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妖刀 四重奏(カルテット)  作者: 幻魔 狂死郎
千子(せんじゅ)獄楽編
29/31

第二十九話 妖魔を操る烏

...龍神神社...

軍服を着た兵士らしき男?が神社に入っていく。

兵士は拝殿の中へ入り、そこで少し仮眠を取ろうとして刀を握りしめたまま眠った。

外から何者かの気配を感じる。

妖刀?いや、違うこれは...

微かな音が室内に響いているのがわかる。

戸を少し開けるとそこには強大な妖力を浴びた鬼がいた。

刀を握りしめ、構える。

正面の戸を破り鬼が襲いかかる。

「やったか?」

襲いかかってくる直前に相手の居場所が大体把握できた。

鬼の攻撃を間一髪でかわし、鬼の角を斬り裂いた。

「マジかよ...」

「マジよ!あなた、どうやらこの鬼...妖魔を操る印か何かを扱えるのかしら?見た所によるとその鬼に呪印のような印がされていたみたいね。」

「あぁ、俺は妖魔を操ることができる印を結ぶことができるぜ!例えばこのようになぁ〜」


手を交差して印を結び叫んだ。

「我が汝に命ずる。陰と陽に交わりしそのくろがねの誓いに我が生命いのちを捧げて願い奉る。平安に蔓延りし鬼よ!今こそ我が血を代償に黄泉帰りたもう。


妖嶽操縦ようがくそうじゅう 浜のくさび十の間 酒呑童子!! 」

それはかつて平安の世に蔓延った鬼だった。

「あらあら...もう〜嫌になっちゃうわ!こんなに私よりムキムキしている鬼2体相手なんて...」

周りを見渡すとやはり咎魔の印がすでに発動しているのがわかる。

ツイてないわね...あたし...

恵美須は少し悲しげな表情を浮かべながら酒呑童子に立ち向かう。

刀が酒呑童子によって弾かれる。

その隙にもう一体の酒呑童子が恵美須に殴りかかる。

それをなんとか受け身をとり、耐えることができた。

あ〜あ、もうだから私は来たくなかったの!服も汚れるし甘いものも食べられないしお風呂やシャワーも入れないし浴びれない。こんな泥だらけの場所で死ぬより本音を言うなら平穏な毎日で死ねたらよかったかもね...

相手の攻撃が放たれる次の瞬間、どこかに鬼が引き寄せられた。

「何だ、あれは?」

八咫烏のメンバーが指をさす方を見るとそこには一人の男が立っていた。

「よう!あんたが恵美須っていうのか?」

「あんた...どこかで会ったかしら?」

「はじめまして!お姫様?いや、男だからなんだ?」

「俺の名は篠波烈破!よろしくな!」

自己紹介をしている間に鬼の攻撃が烈破に直撃する。

「イテテテェ〜!なんちゃって〜!!」

左手のみで印を結んでいた。

相手はその印を見て驚いた表情をしながら呟いた。

その印は...羽衣の佐摩音はごころのさまね...

それはかつて、ごく一部の妖刀使いが妖刀の能力を封じる咎魔の印に対して生み出した対抗の印...

それを持つものは咎魔の印が発動している所でも関係なく妖刀の能力を発動できる。

「これで、俺の妖刀八鶴の力が使えるようになるってわけだ!」

「よせろ!八鶴!!」


八鶴の能力...

磁石

それはあらゆる物体を中に浮かせ刀が向く方へと弾く。

また、あらゆる物体を引き寄せる。

例えるなら磁石のn極同士で反発し合うのとs極同士で引き寄せ合うそれを妖刀自身が放つ特殊な周波で行っている。

2体の鬼に対して引き寄せる力を使い、相手を斬りつけていく。

しかし、斬りつけた部分の傷がわずかに再生されていく。

この鬼...回復力が尋常じゃないほど早い...

