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妖刀 四重奏(カルテット)仮  作者: 幻魔 狂死郎
京都事変編
6/14

第六話 義兄弟

大日本帝国陸軍 第十六師団司令部庁舎...

空が暗く染まっている。

激しい雨が降り続く。


時計を見ると正午を指していた。


窓から外を見下ろす仮面をつけた軍服の男が一言つぶやく。




「どうやら、今日は愉快なお茶会になりそうだ...」


...一時頃...



「お待ちしてましたぞ!あなたが噂の不死原 狂死郎殿ですかな?」



「お招きありがとうございます。近衛 清貴 (このえきよたか)大佐」



「ところで貴殿はお茶か、紅茶どちらが好きかね?それともワインはどうかね?」



「私はお酒が苦手なものでして...お茶をお願いします。」



お茶を注ぎながら続いてこうつぶやいた。


「話はあらかた聞きましたぞ。器が欲しいと...」



「えぇ、なるべく頑丈な肉体を持つ者があと、可能であれば多くの血も欲しいのですが?」


「いいでしょう。ここは一つ追加でお願いをしてもよろしいですかな?あなた方の妖刀をいただきたい。」



「ええ。いいですよ。」



「ならば取引成立ということで乾杯しましょうか!狂死郎殿」



「こちらこそよろしくお願いします。近衛大佐!」




ドアが閉まる。


窓から外を見下ろしているとドアを叩く音が聞こえる。



「失礼し〜ます!いいんですか?た・い・さ。」


「あぁ、いいさ。こっちの目的もやりやすくなるからな。」




「恵美須少尉。 君に頼みごとをお願いしたいが良いかね?」



「は~い!仰せのままに。」




一ヶ月前...




刀の素振りを終えて自身に届いていた文を開け、目を通す。


文に目を通している最中、自然と涙が溢れていた。口を噛み締めながらこうつぶやいた。




おっちゃん...もう一度、あんたに伝えたかった言葉があるのに逝ってしまうなんて...



そこには如月 善悪の死が綴られていた。






京都 三条河原 橋上...



雷鳴が鳴り響く。





ハァハァと息切れを起こしながら雷撃を躱し続ける。




「避けても無駄だぜ。春雷はどこまでも追いかける。」


雷を纏った斬撃が止めどなく放たれる。




必死に斬撃を防ぎきった。



「おいおい、その程度かよ。それじゃあアイツも報われないよな。」



「テメェにだけは言われたくねぇよ。おっちゃんを殺したお前にだけはな!」



妖刀 春雷の能力。


それはおそらく刀に纏った雷を蓄積し狙いを定めた方に斬撃と共に繰り出す。



「どう対処するべきか...影を操るにしても一撃をもろに受け続けるだろうし天候も幸い、暗いが一瞬でも光が差したら終わりだ...」



影をも一撃で消し去る斬撃が迫る中、ひたすらそれを受け流す。



「そろそろ終わらせてやるよ。晃作!


妖装解放 雷電合巡らいでんごうじゅん 春雷」



妖刀が変形し大型の大砲になる。



電力を最大限溜めて解き放った。


それは超電磁砲とでも言える代物。


躱しながら距離を詰めていくが少し服を超電磁砲が掠っていく。



後少し...っていうところで超電磁砲を正面で受けた。



なんとか、体は動けはするが全身に痛みが走る。



立っていられるのが精一杯...


「やるしかないよな...不完全でもいい。今ある最大の妖力を相手アイツにぶつける。」



妖刀が自身には固有結界が存在する。


妖刀同士で戦う際、相手が固有結界を発動した場合、自身の妖刀も固有結界を発動することができる。


百パーセント以上の妖力を引き出し、相手との固有結界の押し合いは基本的に妖刀に流し込まれる妖力の差で決まる。


また、妖刀固有の能力にプラスして追加で閉じない制約を結ぶことができる。


妖刀使い(ひと)はそれを妖装解放と言う。



「妖装解放!! 幻影超過 紅影」



妖刀紅影の影は最大十体が同時に出せる。


だが、妖装解放を発動した場合のみ40体まで同時に影を出すことができるようになる。



複数の残影が如月へ襲いかかる。



如月の足を掴み、他の無数の影が如月へ斬りかかる。




それを払い除け、晃作に銃口を向ける。


周りを見渡すとそこには晃作の姿がない。


「まさか、下か」

下の影から晃作が現れた。

「遅えよ。」


如月の心臓を貫いた。



「やるようになったじゃねぇか。晃作...」



そう言い残し息を引き取った。




暗い空を見上げながら、さみしげな表情をした晃作がつぶやいた。



「やっと、終わったよ。おっちゃん。」



京都 清水寺...



