第三十四話 九大天世界 化身 玉藻前パート2
容赦ない攻撃が鹿洲に襲いかかる。
それをギリギリで防ぎながら相手の様子をうかがいながら距離を徐々につめていく。
「華身一刀流 抜刀術 時雨桜」
水のように清らかな斬撃が玉藻前、めがけて放たれる。
しかし、玉藻前にはあらゆる現象をすべて無効にする。
手の内どころがないのだろうか?
鹿洲は一言呟いた。
「だからめんどくさいことは嫌いなんだ!」
刀に妖力を集中させる。
相手が攻撃を仕掛ける瞬間に鹿洲は木から木へと移っていく。
木々へ攻撃が当たっていく中、ひたすら渉と剣がいる岩陰へと急いで向かった。
岩陰へたどり着いたタイミングで蓮川に鹿洲は一言呟いた。
「渉!悪いが、お前の妖刀の力を貸してくれないか?」
「いいけどよ!妖力があんまり残っていないけどいいか?」
「なぁ〜に、簡単なことさ!縁の能力を使って奴を食い止めてくれればいい。」
「お前はその間、どうするんだ?」
「あれを使うしかなさそうだからな...」
・・・あれ?ってなんだ?
「華身一刀流の奥義さ!まぁ、とりあえず時間は稼いでくれ!おっと、ここから出る前に...」
剣を横に寝かせながら呟いた。
「華身一刀流 簡易結界 夕凪」
5mほどの結界が張られた。
結界が張られたおかげで敵も容易に襲いにくくなるだろう。
岩陰から身を出して大きな声で言った。
「待たせたな!さぁ、続きと行こうか!!」
「いいだろう。」
刀を鞘に収め、相手の出方を伺う。
相手も同じようにこっちの出方をうかがっていた。
「まずは!そこの負傷しているお前からだ!!」
渉の方を狙って無数の斬撃が放たれる。
渉が目を瞑りかけたとき、鹿洲が渉の前でその斬撃を防いだ。
「大丈夫か?蓮川!!」
「ありがとよ!鹿洲さんよ!!」
「出せるか?蓮川!」
「はいはい!任せな!」
蓮川の後から強大な妖力を浴びた幻影が現れる。
「下せ!縁」
妖刀 咎殃 縁の能力...
それは、審判...
固有結界内のみ対象とし縁の結界に入ったものの罪状を告げ、制裁を加える。
尚、その際 相手が嘘の供述をしても縁自身が見極めるため無力となる。
また罪人の有罪が確定した場合のみ、相手の妖刀の妖力を無力にし、縁の所持者は断罪の刀を受け取ることができる。
妖刀による結界内にいる限り一時的に妖力が使用不可となる。
「さぁ!お前はもう妖力を使う攻撃ができなくなるはずだ!」
「それはどうかな?」
縁の能力が徐々に消えかかっている。
「ちぃ、厄介な妖魔だ!」
残りわずかな妖力を少しずつ消耗しながらなんとか耐えている。
「はやくしてくれよ!鹿洲」
鹿洲は刀を鞘に収め強く握りしめながら目を閉じた。
おそらく奴の弱点は頭と首の刃が届くか届かないかのわずかな隙間...
そこを狙うには...絶対防御を破る力を使わなければ勝機はない。
爺、アンタだったらきっとどうしたんだろうな?
「やるしかないな...」
妖力の地道なコントロール、それが出来れば基本的には倒すことができる。
だが、もし倒せない相手がいるとするならそれは人や動物ではないのだろう。
鞘から溢れ出る膨大な妖力の欠片。
それは、鹿洲自身が貯めたものではなく幾多の華身一刀流使いから蓄積された積年の一刀...
これは、歴代先代の民を助けるために刀を振るい続けた者たちが次の当主へ託すためのものだったのかもしれない。
今、その刃は三十一代目当主である彼に委ねられたのだから...
