023-『最後の襲撃』
「何なんですか!? これー!」
「地脈の揺らぎだと言っているだろ!」
ドクターアークは大揺れだ。
まあ、仕方がない。
空が波打ち、稲妻が無数に落ちていくようなこの環境下で飛べる事自体が奇跡のようなものだ。
「村、見えたよ!」
「どこだ...?」
「あれさ、高い木の右下!」
「あれか!」
俺はモノクルをかける。
魔力線はそこに流れている。
だが、それだけではない。
「まずいな、既に襲撃を受けているようだ...ただし、エリスが残っているから今すぐに危なくはならない筈だが」
「.....また、あんたの悪い癖が出ているように思えるけれどねえ」
「....ああ」
ベストーナが言いたい事は分かる。
俺が首を突っ込むことでもないと言いたいのだろう。
だが、魔力線はあの村を指している。
「結果が全てだ」
「そう」
村の真上にドクターアークを止め、俺はゴードンの上に乗って村へ落下する。
ゴードンの身体強化スキルで、回復で直せる範囲の傷で抑えた。
「痛いな」
「回復。....ここを頼む」
「任せよ」
すぐに回復させ、仲間たちが降りてくる間の護衛を任せる。
「村長、いるか?」
「え、ええ。....魔術師殿、戻っていらっしゃいましたか!」
俺は村長宅に顔を出す。
今の状況を把握するためだ。
といっても、村長もよく分かっていないらしい。
「エリス様が駆けこんで来て、その後地響きが始まったのです」
「まだ何も起きてないと?」
「え、ええ」
「魔物が迫っている、結界を張るから、村の外には出るな」
「分かりました、すぐに点呼を取ります」
俺はやってきたミカから最高級のマナポーションを受け取る。
通常の魔力回復薬が定数回復なら、ミカだけが作れるこの最高級版は割合回復。
素材が高いんだけどな。
....とても。
「やるんですね?」
「ああ、やる」
三本空け、俺は村に結界を張る。
その上で、さらに索敵魔法を広域に展開する。
流石に常にとなると魔力消費がバカにならないからな、一回だけだ。
俺は魔法職ではないから、魔力量は中の下ほどだ。
「こりゃ....凄いな」
「そんなにですか?」
「村の直近に二十匹単位の群れが四つ、それより外側には数え切れない位いるぞ」
「それって.....私達だけで、どうにかなるんですか!?」
「ならないかもしれないな......」
ベストーナの言う事も、あながち間違ってはいなかったかもしれない。
ここは余計なことに首を突っ込まず、命を大切にするべきだったのかもしれない。
だが。
「この揺らぎ方から見て、これが最後の襲撃だろう。恐らく、史実にあった襲撃ではない、この夢だけの」
「....つまり?」
「魔力回復薬を至急調達できるか?」
俺はミカを見る。
ミカは一瞬考える素振りを見せて、
「......ここの素材じゃ無理です、一旦ドクターアークに戻ってもいいですか?」
「ああ、頼んだ」
「でも、どうする気なんですか?」
「本気で戦う」
「ええっ?」
仕方ないだろう。
この規模を殲滅するには、どうしたって魔法でなければ難しい。
アルトラインやマリアベルでは、ゴードンのようなタフネスはない。
「王国の進退、この一戦にありだ」
やるだけやってみよう、これは世界の手術なんだからな。
医者が諦めたら終わりだ。
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