「また、君か...桜華!」



「夜桜を返しやがれ。狂死郎!」



「まだ、君に返すのは早いかな。お願いしてもいいかい?弥助。」



「メンドクサイナ〜。マタ、ギュウナベオゴッテクレヨ。キョウシロウ。サァ、カカッテキヤガレ。イロオトコ!」


刀すら持っていない男が立ち塞がる。


刀を抜こうとした瞬間、腹に一撃が炸裂し壁へと吹き飛ばされた。


「こいつ、思ったよりやるな。」


手に布を巻く。


妖力が右手に集まっていくのが見てわかる。



「どうやら、本気でやるしかないか。」



妖刀を契約しているものは基本的には契約ができないが、ある一定の理由で妖刀が使用できない場合のみ、別の妖刀との仮契約が可能となる。



「靡け(なびけ)!風魔」


「デタナ!ヨウトウツカイ。オレモツカウシカナサソウダゼ!」


「狂エ!宗近」



布から刀の形状へ変化した。



風が吹き荒れる中、お互い一歩も引かずにただ静けさだけが残る。


「ドウシタ!オマエカラコナイナラコッチカライクゾ!」




「よく言うぜ。三下!」



鋭い斬撃が志波波を襲う。


防ぎ切るだけでやっとの状況の中、鋭い刃が頬をかすめた。



「こいつ、さっきよりますます切れ味が良くなってきてる。」




宗近の能力...


それは、血を刀が浴びるたび切れ味がマシ!使用者に妖刀自身のバフを与える。



そのバフは使用者の体を強制的に治癒させ、使用者の痛覚を無くす。




刀に風を纏い、刀に触れる。


刀を通じて大きな竜巻が引き起こされた。



「オモッテイタヨリヤルナ。オマエ!」




「そりゃ、どうも。これ以上、接近を許すわけにはいかねぇ...ここからどうするべきか...」



相手が迫ってきたその時、目の前を割り込んだ男がいた。


「遅えよ。鹿洲!」


「わりぃな、ちと野暮用でな。で?こいつは?」



「めんどくせぇ妖刀持ちだ。」



「なら、さっさと片付けるか。」


刀に手をかけた瞬間、弥助が襲いかかってきた。




かつて、妖刀を持つ者たちから弱者を守るため立ち上がった男がいた。


だが、その戦いで多くの弱者が犠牲となった。



後にその男は自身が考案した。弱者のための結界術。また、剣術を生み出した。



その剣術の名を後にこう呼ばれた。



華身一刀流と...




「華身一刀流 抜刀術 叢雲」


刃が鹿洲の間合いに差し掛かった瞬間、

その刃を防ぐように霧が立ち込めた。




「ウソダロ!コノキョリヲイッシュンデ。」



弥助の全身を斬り裂いた。




「ふぅ~、どうにかなったがこいつどうするんだ?」



「いったん縛って持って帰るぞ!」



嫌な顔をしながら

「嘘だろ〜!もう歩けねぇよ。ましてや京都までかなり歩いたんだぞ!」



「知らねぇよ。ほい、馬車代。そんだけあれば足りるだろ?」



「仕方がねぇやつだな。ほんと...」



京都をひたすら走る中、目の前の橋を見つめる。


そこには全身ボロボロになった晃作の姿が見えた。



「大丈夫か?晃作。」



「四宮!あぁ、なんとかな。」


「誰か見なかったか?」



「誰も見てないよ。」



晃作の顔がスッキリした顔つきになっていた。



「剣は?」



「まだ、戦っているはずだ。」




冷たい雨が降り続く。


なんの変哲もなかった昨日までに比べて、今日はまだ何かある予感がする。


そう、あの空を見ているとそう思えた。




忌み嫌われる街とかした京都。


遂に動き出す。不死原 狂死郎の魔の手が開く。


それを止めようとする者たちの行方はいかに...


次回

第七話 「京都、崩落」











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