仕事で、心は休まらないのだが……。(以下次号)


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