「ゲェゲゲゲゲゲ〜!わしらに勝とうなど千年早いわ〜!」

鬼は篠波を嘲笑いながらそう言った。

相手の怒涛の攻撃が繰り広げられる。

それをなんとか防ぐが、相手の一発が横腹を掠めた。

血が少しずつ垂れていく。

そんな状況でも篠波は笑みを浮かべ呟いた。

「八鶴...あれをやろう!」

「まさかあんた...」

「コイツらを潰すにはあれしかなさそうだ。」


「わかったわ!死ぬんじゃないよ!烈破!!」


八鶴の能力が引力と斥力なら妖装解放はそれに当てはまる能力になると相手も思うだろう。

だが、八鶴にはもう一つ能力がある。それは重力...普段人々の生活で最も身近に存在するものだった。

地面だろうが...空だろうが関係ないあらゆる場所に複数の重力波を妖刀の刀身を伝って流し込んでいたさ。

「妖装解放!!鬼徹一文字八鶴!!」

相手の周りには無限の虚空ブラックホールへ繋がる空間が発生する。

その虚空へ敵が入れば永遠と虚空ブラックホールが続く中を虚空の中心に至るまで引き寄せられる。

それを遮ることも抗うこともできないまま一生をその中で過ごす。

ある意味封印に近いと言えるだろう。

「なんだこの空間は...」

真っ黒な空間に飲み込まれた。

何の音も何にもないただ虚無の空間...

死ぬことも許されないたった一人虚しくこのまま一生を終えるように思えると誰だって嫌なはずだ...

いつしか仲良くなった男が言っていた気がする。

それははるか昔に酒呑童子となる前にとあるやつが言っていた言葉...

「〇〇よ!お前は幸せ者だよ!べっぴんさんの嫁さんと可愛い子に恵まれ、そして〇〇様から役職をもらえるなんてよ!でも、一つだけ教えといてやる。今ある全てが幸せとは限らん。幸せっていうのはお前自身が後悔や余計な雑念を消したときやってくるものさ!例えば、この子どもたちのようにな!」

これは...私の過去の記憶?いや、正確に言えば人間時代か...

悲しきあの忌々しい、過去が頭をよぎる。

まるで走馬灯のように...

納得がいく最期を迎えたわけではない。

ただ、あの子らの行く末を愛するものと見守っていたかったそれだけの話だ。

だが、今なら平安の世でわしが行った所業も全て裁かねればならないとわかる。

酒呑童子は泣きながら空を見上げるしぐさをした。

どうか?どうか?俺を妖魔とかした俺のこの鎖を斬ってくれ!

涙で溢れる視界の中一人の男が悲しげの表情をして首を斬り裂いた。

「安らかに眠りなさい...哀れな魂よ!」

酒呑童子は消滅するとき、こう呟いた。

「あ...り...が...と...う」

一つの哀れな魂を繋ぎ止める鎖をその刃で斬り裂いた。

それを見ていたもう一体の鬼が襲いかかる瞬間、篠波が斬り裂いた。

頭がクラクラしはじめる。

多分妖力を使いすぎているのともう一つはさっきの傷で出血した影響だろう...

薄れゆく意識の中、頭の糸が切れるようにその場に倒れた。

「やれやれ!まったく困ったやつね!」

周りを確認して誰もいないのをみて背中に篠波を担いだ。

多分、2人の八咫烏は引いたのだろう。

ちょうどいいタイミングだと思い篠波をなるべく、早く人けが無い場所へ連れて行く。

歩いていくその先で小さな小屋を見つけそこに入り暖炉をつけて手袋をはめたまたまリュックに入っていた。

「あんまり、得意ではないけどやるしかなさそうね!」

ハサミと抜糸ようの用具を取り、傷をおった場所を縫いはじめた。

そして、何とか縫いが終わり少し外へ出て軽く空気を吸いながら彼が目覚めるのを待っていた。

...数日後...

朝目を覚まし周りを見渡すと果実や軽い朝食が置かれていた。

そして、身体を起こそうとしたときに激痛が走った。

傷の場所を見ると少し血が出ていた。

扉が開く音が聞こえた。

扉の方をみるとそこには恵美須が食材を持って呟いた。

「あら〜!起きてたの〜!お待たせしてごめんね〜!これからご飯作るから待っててね〜!」

「いや、あら〜じゃねぇよ!それにお前...俺の裸見やがったな!もしかして襲ったりとか...」

「するわけないじゃない〜!あなたの傷口を抜糸して塞いだだけよ!それにあのまま放置しておいたらあなた死んでいたわよ!」

「その件についてはありがとう。てか何日経過した...は」

「そうね〜3日くらいかしら?」



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