表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス丸ごと一緒に異世界転移して二年後、世界は滅びた〜世界蘇生術師の復興旅〜  作者: 黴男
第一章-大穀倉地帯・ハルシバル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/32

018-『夢』

魔物の襲撃を片付け、俺が「〈封印蘇生(マスカリスモス)〉」をかけた後。

俺たちとエリスは村でより一層もてなされた。

と言っても、困窮している村に出せる食事は少なく、村人たちは自分たちの体で出来るお礼は何でもすると言った。

エリスは冗談めかして自分と俺の像を建てようなどと言い出し、乗り気になっているのに恐怖を感じた。

とはいえ、止める理由もないので放置したが。


「...いい夜だな!」

「ああ」


そして、すっかり夜が更けた時。

エリスは、俺を哨戒に誘った。

彼女は一日滞在した後夜を過ごし、翌朝に出発するという生活をしているそうだ。

その生活におそらく終わりはなく、俺は彼女に対する尊敬を深めた。


「こんなヤブ医者一人が護衛でいいのかね」

「頼もしい! 御伽話の魔法使いのようだったぞ!」

「そうかい」


俺は戯けて肩をすくめる。

実はこっそりナーシャが付いてきており、俺はエリスの真意を確かめるためにわざと誘いに乗った。

月夜の密会などではないという態度をナーシャに示しておかないと、ベナトールに告げ口をされて張り手をされる可能性が高まる。

ベナトールはそういう不純な行為を許さないのだが、俺が普通に恋愛をしたらどうする気なのか。

気になるところではあるが、怖くて試したことは無い。


「昼間、引き留めたいと思った、済まない」

「なぜ謝罪する? 当然のことだ、俺がいれば怪我人は減り、襲撃にも対処しやすくなるだろう、需要くらいは理解している」

「それでもだ。私自身のくだらない夢に付き合わせて、死んでもらっては困る! お主はすごい御仁なのだからな!」

「くだらない夢?」


そのために命を削って戦う者が、夢を貶してはいけない。

愚か者の夢では無い、挑戦する者の夢なのだから。


「その...言わねばならぬか?」

「いや、言いたく無いのであれば」

「ばかばかしく、恥ずかしい夢なのだ。誰にも打ち明けてはいない」

「夢は大きい方がいい。それを嗤う者に、夢を見る資格などないと俺は思うがな」


これだけは変わらない。

クラスで端っこにいた俺が見た夢。

その夢を笑わないでいてくれたのは両親だけだった。

もはや帰る事も叶わない。

それなら、その夢の通りに動くほかない。


「そ」

「そ?」

「それなら言うぞ、言ってやる!」


顔を真っ赤にして、エリスは俺の方を向いた。

そして、小さな口から言葉が紡がれる。


「...この地に生きる人々が、幸せに生きる事ができるようにしたい」

「ほう、どのように?」


すぐに顔を逸らしてしまう彼女に、俺は追撃を浴びせかける。

だが、「どうやって?(How To do?)」ではなく。

どんな風にしたいのかを、俺は聞いた。


「笑わないのか?」

「笑えるとも、幼稚な夢だとも。ただ、出来ないわけではないだろう? 例えば空の先に行きたいとか、虹を歩いて渡りたいだとか。...そういう類の夢とは違う」

「...一面が小麦畑になって、皆が笑ってそれを収穫して...前に会った旅人が、遠くの国の話をしてくれた。誰も魔物に襲われて死なない、素晴らしい場所を作りたいと私は思ったのだ」


俺は内心、それは叶ったのだろうなと思う。

ここが本当に過去の記憶の繰り返しであるならば、現代のこの場所はすべて一面の小麦畑となっているはずだ。

稲穂が風に揺れ、暖かな光が降り注ぐ地であると。


「悪くない夢だな」

「...恥ずかしい夢だ! ...タマキ殿はどうなのだ。笑える夢を見ているのか?!」

「勿論、俺の夢は...ヒーローになりたい、だった」

「英雄に...? なれるではないか」

「多くを知った後では難しい。子供の頃に抱いた稚拙な夢だよ」


両親は笑わずに...いや、苦笑しながら道を示してくれた。

消防士や災害救助、警察官と。

誰かにとっての“英雄(ヒーロー)”への道を。

それは多くの人間にとっては笑い物だろう。

俺はそれでも、その夢を抱き続けた。


「どうやら、互いに出来そうな夢を持っているな!」

「ああ、そうだな」


俺が英雄になったところで、動きにくくなるだけだが...

まあ、たまには夢を語るのも悪くはない。

夜が更けていく中、俺はエリスと長い会話をした。


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