第三十話心を読むもの
小さな小屋で目を覚ましてからなぜあの場所で恵美須と合流することになったか?というとそれは...
...狛狐神社...
炎閣の話がおわり、破邪の花が採られるのを阻止するべくそれぞれ手分けして泉の方へ向かうこととなっていた。
「あ〜、あと6人だから誰か一人単独かそれとも2人のとこに入るかだけどどうする?」
晃作が一言呟いた。
「いや、普通にジャンケンで決めればいいだろう?」
それを横目に全員が晃作を見て驚きながらこう言った。
「お前、まともなこというな。いつもなんかつまんないことしか言わないのに...」
「はぁ?何だよ!つまらないことって」
晃作が不服ながらもそう言った。
それを周りは無視していると鹿洲は続けて呟いた。
「まぁ、アイツはほっといて全員準備はいいな〜!!最初はグー!ジャンケンポーン!」
全員一斉に出した手を見た。
最初に勝ったのは剣と渉だった。
その次に勝ったのは晃作と千代、そして最後が鹿洲と篠波だった。
決め終わる直前、篠波は鹿洲に言った。
「わりぃ〜!鹿洲、俺単独行動するわ!」
そう言いながらその場を後にした。
八鶴が指す方向へ向かうとわずかな妖気の残影を追っていたら古びた神社にたどり着きそこで恵美須と出会ったってわけだ。
大まかな理由はそんな感じだ。
話が終わると恵美須は少し微笑みながらこう言った。
「あなたも大変なのね!あたしは軍の任務でこんな何もない島へ派遣されただけ...でも本音をいうとね。早く軍を辞めて大佐の墓参りにいきたいわ!それよりあなた獅子王剣らと合流しなくて大丈夫そうなの?」
篠波は少し微笑みながらこう呟いた。
「あぁ、大丈夫だろ!何せアイツと組んでいるのは裁判官を殺した奴なんだぜ?」
...千子島 佐々美山...
千子島には活火山が存在する。その火山の名は佐々美山とこの島の住人には呼ばれている。
その山へ向かう者たちがいた。
森の中を進んでいく。
森を抜けた先には登山道が続いていた。
その登山道を進んでいるとどこからか微かな妖力が感じる。
互いの背中をあわせながら微かな妖力を五感で感じ取る。
「誰かいるだろう?出てこいよ!」
静寂に包まれる中で拍手をしながら女と男が現れた。
「お見事バレちゃっていたか!」
「お前は八咫烏か?」
「御名答!!俺は八咫烏が一人!冥洛 」
もう1人の女の方を見ると首元に首輪がされていた。
「あぁ、コイツは僕の下僕...簡単にいえば僕の女奴隷さ!」
その女はどこか悲しげな表情をしており、身体もやせ細っていた。
女はこっちを見つめながら何かをつぶやいていた。
た...す...け...て...
微かな声でそう言っている気がした。
その声がした途端剣は相手の間合いに入り込み刀で胴体を斬り裂こうとした瞬間、相手は剣の手を強く握りしめこう言い放った。
「これだから感情を行動に表すやつは面白い。まるで猪突猛進をしてくる猪だな!」
相手の力が徐々に強くなっている。
強く握られていく度痛みが増していく。
剣に目線がそれている間に渉が剣を掴んでいる腕を斬り裂いた。
斬り裂いた腕から大量の血が流れていく。
「あ〜あいい実に気持ちいいぜ!この感覚たまんねぇ〜!!まぁ、俺はこんなもんじゃ!満足できねぇけどな!」
切断された腕が動き始め、それを片手で斬られた場所にあてると斬り口が塞がった。
「もっともっともっともっと〜!俺を楽しませてくれよ!妖刀使い!!」
...コイツ、本当に人間かよ?明らかにあれは普通の人間にはできねぇぞ!
「あぁ、そうか。普通の人間には出来ねぇよな!」
なんで心の声が読めるんだ?
「そりゃ、決まっているだろ?俺の能力は相手の心を読む力だからだよ。」
剣と渉は驚いた表情をしていた。
そう言いながら相手は自身の刀を鞘から抜いた。
「届け!凩」
冷たい刃風が剣と渉に襲いかかる。
その中を掻い潜る手が今はない。
「剣、俺が奴を引きつける。その間に奴の懐に飛び込めるか?」
「なんとかやってみます!」
渉の合図と同時に二手に分かれて、相手の間合いに入りこもうと動き出した。
「下せ!縁!!」
相手が渉の妖力に夢中になっている間剣は相手の様子を伺いながらつめていく。
縁の能力で簡易空間内での妖力を持つ攻撃は不可となる。
そして、縁の能力は...
妖刀 咎殃 縁の能力...
それは、審判...