相手の斬撃が渉へ放たれる。
防御の体制も間に合わずにその攻撃を受けていく。
渉の身体に切傷が複数できていく。
「わりぃ、鹿洲どうやらここまでしか耐えられなかったぜ!」
渉が倒れ込んだと同時に鹿洲は渉に優しく呟いた。
「ありがとうな!蓮川!!」
鹿洲が握る刀には膨大な妖力が流れていた。
知っていたさ...お前には剣術も妖刀の力も通じない。
でも、頭と首の隙間の部位なら何かしら通じるものがあると思っていた。
相手の攻撃が放たれる瞬間、相手の腕を斬り裂く。
相手がひるんだ隙を狙って地面から刀を空へ巻き上がる一撃を放った。
それを無効にするように相手の能力が発動した。
その一瞬を逆手にとり、刀を鞘に収め地面を強く蹴って踏み出した。
それは幾星霜語り継がれた伝承や伝説の類とは異なる。
華身一刀流の当主間でのみ語り継がれた数ある奥義の一つだった。
「華身一刀流 極の奥義 飛天灰尽」
妖力を最大限刀身に浴びせることで擬似的な鮮やかな炎を刀身に纏わせ、放つ防御不可の一撃!
刃が玉藻前の頭と首の隙間へと届く。
自身の首を刎ねさせないと刃を片腕で防ぐが鹿洲の刃が徐々に玉藻前の首をとらえていく。
その色褪せない炎は玉藻前の全身を焦がしはじめた。
「人間ごときに私がやられるなど...」
「アンタは強かったよ!俺にとってはな!」
玉藻前の首を刎ねた。
バカな...
このような者に私を討つことなどできぬはず...
「はぁ〜、お前が思っているほど俺たちは弱くはない。俺たちだって、誰かの死や痛みを乗り越えてるからこそ今がある。それは、誰にだってあることさ!」
鹿洲は玉藻前を見つめながら呟いた。
「少しは楽しめたか?化け狐!」
「フン!貴様に言われたくないわ!小僧!!」
妖魔が敗れたら契約者と契約妖魔の間の契約は切れ妖魔はあの世に帰る。
それがその力の規約ってやつさ!
「さて、お前らはどうする?」
拍手の音が響き渡る。
「おめでとう!君、中々強いね!名前は?」
「テメェ〜に名乗るなんてねぇよ!」
「仕方ないね〜!僕の名は冥洛!!君も彼から聞いているだろう?」
「あぁ、少しは聞いているさ!」
「それならよかった!退屈しなくて良さそうだ!」
相手が虚空から刀を取り出し、呟いた。
「これは君も知らないだろう。」
その刀は禍々しい気を放っていた。
・・・洞窟の中にある泉にて、甲冑を着た数人の男達が入っていく。
周辺を捜索していくと赤と白が混ざったような花がつぼみを閉じた状態で見つけたと知らせを聞きつけ、ある男が向かっていた。
その男の名は...豊臣秀吉!!
後に第七天魔王と恐れられた男だった。
数日後・・・
第七天魔王様の御成〜〜!!
秀吉が歩く道が開かれその周りには地べたに土下座をするものたちの行列ができていた。
「随分と懐かしいのぉ〜!忌々しい地へ再び降り立つことになるとはな!」
「あれが噂の豊臣秀吉様か?」
「そうらしいな!」
村人同士が話をしていると秀吉の家臣が近づいてきて呟いた。
「お前たち、そこをどけ!このお方をどなたと存じ上げる?」
秀吉は家臣の一人に一言呟いた。
「やれ!」
その場に取り押さえられ、首を刎ねられた。
その間、村人たちはお互いにこう叫んだ!
「助けてくれ〜!」
「おらたちは何もしてないけろ〜」
「すまないが秀吉様の命だから悪く思うなよ。」
二つの亡骸を馬で踏みつけて進んでいく。
まるで、人をゴミのように蔑んだ目をしながら嘲笑うかのように笑っていた。
そして、泉の方へ着き目的の場所へ向かうとそこには噂に聞いていた破邪の花がまんべんなく咲いていた。
赤と白が混ざったつぼみから白い花が数百年に一度しか咲かないため、正確な年数が分からない。
その代わりに咲いていればその花をすべて刈り色々な薬草と煎じて飲めば不老不死になりえると言う伝承のみが広がっているだけだった。
「これが噂の破邪の花...思っていたよりそんなにもないようじゃな!」
周りを見渡しても十本あるかないかの状態だった。
それを煎じて飲み干すと秀吉はこう呟いた。
「一度、不老不死になっているか試そうとしよう!」
不適な笑みを浮かべていた。




