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新宿  作者: 竹仲法順
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第25話

     25

 2017年5月22日午前7時25分。朝の捜査会議が終わって散会し、月井と今村は署を出て、街を歩き出す。疲れていたのだが、その疲労を引き摺るようにして、新宿の街を巡回し始めた。岸間からも「君たちは今日も外回りしてくれ」と頼まれて、否とは言えず、歩き続ける。変わったことなどない。単に夜間燃え上がった繁華街が朝はすっかり静まり返り、月井たちも何も言わず、歩いていく。

 午前8時25分。歌舞伎町のコーヒーショップに入り、モーニングを頼んで空腹を満たす。コーヒーは格好の気付けとなり、また仕事に精が出る。セットに付いていた野菜たっぷりのサンドイッチを頬張り、ジャガイモの冷たいスープを啜った。空腹は満たされる。月井も長年ずっと、自宅で起床直後に食事を取る習慣がない。習慣付いているから、仕方ないのだ。

「志村浩はたびたび新宿に来てるみたいですよ。特に夜は歌舞伎町などに」

「そうなんですか?よく調べましたね」

「ええ。帝都物産の役員は大抵、夜になると、ここ新宿の盛り場を利用するようです。クラブや風俗店などをね」

 すると、今村が話題を変え、

「月井巡査部長、ところでルールーの高木梨帆は蒸発したまま、消えたんですか?」

 と訊いてきた。

「そうみたいですね。私も高木に関しては、ほとんど何も調べてません。まあ、事件発生時、現場に出入りしていたことだけは間違いないですがね」

「いずれ口を封じられるんじゃないですか?邪魔者として」

「その可能性はありますね。あくまで岡田社長殺しを志村が実行したとしてですが……」

「どっちにしても、志村浩がキーマンであるのは間違いありませんね。事件の重要参考人として」

 今村がそう言って重たげに息を吐き、グラスに残っていたアイスコーヒーを飲み干す。そしてサンドイッチを食べ終え、食事を済ませた。月井も皿に載っていた軽食を食べ、軽く息をつく。捜査が遅滞しているのは間違いない。互いに幾分焦っていた。志村を調べないと、ヤマは動かない。おそらく他の捜査員も追っているのだろうが……。

 午前9時32分。月井たちは店を出た。月井がスマホで岸間に連絡し、志村浩に会う旨伝える。別に自分たちだけが志村を疑ってるわけじゃない。捜査員は皆、帝都物産の第一物流係長に目を向けているだろう。本件の重要参考人として、だ。まあ、殺人などの罪を犯す人間は、よほど土俵際に追い込まれているか、心身ともに耗弱して自失した人間だろうが……。(以下次号)


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