019-『魔力を追って』
というわけで、俺たちは集落を離れた。
このままここで過ごしても、揺らぎが大きくなっていくのを見過ごすだけとなる。
早めに地脈の夢の核を見つけなければならない。
「あの、私ってインドア派なんですけど」
「ああ、それがどうかしたか?」
獣道を進みながら、俺はミカの発した言葉に応える。
彼女は俺のすぐ背後におり、最後尾のマリアベルと俺で挟んでいる。
この中では唯一の非戦闘員だからな。
俺は魔力視のモノクルを使って、大きな魔力の源...即ち目的地に向かえているか確かめる。
「どうして、同行させたんですかっ、はぁ、はぁ...ぎづい...」
「今後のためでもある。いつまでも逃げていたら、鍛えれないだろう」
「ですけど...っ」
この中で一番軟弱なのも、やはりミカだからな。
俺だって五年前までインドア派だった。
アウトドア大好きな性格に無理やりさせられたと言っていいだろう。
「あとは、大事な役割がもう一つある」
「...なんですか?」
「医療キットを持ち運ぶ役目だ、あと薬品類」
「荷物持ちじゃないですか!」
「他に誰が持つんだ? 俺の助手をやりたいと言って加入したんだろ」
「...それはそうですけど」
それに、俺たちは各々で荷物はちゃんと持っている。
持っていないのは先行しているベナだけで、俺は食料、マリアベルが重い武器類をそれぞれ持っている。
水は各自持参していて、俺やマリアベルが出せるので問題はない。
「今の俺の治療はだいぶポーションを頼りにしてるんだ。体力つけてついて来てくれないと俺が困る」
「...そこまで言うなら、どこまでも付いてっちゃいますからね!」
俺は森の中を歩いていて、気付いたことを皆に共有する事にする。
地図を広げて、
「この森、多分だが本来のハルシバルの中央都がある場所だな、地形が一致する」
「へえ...じゃあー、ここが将来街になるんだ?」
「まあ、そうだな」
マリアベルは一見アホそうな女性だが、真実を知ると恐ろしい。
実はこの中で一番頭がいいからな。
ただし細かいことを考えたり調整したり合わせたりするのが苦手なので、俺がやっている。
戦闘に全リソースを割くと怪物になるのは確実だ。
「しかし、あまり気にならなかったが...」
「?」
「珍しいな、祖国の鎧を着てくるのは」
「ああー、嫌な予感がしたの」
「そうか」
祖国の鎧とは、彼女の持つメイスと同じくらい重要な鎧だ。
メンテが大変だから滅多に着てこないが、今日は着ている。
気にはならなかったが気になる事だった。
彼女のメイスは、儀力を籠めれば籠めるほど重くなり、さらにハンマーへと変形させることもできる。
その鎧も同様だ。
「これは、何かあるかもな」
「滅多な事言わないでよ!」
戻って来ていたベナがそう言う。
まあ、彼女には死活問題だろうな。
とにかく対人に特化しまくっているから、魔物相手は苦手だろう。
「どうやら、嫌な予感は当たりそうだな」
俺は呟く。
こういう時は必ず何か起こる。
「とりあえず、水場を見つけて昼飯にしよう」
「賛成〜」
こう果てのない森を歩いていると、思考が単純化して良くない。
俺は水場を見つけるため、ベナにそれとなく今後の方針としてそれを共有する。
高い木の上を移動するベナなら、水場を見つけるのはそう難しいことではないからな。
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