第五十話 戦國人伝パート7
1575年...
武田軍と徳川軍、織田軍の連合による戦いが幕を明けた。
後にこの戦は一つの時代の変革を示すこととなる。
織田家と徳川による作戦会議が行われていた。
「しかし、殿!武田の騎馬隊に対しての打つ手がありませんがいかがなさいましょう?」
「いや、ある!十ニ神刀を使う。」
「まさか...あの妖刀をですか?それはなりませぬ!まだ、実戦投入できるかの確認すらできておりませぬ!」
「いや、既に浅井と朝倉のあの戦いである程度の情報を得ることができた。それを改良し、扱えるようにしてある。それに...」
何かを言いかけようとした瞬間、誰かの声が響き渡る。
「大丈夫ですぞ!そもそも、その刀たちの鋼は普通の玉鋼ではないのですから!」
「玉鋼ではない?じゃあ、何を...」
「芝鋼と呼ばれる特殊な硬度の鋼を使い何千、何万も鍛え上げ作ったのがその十ニ神刀でございます故に...そして、その妖刀は何千の軍勢を一振で滅ぼすことが可能です!」
家臣たちは驚いた顔をしながら信長の方を見つめていた。
「うむ!武田勝頼を討ち取ろうぞ!」
オー〜〜!!
やる気のある返事と一部、やる気のない返事が聞こえてきていた。
武田軍本陣にて...
家臣たちが一斉に勝頼の顔を見つめていた。
「よくぞ!集まってくれた我が友よ!今こそ、第六天魔王を討ち取り我らこそが天下に名だたる者として歴史に刻むぞ!」
家臣たちや兵士たちの士気が上がっている。
武田騎馬隊の出陣と共にほら貝がなり戦の合図が聞こえた。
武田騎馬隊が一斉に織田徳川連合に襲いかかる。
無惨にも足軽や雑兵がやられていく中、織田と徳川本陣へと馬を走らせていく。
織田徳川の馬印が見え、そのまま馬印が見えるほうへ馬を走らせながら敵を蹴散らしていく。
「あと、もう少しで本陣!」
本陣が目前に迫る直前、織田徳川ともに座っているのが見えた。
「織田徳川の首を取れば、俺たちは歴史に名を刻める。そして、勝頼様から褒美が得られる。」
織田と徳川の首を狙った瞬間、どこからか声が聞こえた。
「騙せ!月読命!(つくよみ)」
刀を振り子のように揺らせながらこちらを見つめる男がいた。
「どうや?いい夢見れたか?武田騎馬隊の方々!?」
「貴様は?一体何やつ?」
「俺は滝川一益っていうもんや!まぁ、あんたらはこここで死ぬから関係あらへんけどな!」
武田の騎馬隊の兵士が周りを見渡すと自身と同じように騎馬隊の兵士たちが自分たちの仲間同士で殺し合っている光景が広がっていた。
「うっ、嘘だろ?これは一体?」
「あぁ、一つ言い忘れとった!これが妖刀と呼ばれるもんの力ちゅうやつや!」
一瞬にして胴体を斬り落とした。
「てなわけで後頼んだで!明智殿!」
「承知した!滝川殿!!燃え盛れ!伊邪那美」
伊邪那美の圧倒的な火力が周辺の大地を焼き尽くした。
その光景を見ていた敵兵は絶句しながらこう呟いた。
「ここは、本当に戦場なのか?それにしては戦というより...地獄絵図という言葉そのものではないのか?」
ある意味、地獄そうなのかもしれない。
戦場には大義があっても無くても結局最後は失うものの方が大きいのだから...
妖刀の導入によって武田騎馬隊やその他の武田の重臣は討死にした。
また、生き残ったものたちにも恐怖や絶望という深い傷を残した。
戦の終わる音が聞こえる。
武田の悲しでいる残兵に光秀はこう叫ぶ!
「もう、やめにしよう!これ以上おぬしたちを傷つけたくない。」
焦げた匂いが戦場に漂う。
戦とは時に残酷で無残だ!
