第28話
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2017年5月22日午後1時29分。月井運転の車がお台場の現場に着いた。すぐに揃って車両を出、歩いていく。蒸し暑さで参るのだが、一端のデカである以上、ハードワークは避けられない。
現場には警視庁捜査一課のデカが数名と、お台場署刑事課の刑事もいた。月井が警視庁の捜査員であることを名乗ると、
「ああ、一課の月井君か。お疲れさん」
と言って、主任の江本という刑事が声を掛けてくる。今村が、
「害者のご遺体は?」
と訊くと、江本が、
「すでに搬送されたよ。事件性が高いから司法解剖だな。こんな場所で水死するなんて、お気の毒だよ」
と言い、顔を顰める。月井が、
「マル害は高木梨帆、32歳。歌舞伎町のクラブ、ルールーのホステスで間違いないですね?」
と訊いた。
「ああ。事件で殺人容疑が掛かってたホステスが失踪した後、水死だ。殺しだろうな」
「遺留品などは?」
「身元特定に使った運転免許証以外、持ち去られてる。財布もスマホもない」
「他に留意点は?」
「気になったことは、マル被がかなり屈強な男性だろうということだ。害者は揉み合った際、海に転落して、そのまま水死してる。まあ、力のある男性の仕業と見て間違いないだろうな」
江本がそう言い、息を吐き出す。すぐに一課長の両角が臨場してきて、月井や今村、江本たちと現場を一通り見た後、
「お台場署に本庁との合同捜査本部を設置する。皆、しっかりやってくれ!」
と発破を掛けた。現場の刑事たちは勇んで捜査する。月井も今村も本来なら新宿山手署の捜査員なのだが、両角が、
「君たちもお台場署の捜査本部に行ってくれ」
と言ってきたので、そのまま車両に乗って、お台場署の方へ走らせた。署に着いたのは午後1時40分で、刑事課には数名の捜査員がいる。刑事事件とあって、男性の警察官がスーツ姿で居合わせた。月井が一言挨拶すると、
「ああ、捜査一課の月井君か?」
と声を掛けてきたデカがいる。元は警視庁の一課の刑事で、今はお台場署副署長の讃岐浩介警部だった。
「讃岐警部、お久しぶりです」
「月井君、また一緒に仕事出来るな」
「ええ。……よろしくお願いします」
月井が頭を下げる。讃岐が月井と今村にデスクを宛がい、
「しばらく待っててくれ。もうすぐ署の捜査員が大挙して戻ってくると思うから」
と言って表情を引き締めた。月井たちは椅子に座り、正直なところ、とんでもないヤマを任されたなと思う。まあ、デカは仕事を選べないから、こういった時、不便なのだが……。(以下次号)




