第四十七話 戦國人伝パート4
翌日になり、京都へ向けて支度をしていると城内に響き渡るほどの声が聞こえた。
「信長殿はおらぬか?行くぞよ!行くぞよ!妾は行くぞ〜おじゃ!」
そこにはすでに馬に跨りはしゃいでいる足利義昭がいた。
信長はそんなはしゃいでいる義昭を見ながら家臣にボソッと呟いた。
「なぁ、利家!コイツ処す?処す?」
前田利家は信長に呟いた。
「とっ、殿!落ち着いてくだされ!」
織田家に仕える家臣の一人。
前田利家は昔から殿の身の回りの世話等をこなしていた。そして、時にはやんちゃを殿としていたとか...まぁ、色々と昔からあったみたいだ。
「まぁ、良い!そろそろ出るとしよう」
京都へと馬を走らせ美濃・近江(琵琶湖周辺)を経て草津・大津へ抜けるルートを使い、京都へ二日かけて馬を走らせた。
・・・京都・・・
京都へ入り、京都の朝廷がある場所へ向かっていき馬を馬小屋に止め他の者たちを引き連れ足利義昭がいる朝廷へ歩いていった。
「ふむ!ここが噂の朝廷というやつか」
「人が今日は多くみえるみたいですね!」
「あぁ、まるで城下町とは違うほどな!」
1568年(永禄11年)10月18日に朝廷から将軍宣下を受け、室町幕府の第15代征夷大将軍に就任したのであった。
その儀式が終わり、帰ろうとした頃に後から肩をポンポンと叩かれる。
振り向くと変顔をした足利義昭が立っていた。
「妾が征夷大将軍じゃ!ここまでありがとうな!信長よ!おじゃおじゃおじゃ!」
信長は苦笑いをしながら内心こう思っていた。
「コイツ、マジで処してやろうか?」
と信長が内心思っているとそれを察した利家がこう呟いた。
「信長様、言いたいことはわかります!でも、ここだと周りの目があります故に...我慢しましょう!」
「わかっている犬千代!」
「わかっているのなら安心いたしました。あと、利家といい加減呼んでください!」
信長はその後、むっとした顔をしながら宿に帰っていった。
その夜...
信長は家臣たちと酒を飲んでいると一人の男が声をかけてきた。
「これは、これは信長様!こんなところでお酒を飲まれているとは...」
「たしかお主は...光秀殿だったか?」
「はい!そうでございまする!」
「しかし、お主はたしか足利義昭に仕えているのではなかったか?」
「実は先ほど、足利義昭様に話をしてまいりました。」
儀式が終わり、足利義昭は宴を開いていた。
「今日は妾の奢りじゃ!飲め!飲め!」
「義昭様、一つ申したいことがございます!」
「どうした?光秀!そんな顔しよって!」
「本日をもって、私はあなたに使えるのをやめさせていただきたい。」
口から酒を吹き出しながら義昭は呟いた。
「どうしてじゃ?妾は金も名誉も地位もお主にくれてやるぞ?」
「いえ、私は織田信長公に興味があるのです。」
「信長公の何が良い?」
「あの人の迷いないあの輝いた目に惹かれたのでしょう。あのお方ならきっと...この乱世を終わらせられるかもしれないそんな気がしたのです。」
「そうか!ならばよい!お前の好きにしろ!」
その場を後にし、馬に跨りそのまま走らせ信長がいるであろう方向へ走らせた。
「信長様!私をあなたの家臣にさせていただきたい。」
信長は少し考え、ニヤリと笑いこう呟いた。
「お前はこの日ノ本の国は好きか?」
「ハッ?」
「日ノ本の国は好きかと聞いておる?」
「もちろん、好きでございます!生まれ育った国も全て...」
「そうか!ならば聞こう!この日ノ本の国をもし一つに統一することができ、平和な世を見出すことができるとしたらお前はその世で何を成し遂げたい?」
「私は武士や農民関係なく、共に暮らし共に歩いていけるようにしていきたい。
皆と共に米を作り、皆と一緒に飯を食い皆と共に笑いあえるそんな世の中にしたい。」
「うむ!良いだろう。お主、光秀と言ったな!」
「はい!明智光秀と申します!」
「光秀よ!我と共に作るぞ!平和な世を...」
「ハッ!」
そう、これが後の本能寺へと繋がる者との出会いだった。
そして、1569年...
