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妖刀 四重奏(カルテット)  作者: 幻魔 狂死郎
戦國編
55/66

第五十五話 戦國人伝パート12

1585年

豊臣秀吉が朝廷より関白宣下を受ける。

それにより、政務は秀吉に握られてしまった。

同年、四国攻めが起き四国を統一していた長曾我部元親らが秀吉に屈服した。

1586年姫路城...

家臣を率いて姫路城に入っていく一人の武士がいた。

「良くぞ来たな!家康よ!」

「お久しぶりでございます。秀吉様。」

後に徳川は秀吉の配下に加わった出来事だった。

1587年秀吉は九州に軍を率いて九州平定を進めていった。

敵対していた島津軍を圧倒するような力を見せつけ、追い込まれた島津は降伏した。

その戦はあまりにも悲惨だったと後の者たちは語った。

そして、1588年...

各地の農民や百姓たちの村にて...

「ほら!次のやつ早く刀を出せ!!」

「いやべぇ〜!これはわしの大事な刀だべぇ〜!」

「刀を出せねぇなら!」

農民の首が飛んだ。

それに怯えた村の人々とまだ幼い子供もいる中、やつらはお構いなしに刃向かうものは子供や女あるいは老人だろうが斬り殺した。

そして、それは農民だけに収まらず武将が持つ妖刀も対象になっていた。

約数万本の刀が集められ処分された。

その中には十ニ神刀も含まれていたとされている。

そして、1589年...

初代炎閣はあてもなく、東北の方を彷徨っていた。

ちょうど、その頃は大雪が降り続く山をひたすら歩いていたときだった。

道中、炎閣は発熱していた感覚に見舞われその場に倒れた。

もう、助からないそう思っていた時だった。

かすかに声が聞こえた。

その声は次第に大きくなっていく気がしていた。

「大丈夫ですか〜!?」

目を覚ますと知らない風景が広がっていた。

「あっ、良かった!やっと目を覚ましてくれた!」

そこには若い男と女がこちらを心配そうに見つめていた。

「わしは、一体...」

「雪山であなたが倒れているのを見つけておぶって自分の家まで運んだですよ!」

その男は頬に刃物で切ったような傷と手に火傷をしている傷跡があり、どこか輝いた目をしていた。

「君は...」

「あっ、自己紹介がまだでしたね!僕は永十郎(えいじゅうろう)といいます!そして、こっちが...」

「妻の菊(きく)といいます!」

女の方を見るとお腹が出ていた。

多分、子供を身籠っているのだろう。

「わしの名は炎閣というしがない刀工じゃ!」

「炎閣...さん、刀工ってすごいことやってるんですね!」

永十郎が刀を持ってきてこう呟いた。

「この刀を見てもらえませんか?」

その刀は戦國時代のものではなくそれより遥か前に作られたであろう品物だった。

「これはお前のものか?」

「はい!先祖が元々、鍛冶をやっていたと昔、父から聞いたことがあったので...」

「そうか。」

刀の柄(つか)を固定している目釘を抜いて柄を叩いて浮かせ刀身を引き抜くことにより刀の茎(なかご)の部分を見てこう呟いた。

「うむ...この刀、いい出来じゃな!刃毀れもなく使用もそこまでされていないとみる。この刀は誰から?」

「そこまではわからないです。ただ、この刀を作った人は有名な刀工だったと父から聞いています。」

「そうか!」

炎閣は立ち上がり、こう呟いた。

「ありがとう!永十郎よ!」

「もう、行かれるのですか?」

「なに...また、気が向いたときに顔を見せるさ!」

晴れ渡る空の下雪が積もる道を歩きはじめた。

それが後に獅子王家との出会いだった。

1590年...

小田原にて豊臣秀吉は北条氏の周囲の城を次々落とし最終的には小田原城を完全包囲し3ヶ月足らずで北条氏直は降伏しその後、氏直は高野山での蟄居(ちっきょ)を命じられた。

そして、同年に秀吉は天下統一を成し遂げた。

それは、悪夢のような始まりにしか過ぎなかった。

同年 姫路城...

姫路城のほとりが赤い血で染まる。

地べたには秀吉に異論を申したものあるいは抵抗したものの亡骸が無残にも転がっている。

それを嘲笑うかのように城内の兵士たちは亡骸に向け何度も刀や槍で臓器をほじくっていた。

「天下は豊臣様のものだ!それに反旗を企てるものはこの亡骸(ゴミ)と同等に処す!さぁ、異論があるものはいるか?」

それは、姫路城を含め各地でも豊臣秀吉の兵士たちが見せしめをしていた。

民に恐怖を植え付けることで逆らえなくし自分の手足のように民を動かすことが秀吉の狙いなのだろう。

しかし、一部の地域では笠を深く被った刀を持つものによるであろう秀吉の配下たちが無残にも殺されていた。

「さぁ!お前たちもこのようになりたいか?」

刃向かうものの首を見せつけ豊臣配下は言った。

しかし、どこからか悲鳴が上がると同時に水溜りを歩く音が聞こえる。

その方向を見ると豊臣配下の首が地面に転がっていた。

「なぁ...何やつ!」

その男の持つ刀は普通の刀ではなく妖刀だった。

そして、顔は笠で深く被っていてわからなかった。

「チッ!豊臣に仇なす者だ!殺れ〜!」

大声でそう叫んでも周りには誰もいなかった。

「ど...どうなってやがる。俺の部下たちは...」

地面を見ると部下たちの首が転がっていた。

「ヒィ....」

その場から全速力で逃げていく。

遠くへさらに遠くへと逃げていくなか、息切れを起こしながらこう呟いた。

「ここまで来れば追ってはこれまい...」

背後から針を通すほどの痛みが走った。

「なんだ?何が起きた?」

自身の左腕を見ると手の感覚が無く斬られていた。

「お前は誰だ?」

「お前?いや、逃げんなよ!人をあんだけいたぶってあんだけ殺してどの口が助けてだ...情けねぇ!あんたも一人の武人なら潔く死ねよ!」

「この...クソ野郎が〜」 

「焔火!炎天日照(えんてんにっしょう)」

相手の攻撃を屈んで避け、一歩足を踏み込み青く揺らめく炎を纏った刀身で相手の首を斬り裂いた。

青い炎が相手の体を燃やし尽くしていた。

刀を鞘に納めこう呟いた。

「遅くなってすまない。お前たちの死を無駄にしないようにする。

だから、あの世で安らかに眠っていてくれ...」

民たちの亡骸を一つに集め土をかぶせ上に木を立て終えた後に手を合わせながら

死者を弔った。

その男が振り返り、その場から去ろうとしたとき後から女の声でこう囁いていた。

「ありがとう。」

男は振り返り少し和んだ顔をして一礼しその場を後にした。

豊臣秀吉が天下を統一したことにより誰も逆らうことができなくなってる中、そんな中でも例え一人になっても抗う男はいた。

その男は後にこう語られる。

豊臣を討ち取りし蒼炎の英雄と...


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