第五十七話戦國人伝パート14
1599年...
豊臣秀吉が千子島を訪れた際に何者かによって葬られた。
それにより、次の豊臣家の後継者を決めるために家臣たちによる話し合いが行われていた。
それは、単なる話し合いではなく秀吉が所持していた妖刀や管理していた妖刀の話も含まれていた。
「それはともかく、妖刀の件はどうする?」
家臣たちはそれぞれ考え込む中、一人の男がこう呟いた。
「ならば、わしが妖刀を管理しよう。」
その男は後の江戸幕府を開いた男だった。
「家康殿が管理されるつもりか?」
「それは、少し語弊があった。わしの信頼おける神社にて管理しよう。」
家康の発言するたびに他の家臣たちは拍手をした。
それをよく思わなかった三成はこう呟いた。
「二代目炎閣はいるか?」
「はい!ここに...」
「徳川家康を葬るための妖刀を作れ!」
「いいのですか?あなたも危ういのに?」
「何がだ!」
「清正殿やその他の豊臣家臣たちがあなたに不満を持っているようですよ!フフフ!」
不気味な笑みを浮かべ炎閣は呟いた。
「ふん!その時は、俺自身で豊臣を守り抜くだけだ!」
「ならば、あなたに貸してあげましょう!」
虚空から刀を取り出した。
その刀は禍々しい妖力を纏っていた。
「この妖刀は?」
「名前は朧と言います!使う際は気をつけてくださいね!何せその妖刀は全てを壊しかねないので...」
それは、新たな戦のきっかけだったのだろう。
同年...
季節は秋に移り変わろうとしていた頃だった。
紅葉が散る中、一人の男がかつて助けてもらった家へと向かっていた。
「あっ!炎閣さん!」
「久しいな!永十郎よ!」
子供と遊ぶ男がいた。
その男には2人の子供がいた。
一人は今から十年前に身ごもっていた子だった。
そして、もう一人は三年前に産まれた子らしい。
家に上がり縁側のところで、子供が走り回っているのを見つめながら炎閣はこう呟いた。
「家族とはいいものだな!」
「そうですか?私には当たり前のように感じているので...」
永十郎は微笑みながら答えた。
時間はあっという間に昼頃を迎えていた。
子供が炎閣の膝を膝枕にして寝ていた。
子供の寝顔を見ながら炎閣は少し笑みを浮かべた。
「いつも、うちの娘を寝かしつけてくださりありがとうございます。」
永十郎は呟いた。
「何、いつものことじゃろ?」
「そうですね!」
「永十郎よ!わしは最後の妖刀を作ろうと思っている。手伝ってくれるか?」
「それは一体...」
「平和な世を作るためにわしは今まで何百、何千の刀を作ってきた。じゃが、それは全て夢のまた夢だった...でも、気づけた気がしたんじゃ!お前さん達と出会ってな!今が無理ならこの先この子達やその後の時代を生きるものに託せばよいと...そのためにわしはこの命をかけて最後の一振を作ろうと思ったんじゃよ!」
「その刀は一体?」
「簡単な話じゃ!誰かのために振るう刃...いや、照らす光とも言えるだろう。どうじゃ?一緒に作らぬか?」
「自分でよければぜひ作らせてください!」
その妖刀はきっと、誰かを助けるために使われるのだろう。
それから数ヶ月、思考に思考を重ね何度も何度も鋼を打ち続けた。
その妖刀がいつか人々を救うものに渡すために...
