026-『人間の底力』
「ヤバイですよ!! だけど、原種のドラゴンかあ....」
「感心してる場合じゃないよ! 全く!!」
その頃。
ドクターアークは速度を上げ、とあるものから逃げていた。
それは、ドラゴンであった。
航空照明の如く全身を輝く鱗で覆った竜。
それは即ち、目立ってもかまわないほどに強いという事だ。
「とにかく、背後を通らないと射角が通らないよ! 魔導砲台は前にしか付いてないんだからね!」
「ナーシャさんが何とかしてくれるかも....!」
「頼りになんないさ!」
ブリッジは大混乱であった。
ドクターアークは本来輸送船であるため、このような機動戦には適していない。
くわえて、魔導砲台は前部甲板にしか載っていないため、前か横に射線が通らなければ意味がない。
『竜のお腹が光ってます!』
「ヤバイ、ブレスが来るよ! 魔法障壁最大!」
伝声管からミカの声が聞こえた直後。
焦れたドラゴンがブレスを放つ。
高熱の炎の息が、ドクターアークに常設された簡易結界を焼く。
それで壊れるほどやわではないが、長持ちするものでもなかった。
「どうした!?」
「下から射撃、ナーシャさんだと思います!」
その時。
竜が一瞬悶えるような動作をする。
それを窓から見ていたジルクが冷静に報告する。
下から音速で飛んだ矢が、竜の顎下にある逆鱗をかすめて刺さったのだ。
凄まじい精度である。
竜は咆哮すると、下へ首を向けて火の玉を放った。
それは村の結界に衝突して爆散した。
「急降下すれば射線が取れます!」
「よし来た! ジルク!」
「はい! 魔導砲台、展開します!」
普段は甲板に格納されている四基の魔導砲台が、降下中の中展開された。
これらの動作は、勇者によって伝えられた油圧で機能している。
「魔導石からの魔力伝達終了、射角は魔力追尾に任せます!」
「撃ちな!」
「発射ぁ!」
一斉射撃。
竜はそれらを喰らって、鱗がめくれて肉が露出する。
三秒に一発とはいえ、魔法弾を撃ち続けるドクターアーク。
武力としては、この上ないものであった。
「これじゃ殺せませんね....」
「再上昇、上を取るよ!」
ドクターアークは再び上昇し、竜に対抗すべく雲の上を目指す。
竜は痛手を負った事に驚き、そして怒った。
ナーシャの事も忘れ、ドクターアークを追い始める。
「何だかんだ言って、ベナトールさんも人のこと言えないですよね」
「うるさいな。.....外でも見てな」
悪い癖と罵ったベナトールではあったが、村を守るためドクターアークを囮にする作戦を取った。
ドクターアークが無ければ旅は続けられないというのに。
「壊したらあの口うるさい医者に直してもらえばいい。人を治せるんなら、ものも直せるだろ」
「そんな無茶な....魔導機関、最大出力です!」
「行けるだけ飛ばすよ」
ドクターアークは速度をより上げていく。
とある策を実行に移すため。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




