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新宿  作者: 竹仲法順
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第49話

     49

 2017年5月25日午前6時に、朝の点呼を兼ねた捜査会議が始まった。月井は捜査本部の席に着き、他のデカたちの話をじっと聞く。一仕事終えて始まる朝は疲れる。だが、目はしっかり覚めていたのだし、事件捜査はこれからだ。朝食を取ってなかったので、幾分腹が減っていた。今村と共に、繁華街の定食屋で食事を取るつもりでいる。

 岸間が班員を集め、

「俺たち岸間班は当分新宿の街を張ることがメインの仕事だ。いいな?」

 と言ってきた。月井も今村も頷き、街へと向かう。新宿は通りや駅周辺に人が大勢いて、朝の混雑がすでに始まっていた。別に変わることのない街の様相だ。歩いて近くの定食屋へと入っていく。

 普通の定食を二人分頼み、お冷を飲みながら待ち続けた。蒸し暑い。夏の新宿はまさに地獄だ。月井も経験で分かっている。この街に長年いて、張り込んでいるからだ。デカは勘がモノを言う。実際、科学的捜査で解決できないことも、警察官が第六感を働かせて解決する分があるのだし……。

 午前7時3分。月井たちは食事を取り終えて通りへと出る。歩きながら街を見た。ビル街や道路は人で溢れ返っている。今村が、

「月井巡査部長、街を見ることが事件解決に繋がるのですかね?」

 と訊いた。

「ええ。多分、班長もいろいろ考えておられると思います。まずは命令に従いましょう」

「そうですね。独断で行動してもどうにもなるものじゃないですし」

 今村が頷き、足を速める。月井も息が上がらないよう努めながら、脇を歩く。新宿は大きな街だ。月井たちも飲み込まれる。岡田徹や高木梨帆を殺害した人間たちは一体誰なのか、ずっと考えながら……。

 午前8時2分。日差しが照りつけ始める。近くの自販機で冷たい缶コーヒーを買って飲みながら、街を歩き続けた。寝不足なのだが、しっかりと気を張る。月井も今村も歌舞伎町の目抜き通りを見ながら歩く。風俗店や酒場、クラブなどはほとんど閉まっていた。朝の歌舞伎町は眠る時間だ。夕方まで。

 月井が、

「この街も変わらないですね」

 と言うと、今村が、

「相変わらず欲望の街ですがね」

 と返し、颯爽と歩いていった。互いに思う。ひとまず警察官としての職責を果たそうと。(以下次号)


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