第三話
「夕方に目が覚めるなんて…」
あの後木の上に戻り、睡眠をとったはいいが、日が落ちるころに覚醒するとは。体は疲れているが、睡眠環境とこの暗闇への恐怖が体を叩き起こす。
「とりあえず、清潔かわからないけど水と、よく分からん木の実はある…」
そう自分に言い聞かせて、夜はこの状況を整理することに決めた。
(異世界転生?いや生まれ変わっていないから、転移か?それとも誘拐?イノシシもどきは地球上の生物とはかけ離れていたから、おそらく異世界だろう)
「ステータスオープン」
小声でありきたりなことを言ってみる。
…がなにも起きない。
「頼れるのは自分と相棒…木の棒とスマホだけかよぉ…」
こんなサバイバル環境で生きていける自信がない。こっちはただの一般人として生きてきたのだ。
「明日は早くから川の支流を登っていこう。もう迷っている時間はないよな…」
水の近くには様々な生き物がいるだろうが、そこには人も含まれているハズだ。その可能性にかけてそう決断した。
「まずは今夜を生き延びないとな」
そう自分に言い聞かせて相棒を強く抱き寄せた。
翌朝
「よし、木の実はそこそこ採取した…準備はOKだ」
朝早くから支流を登る準備をしていた。とは言っても木の実を集めただけだが。
自分を守ってくれていたであろう、この木の家に感謝し、登ろう、人に会えることを信じて。
その背中は疲れで丸まっていたが、確かにこの数日を生き延びた強さがあった。




