022-『真の流れ』
遺跡の奥に進んだ俺たちは、謎の装置を発見した。
まず間違いなく、でかい魔力の源はここにありそうだ。
「スイッチ切っちゃうんですか? 何が起きるかもわからないのに....」
「仕方ないだろう」
大掛かりなレバースイッチを、俺は押し上げて停止させた。
何かが動いている様子も、何かが止まっている様子もみられない。
改めてモノクルをかける。
「....魔力は消えたな」
「変化は見られないの?」
「ああ」
つまり、あの魔物も、この装置もこの地脈の核ではないらしい。
俺はモノクルで周囲を見て回る。
そして、説明書きらしい金属板が目に入る。
「......ベナ、これ読めるか?」
「え? ちょっと見てみる! ....読めるかも?」
「大体でいい」
「....多分だけど、採掘? 装置だって」
「採掘装置....か」
ますます関係がないな。
俺は正常化しつつある魔力の流れを見て、自分のミスを察した。
「....悪い、時間をムダにしたかもな......」
「仕方ないですよ、モノクルで見てここに魔力が集まってたんですよね...?」
「ああ」
「仕方ない、撤退しよう。素材は拾ってもいい、この世界から出るときに消滅するかもしれないが......」
俺たちは肩を落とし、遺跡を後にした。
あのデカイ魔物の素材は流石に嵩張るので、未来に戻った時に残っていることを期待して諦めた。
「しかし、そうなると....どこだ....?」
俺はモノクルで周囲を見渡し続ける。
これで地脈の夢の核を見つけられなかったことは一度もない。
何か見落としが.....いや。
「...魔力の流れが新たに生まれている」
「ええっ!?」
「いや....新たにじゃないな。.....あの装置の魔力量がデカすぎて、分からなくなっていただけだ!」
失態だ。
俺はリーダーなんだぞ、俺に皆がついてくるっていうのに......
「タマキ」
「....ん?」
マリアベルが、俺の方を見て言った。
いつものふわふわした雰囲気が消えている。
”マジ”だ。
「そういう事できる人が少ないのは分かってるけど、色んな事を兼任してるんだから....気に病まないでね」
「あ、ああ。済まない」
マリアベルくらいか、俺の苦労を分かってくれるのは。
いや、ミカも分かってるんだろうが....表面上の苦労と、水面下の苦労は全く別のものだ。
「仕方ない、ドクターアークを呼び戻して移動するぞ」
「やった~」
村の位置は分かっているが、今から戻るのは少し厳しい。
俺は照明弾を打ち上げ、ドクターアークが気付くまで待つ。
はるか遠くに見えていたドクターアークが、ゆっくりとこちらへ向かってくるのが見えた。
「ドクターアークに戻れば、暖かい食事ができる。.....悪いがそれで許してくれないか」
「全然~いいよ~」
「やった!」
「ベッドで寝たいです....」
流石にドクターアークを滞空させられるほどの広場は無いので、ワイヤーを降ろしてもらう。
マリアベル、ベナトールが先に上へ行き、ワイヤーにベルトを繋げる形でミカを上げる。
最後に俺の番という時。
突き上げるような地響きと、身体が内側から揺さぶられるような感覚がした。
「なななな、何ですかぁ!?」
「まずいな、地脈の揺らぎだ! 急げベス!」
俺はワイヤーを掴んで、上昇する。
マリアベルが詳細を伝えたようで、ドクターアークが俺を吊ったまま移動を開始した。
地脈の揺らぎが大きくなっていけば、夢が終わり蘇生は失敗する。
......出来る限り早く、解決しなければならない。
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