011-『穀倉地帯...?』
「ちょ、ちょっと! 穀倉地帯って話じゃなかったんですかぁ!?」
光が晴れると、ミカの声が聞こえた。
俺は目を開ける。
すると、夥しい数の獣の群れが見えた。
いや、獣ではない。
魔物だ。
魔王軍が使役するとも、自然に生まれて獣のように生きるとも言われる生物の総称。
まあ、とにかくだ。
ろくでもないのには、違いない。
「ゴードン、アルトライン! 降りてこい! かなりまずい状況だ」
『了解ぃ!』
伝声魔石を使い、ドクターアークに呼び掛ける。
すると、俺たちが使ったばかりのワイヤーを伝って、最初にアルトラインが降りて来る。
フットワークの軽い奴だ。
「医者、あんたの魔法でどうにかならない状況か?」
「普段食っちゃ寝してる分、働いてもらうぞ」
「へいへい」
俺は攻撃魔法は使えるが、この数を相手にするなら近接職の技の方が相性がいい。
アルトラインはこんな態度だが、一流の剣士らしいからな。
「この数はちと拙いか、よかろう。行くぞ!」
次に降りてきたのがゴードンだ。
貴族剣士とかで、職業は重戦士。
全身を重い鎧で覆うせいで、こいつが昇降するときは巻き上げ機の損傷をチェックしなければならない。
強力だが、投入は慎重にならざるを得ない。
そういう味方だ。
『アタシの出番は?』
「雑魚が大量にいる、ボスもいないようだ。留守番だな?」
『はーい』
残念だがボスがいない以上、〈暗殺者〉であるベナの役割はない。
ボスを殺せば、指揮系統が崩壊した魔物どもは一気に瓦解するが.....
今回の場合、烏合の衆が相手だ。
無能集団だが、数の暴力だけはある相手に、暗殺者が出来る事は少ない。
「そろそろ障壁を切るぞ」
俺は魔法の障壁を消す。
耐久値がある結界と異なり、障壁は無敵だが展開する時間で魔力を失っていくものだ。
無駄にする理由はない。
障壁が消えた途端、魔物どもがなだれ込んで来る。
「某が先に行く! ブラストスライサー!!」
ゴードンが剣を地面に叩きつける。
斬撃が無数に生まれ、地面を這って魔物どもを何体か両断した。
それが戦いの火蓋を切り、戦闘が始まった。
といっても、俺がやる事は少ないが。
「〈治癒天球〉」
自動で回復魔法を周囲にかける地球儀を生み出し、少し浮かせる。
これだけで十分だ。
「アルファストライクッ!!」
閃光が走り、目の前にいた狼型の魔物の群れが上下に両断された。
アルトラインの技だな。
ただ、何度も使える技でない事は承知の上だ。
前衛はいくつもの強力な技を覚え、対多数の戦術にそれを用いる。
「苦戦しているか?」
「はっ、君こそ。早く加勢しないと、獲物がいなくなってしまうぜ」
「お前たちだけで充分だろう。まあ、弱音を吐いたら守ってやる」
誠に残念なことに、ドクターアークのメンツに魔術師はいない。
俺が後衛を務められなくなったら、ドクターアークの魔術砲台か、ナーシャの長弓による援護射撃しか方法がなくなる。
どうしても弓矢の特性上、後者は有限だ。
いや、ナーシャが本気を出せば無限だが、それは恐らく夢幻の世界に揺らぎを作ってしまう原因になりかねないからな。
俺の本気もまた、そういう理由で封じている。
「最悪マリアベルを投入するから、黙って戦え」
「ひでえな、全く」
マリアベルは対魔物の聖儀を使えるからな。
範囲浄化で、魔物を一気に弱体化できるが.....彼女は、彼女を彼女たらしめる所以によって長くは戦えない。
やはりここは、体力バカのバーサーカーであるゴードンに頑張ってもらうほかないな。
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