先ほどまで戦っていた武田の兵士たちは次々、武器を捨て投降していく。
投降した兵士たちを家来に任せてそのまま本陣に足を運ぼうとしていると遠くの陣地から大声で何かを言っているのが聞こえた。
急いでその方向へ向かうとそこは羽柴秀吉の陣地だった。
そこには女を抱き、酒を飲みながら座る男がいた。
「金、女、敵の財宝...手柄を立てたものに好きなものをくれてやる!」
その男に次々と秀吉の兵士たちが自身の働きを伝えていた。
「敵将の首を討ち取り損ねた?聞いて呆れるのぉ〜」
「申し訳ございません。しかしながら、あともう少しでその将を討ち取ることが...」
秀吉は深くため息をつきながらこう呟いた。
「この世は弱肉強食!強きものが生き、弱き者は死ぬ!それがこの世の理!
故に、お前みたいな手柄すら立てられない弱者はいらぬ!」
「ヒィ〜!お許しを秀吉様〜!」
刃を振り下ろす瞬間それをとめる男が現れた。
「よさぬか!秀吉!」
「これはこれは、光秀殿!ではござらぬか?粛清の途中だが、なぜ邪魔をする?」
「この戦で敵も味方も多くの血が流れた。それ故に、これ以上無駄な血を流す必要などない。」
「それはそれは、素晴らしいことをいう。だが、今のこれとは関係なかろう。わしはお主を高く評価しておる。じゃが、あまりわしの邪魔をするなよ!お前も弱者呼ばわりされたくなければな!」
秀吉はその言葉を言い残しその場から立ち去った。
「助けていただきありがとうございます。光秀様!」
「秀吉の言葉気にする必要ないぞ!」
兵士の肩をポンと叩き本陣へと向かっていった。
織田軍本陣...
「この度の戦!我が軍の圧倒的勝利だった。...」
信長による話が続く中、その話を静かに聞いていた。
話が終わり、最後に城に戻ったら宴を開くと各家臣に伝えられた。
その話が終わり城へ帰る支度をしていると誰かから声をかけられた。
「光秀殿!どうだった妖刀の調子?」
「炎閣殿!お陰様で、だいぶ使いこなせてきました!」
炎閣はうんうんと頷きながら続けてこう呟いた。
「それならよかった。」
「ところで、少し前から気になっていたのですがその腰の刀は一体?」
炎閣は微笑みながら呟いた。
「これは、わしが自身で生み出した妖刀の一つじゃよ!まぁ、あくまで護身刀みたいなものだがな!」
「なるほど...ならば拙者も負けてはいれませんぬな!」
「また、時間があるときにでも茶を飲みながら話そう。光秀殿!」
「はい!その時はお願いします!」
あの後宴が終わり信長様含め多くの家臣が酔い潰れている中、わたしは外へ空気を吸いに向かっていた。
戦での空気とは違い普段の空気のほうが美味しく感じた。
そして、数日後...
信長は岐阜城へ戻り、そこで秀吉と光秀を集め何やら話していた。
「よく来てくれた2人とも...実はお前たちに伝えなければならないことがある。」
「といいますと?」
「天下統一を果たしたらすべての妖刀を処分する。」
二人は言葉が出ないほど驚いていた。
「なぜです?日本が一つになったあと、他の国とと戦わなければならぬときが来るはずです!そのための武器いや、力として妖刀は必要なはず...なのになぜ?」
「単純な話さ!」
子供たちが遊んでいる様子を見て信長は微笑みながら呟いた。
「この子たちが生きる未来には戦や争いはないと見ている。それ故にだ!そうは思わぬか?光秀、秀吉?」
光秀はその言葉を聞いてこう返した。
「おっしゃる通りです。信長様!」
しかし秀吉は拳を握り怒りをあらわにした顔で信長を睨んでいた。
「光秀、どうしても信長と同じ考えか?」
「信長様は子どもたちの幸せを願っているがゆえにそう答えたんだろう。だから俺は従うまでさ!」
光秀はその場を去っていった。
「そうか...残念だ。光秀」
苛立ちを隠せない顔をしながらそう呟いた。