そして、数ヶ月の時が過ぎその妖刀は完成した。
「ようやく完成しましたね!」
「あぁ、この刀は厳重に保管しなければならない。けして、秀吉や悪意あるものに渡してはならぬ!」
「これでやっと託せますね!次の世代へ」
その妖刀は後に認識識別固有妖刀として語り継がれていくであろう。
1600年・・・
夏が過ぎ、季節は秋に差し掛かろうとしていた。
コオロギが鳴き始め、トンボが飛び交う。
風が心地良いくらいの月明かりが照らす中、痩せ細った男は月を見つめながらフッと笑った。
「私もこれまでか...でも、振り返ればいい人生だった。お館様と出会い、そして幾多の出来事があった。」
縁側で座り悲しげにそう呟いていた。
「また、いつの日か目覚めるのであれば...」
1600年9月2日ーーー炎閣(龍神弥彦)老衰のため死去。
そして、その数日後に天下分け目の関ヶ原の戦いがあったと伝えられている。
ーーー華身一刀流剣道場にて
戦國人伝を閉じ、立ち上がり外の空気を吸いに行こうとすると炎閣が近くの木を眺めていた。
「どうしたんですか?炎閣さん!」
「ん?いや、ただぼーっとしていただけじゃよ!」
炎閣と話しているとどこからか声が聞こえた。
「その木はな!鹿洲と俺が産まれる前からあるんだ!」
「桜華さん!体は大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ!その木綺麗だろ?木っていうのは失礼だけどな!その木はな!枝垂れ桜っていうんだ!春になったら綺麗な桜が咲く!」
「枝垂れ桜...綺麗な桜ですね!」
「そうだろう?」
その桜はどこか切なく儚く咲いていた。
桜華は少し口を開きこう呟いた。
「そろそろ、お前にも話しておかないとな...」
桜華の顔を見るとどこか悲しい表情を浮かべていた。
「えっ?」
「俺と不死原の過去の出来事を...」
そう言って桜華はどこかへ出かけって行った。
日は沈み周りは暗く染まっていた。
桜華はそんな中、光が灯らない街を歩いていた。
まるで過去を思い返すかのように...
「お兄ちゃん!」
どこからか声が聞こえた。
振り返るとそこには誰もいない...
いや、そもそもいるはずがない。
振り返った後きっと俺は何かを期待していたのだろう。
もう、いないのがわかっていても...
桜華はどこか悲しそうな顔付きで空を見上げた。
それは、満月が照らす夜だった。
剣道場に戻り、剣たちの寝顔をみてホッとしていると背後から鹿洲が小さな声でこう呟いた。
「どうしたんだ?お前らしくない!」
外を歩いている時に感じたことを鹿洲に話すと鹿洲がこう呟いた。
「またか...最近やたら増えてるな!まぁ、気にしないほうがいいんじゃないか?」
「そうかもな。」
涼しい風が吹く。
その風に当たりながら二人、そっと日本酒を注いだ杯をかわしながら飲みほす。
時間は過ぎ去り、誰かの声が聞こえる。
そっと目を開けるとそこには剣が心配そうな顔で見つめていた。
朝の風が頬に当たる。
太陽が視界に入り、眩しい。
なんだ...もう朝か。
剣が一言、呟いた。
「さっきまでうなされていましたよ!桜華さん。」
「悪いな!いい夢を見てた気がする。」
剣に続けてこう呟いた。
「剣、他の奴らを連れて茶の間に来てくれないか?」
「いいですけど。何かあるんですか?」
「お前たちに伝えておきたい話がある。」
そう行って桜華はその場を後にした。
華身一刀流剣道場 茶の間・・・
剣は晃作や千代を含めた他の奴らを集め茶の間につくとそこには桜華が座っていた。
「とりあえず、好きなところに座ってくれ。」
「話って?」
桜華は首筋をかきながらこう呟いた。
「剣。あくまで例えばだが、もし目の前で親友と呼べるやつが助けを求めていたら手を伸ばすか?それとも手を伸ばさないほうか?」
「俺は手を伸ばします。救えるのなら!」
フッと笑い桜華はこう答えた。
「他のやつも同じか?」
他のメンバーも互いの顔を見ながら頷いていた。
桜華はそれを見てこう呟いた。
「今のお前になら話してもいいかもな!あの頃の出来事を...」
涼しい風が頬をかすめる。
時間は正午に近づいていたのだろう。
暖かな日差しが外を照らしている。
そう、それは二人の最強の妖刀使いと呼ばれた男の出会いと別れの話だった。