「信長殿〜!遊びに来たぞよ!」
「また、うるさいやつが来た!」
「どうされた?義昭殿!」
「実は一つ頼み事があるのだが...妾の住処が三好の奴らのせいでなくなってしまったじゃろ?だからそなたに新しい家を作ってほしいのじゃが?よいか?」
「嫌だ!」
「そこを何とか!妾とお主の仲じゃないか?」
「嫌と言ったら嫌だ!」
織田信長は足利義昭の新たな住まいとして二条御所に作った。
その間、約70日ぐらいだった。
数ヶ月後...
出来上がった新しい住まいを見て足利義昭は目をキラキラさせながらこう呟いた。
「最高じゃ〜!!いや、やっぱり信長殿の仕事は早くて何より質がよい!」
中に入る前から興奮している姿を見て信長は家臣にこう呟いた。
「アイツ、なんか言ってるぜ!利家!アイツやっちゃっていいっすか?トシパイセン!」
「誰がトシパイセンだ〜!!それにやっちゃいけない人ですよ!信長様!」
「え〜、信玄はついやっちゃうんだとか言いたいお年頃だから良くない?」
「良くないって言ってるでしょ!」
信玄とは・・・武田信玄公のこと...
信長はため息をつきながら声のトーンを下げてこう呟いた。
「クソジジイ」
「誰がクソジジイだ〜!!」
「あっ、やべぇ〜聞こえてたか!」
「聞こえてたかじゃねぇよ!どれだけ処してんだよ!アンタは...」
「いや、だってあぁいう系処したくなるでしょ!誰でも」
「なるかもしれねぇけどならねぇよ基本的には考えろ!うつけ殿」
「誰がうつけパトリオット殿じゃ〜!!」
「どっからどうやったらそんな名前出てくるんだ!てか、それよりアンタ足利義昭殿はどこへ?」
周りを見渡しても義昭の姿が見当たらない。
どこからか大きな声で信長を呼んでいた。
「ほれほれほれ!信長殿!!これは楽しいぞ!おじゃ!」
そこには謎の通路があった。
それは一人しか通れなさそうなくらいの穴でどこへ繋がっているのかわからないような設計をしていた。
「これは?」
「滑っていくことで厠へと即座に移動できるようの仕掛けが施されているようですな!」
「これを作ったものを出せ!」
「ハッ!」
数十分後...
「コヤツでございます!」
そこにはいかにもやせ細っている男が立っていた。
「こんな、力がない男が作ったのか?」
「そのようです!」
「そこの男に聞くこれは誰が指示した?」
「あぁ、これはあそこにいる語尾がおじゃって言ってらっしゃる方から作ってくれと頼まれました。」
織田信長はしばらく沈黙した後、義昭を呼びこう告げた。
「金は払うがお前が追加で言った分は出さぬ!バカ昭!」
「ん?今、バカ昭と聞こえたように思えたがさすがにお主じゃないな!おじゃ!」
「ちっ...感の良いバカは嫌いだ!」
「聞こえてるぞよ!信長よ!」
信長はバカ昭に聞こえないぐらいの小さな声で利家に呟いた。
「やっぱ、コイツやっちゃう?殺っていい?秀吉か光秀呼んで殺っていい?」
「信長様!下手したら聞こえちゃいますよ!」
「ん?なんか言ったかおじゃ!」
「気のせいですよ!義昭殿!」
「ちっ、アイツの顔面にスパーキングお見舞いしてやったのに!」
「何やろうとしてんだ!バカ殿〜〜!!」
何だかんだで二条御所は出来上がったとさ!