固有結界内のみ対象とし縁の結界に入ったものの罪状を告げ、制裁を加える。
尚、その際 相手が嘘の供述をしても縁自身が見極めるため無力となる。
また罪人の有罪が確定した場合のみ、相手の妖刀の妖力を無力にし、縁の所持者は断罪の刀を受け取ることができる。
妖刀による結界内にいる限り一時的に妖力が使用不可となる
ただし...それは妖力を持つものに限られる。妖力を持たない人間がもし固有結果内に入った場合...誰も気づくことがない。
「お前の縁が発動するタイミングで妖刀の力を無くして正解だったぜ!」
刃が渉の胸を刺していた。
「嘘だろ...渉〜!!」
渉が倒れ込んだ。
渉に近づき心拍を確認するとまだ、息をしていた。
出血を止めるために最低限の応急処置を施した。
「さぁ、次はテメェ〜だ!!獅子王剣!!」
鹿洲が少し前の修行で言っていた言葉を思い出した。
「妖刀を持つものの中には妖刀の力を発動し相手の出方を見ながら戦うやつも中にはいる。ただし、忘れてはならないのは妖刀があるから強いじゃない。妖刀を持たなくても妖刀使いと同等にやりあえる奴が強いと言えるだろう。あくまで、俺と志波竝が今まで交えてきたやつでそういうやつもいたのさ!お前らもいずれはそういうやつと交えることになるさ。」
その妖刀を持つ者が目の前にいる。
刃を剣に向けながら相手はこう言った。
「さぁ!続きをしようぜ!獅子王剣!」
相手の凩の刃風が剣に襲いかかる。
その風を剣は自身の刃で防ぎきる。
風が襲いかかっているタイミングに合わせて相手の刃が剣の頬をかすめた。
その刃をさばきながら剣は相手の隙を見計らっていた。
「どうした?どうした?もっと!俺を楽しませてくれよ!獅子王剣!!」
相手の斬撃が身体中をかすめる。
まるで全身に擦り傷を負うように...
身体中が痛い...
きっと今までも桜華さんや鹿洲さんもこんな気持ちを抱きながら戦ってきたんだろうか?
兼六さん...じいちゃん...
今ならなんとなく分かるよ。
痛みが...
薄れゆく意識の中、誰かが呼ぶ声がする...
そこは三途の川?いや、ただの幻なのかもしれない。
大きな声で呼んだ。
「おーい!!誰かいませんか〜!!」
川の向こう側を見つめるとそこには一人の老人が立っていた。
その姿をみた途端目から大量の涙が溢れた。
「じいちゃん...」
じいちゃんは穏やかな表情を浮かべながら聞こえるくらいの声でつぶやいた。
「剣よ!お前は此処に来るにはまだ早い。お前にはまだ、やらねばならぬことがあるだろう?それを今は成せ!
この世に生を得るは事を成すにあり!じゃあな!達者でやるんじゃぞ。」
じいちゃんはそう言いながら少し目から涙を浮かべていた。
意識が戻ったとき周りを見渡すとそこにはたった一人で冥洛に挑む渉が映っていた。
ふらふらする体を起こし、刀を構えながら呟いた。
「まだ...まだ終わっていない。」
渉と戦いながら不適な笑みを浮かべてこっちを見ながら冥洛は呟いた。
「やっと...戦う気になったかよ!獅子王剣!!」
渉をその辺に放り投げ、剣に襲いかかる。
ギリギリのところで刃と刃が交わる。
「で?どうだ?俺の実力は?」
剣は笑みを浮かべ呟いた。
「大したことないな!」
「はぁ?」
コイツは俺をバカにしたな!
さっきまでその辺の村人やそこでくたばっている妖刀使いのように弱いくせに...
「ならもう一度あの世に送ってやるよ!!」
無数の刃が剣へ放たれる。
それをいとも簡単に斬り裂き、剣は呟いた。
「その程度かよ!お前の妖刀の力は...」
剣の刀の刀身が蒼く揺らめく炎へ変わる。
「刀が炎を纏ってもその程度の力なら俺の凩が上だ!!」
無数の斬撃が放たれる中、剣はそれをかわし相手の懐へ向かっていく。
その瞬間、自身の相方(女)の首に刀を近づけ剣に言い放った。
「これ以上近づいてみろ!!この女を殺すぞ!!」
剣は相手の懐へ近づいたと同時に相手の妖刀を持つ腕を斬り裂いた。
「うわ〜!!お...俺の腕が...」
でもまだ俺にはあの女奴隷が...
片手で女奴隷の手を引っ張ろうとしたタイミングで剣の刃が男の首をとらえた。
「死ね!外道が...」
男の首を刎ねた瞬間血しぶきが舞っていた。
女奴隷を救出しその血しぶきの範囲から遠のいた。
「あっ...あのありがとうございます!」
「お怪我はありませんか?」
「はい!大丈夫です!」




