第27話
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2017年5月22日午前10時36分。月井と今村は帝都物産本社を出、車で新宿方面へと向かった。日差しが強く、蒸し暑くて疲れが滲み出る。志村浩は偽証しているものと月井たちは踏んでいた。岡田社長が殺されたことも、高木梨帆やルールーのことも知らないという。真っ赤な嘘だ。現場となったビジネスホテルからDNAが検出されている以上、事件に無関係とは言えない。
月井が車を運転していると、助手席の今村が岸間に電話を繋ぐ。岸間は一言「新宿繁華街を巡回してくれ」と言ってきた。今村が「了解」と返事し、そのまま車両は新宿へと行き、コインパーキングに入る。
車を停めて街を行く。人の流れは午前11時過ぎになると、オフィスからランチ店などの方へ移動していく。これから昼食を取るサラリーマンや女性社員で辺りは混雑し始めた。月井と今村はその流れを見ながら、巡回し続ける。
歌舞伎町はパチンコ店や、昼間から営業している風俗の店などが活況を呈していた。ここの収益金は全て向こうの国へ行き、親玉に上納されるのだ。悪いじゃ済まされない。警察も取り締まりで怖がるほど、枢軸国家の実態は恐ろしい。
この街も変わらないな。月井はそう思っていた。新宿はいくら年数を経ても、外観が変わるだけで、中身は変わってない。酔狂な繁華街が目白押しで、夜賑わう場所だ。警視庁も暴排条例などを出しているが、笊法で、この街の実質のミカジメは恐持てのマルBが請け負う。
正午になると、食事処にずらりと長蛇の列が出来る。街はパンクしそうなぐらい盛り上がっていた。警官も人間だから、職務中でも空腹は覚える。月井も警視庁捜査一課のデカだが、殺人事件の張り込みをやった時は、最高で48時間ぐらい寝ないでやったことがあった。さすがに数日間は通常の仕事が出来なかったのだが、刑事はいざ事件になると、食事や睡眠などは滅茶苦茶になる。若かったからこそ、出来たことではあったのだが……。
各々微糖の缶コーヒーを買って飲みながら、街に張り付く。スーツの下のシャツは汗だくだった。それに上着も汗染み始めている。堅気の服装は何かと面倒だ。月井も今村も長年スーツを着用しているのだが、夏場など、合間に水浴びしたいぐらいである。
午後零時45分になり、人の流れがオフィス街へ戻り始めた。ちょうどのその頃、耳に嵌めていた無線が鳴り、ルールーのホステスである高木梨帆が港区お台場にて、水死体で発見されたことを知った。口封じだ。月井も今村も咄嗟にそう思い、コインパーキングから車を出してすぐに港区の現場へと急行する。車上に赤色灯を灯し、緊走状態にして――。(以下次号)




