025-『魔術師の領分』
「――――私は、この通りだ。....もう戦えぬ....」
「何だ、その程度の傷か――――回復」
俺は回復術で彼女の傷を癒す。
まあ、全身打撲と複数個所の骨折、筋肉断裂に内臓損傷くらいであれば....これ程の死体があれば大丈夫だ。
贄として消費し、彼女の傷を癒した。
「これは......!?」
「医者だと言っただろう、まだ働いてもらうぞ」
「....なんと、ここまで.....」
エリスは傷が深すぎて戦意を失っていたようだが、まだ戦う気はあるようだな。
俺は頷き、彼女に手を差し伸べた。
「俺が助力する。もう一人で戦わなくとも良い」
「タマキ殿.....!」
心なしか、頼りにされているような気がするな。
だが、俺の魔法・魔術などたいしたものではない。
これは彼女が本来一人で乗り越えた歴史だろう。
「来るぞ」
「ああ」
俺は魔術を複数同時詠唱する。
向かってくるのは、猪推定十八匹を前衛としたゴブリンライダー二十騎士か。
見えないがこの構成は恐らくテラーベアが背後にいるな。
「リグ・ベト! 光よ、束ねて我が元へ集え! 五つへと別れ、流れ、迸る水の如く敵を貫け! 〈魔導光線〉」
「リグ・ベトラ・シュディム! 地よ、大地よ、我が声に応え、歩兵と成りて愚兵に死を熾せ! 〈アースファランクス〉!」
「リグ・ベトラ・シュディム・エットラ! 亡霊よ、我が怨念を腹に詰め、逃げ行く我が敵に確実なる死を与えよ! 〈怨魂砲撃〉!」
まずは極太レーザーで猪を殲滅し、残っている騎馬隊の動きを土のかえしで塞き止める。
その上で怨念弾を放ち、即死技として運用する。
この魔法は誤爆すると厄介なため、死んでも即座に治せる俺くらいしか使えるものはいないだろうな。
「エリス、後を頼む」
「あ......ああ! 承知仕った!」
しかし.....
このペースだと、永遠に終わらんな。
あれを使うべきか?
そう考えていた時。
咆哮が響き渡り、頭上を何かが通過した。
「おいおい.....」
そんなモノまでいるのか、ここは。
俺は冷や汗が垂れるのを肌で感じる。
今の影は、恐らくはワイヴァーン、ドラゴン....どちらにせよ、竜種だ。
あいつらだけで何とか出来るのを、信じるとしよう。
俺はここを離れられない。
「終わったぞ! ....どうした、浮かない顔だな!」
「ドラゴンを見た、流石に戻るか?」
「....それは、戻る方がいいと私は思う!」
「そうか」
出来るだけ彼女たちに任せたいとは思うが、仕方ない。
雑魚は放って、村の防衛に集中するか。
同時に、俺は”あれ”を使う事を決意した。
「もうすぐ夜が来るな.....」
「まずい、夜は....」
「いいや、好都合だ」
「?」
あれは夜の方が強い。
急いで村の方へ戻ると、上空に光が見えた。
ドクターアークとドラゴンが交戦している。
「もっと早く走るぞ」
「担いでいく!」
「なに!?」
俺はひょいと持ち上げられ、彼女によって村に護送されるのだった。
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