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妖刀 四重奏(カルテット)  作者: 幻魔 狂死郎
千子(せんじゅ)獄楽編
24/32

第二十四話 月明かりの少女

...千子せんじゅ島...


「見つけたか?ガキは?」

「いえ、それが途中で見逃してしまいました。」

「ほう!ならばわかっているよな?」

刀を村人に向け、そう言い放った。

「ひぃ〜〜、どうかお許しを...」

と言いかけた瞬間に村人三人の首が一斉に刎ねられた。

「これだから弱者は使えん...」


他の村人の前に首を投げ言い放った。


者ども、こうなりたくなければ探せ。

さもなければ、この弱者と同じ刑に処す。

現実は残酷だ...

昨日まであんなにも仲が良い人でも明日には自身を殺しにくるかもしれない。

そんな不安がこの島には満ち溢れている。

「女は、秀吉様への献上品として大阪へ送る。ゴミはただの使い捨ての駒として働かせてしまえばいい。」

秀吉の配下はそう、部下に伝えた。

「承知いたしました。」

少年はその会話を聞き、物音を立てずにその場を後にした。

「姉ちゃんに知らせないと...」

少年が逃げようとする先々には敵の兵士と村人たちがいた。

近くに石ころを使い、少年が向かう方と別方向へ投げた。

音が聞こえる方へ村人や兵士が向かう。

その隙をついて音を立てずに逃げた。

たまたま、逃げた方向に村人はいないはずだった。

後ろから声がする。

「何か人影をみた気がするが気のせいか?」

「熊じゃないのか?」

「いや、明らかにあれは子供のような気がした。」

足音が迫ってくる。

すぐ近くまで人の気配を感じた時、異変に気付いた。

「大丈夫かしら?坊や!」

そこには2人の男がいた。

「とりあえず、ここから逃げましょう。」

逃げようとした瞬間、周りを囲むように包囲網が引かれていた。

「へぇ~、まさか驚いたぜ。特殊諜報部隊がこんな孤島にいるとはね〜...アンタ、確か恵美須だっけ?」

「そうよ!あなたは誰かしら?」

「俺は第七天七斬だいななてんしちざんが一人。強欲の虎!鈴原すずはら 番號ばんごく

「第六零六(606)特殊諜報部隊!恵美須胡桃えびす くるみ大尉!!」

「同じく!第六零六(606)所属草部真司くさべしんじ少尉!」

豊臣の配下は不適な笑みを浮かべ呟いた。

「さぁ、はじめようぜ!」


相手の斬撃が放たれた。

その斬撃を受け流し、相手の間合いに近づいた。

「貰った〜!」

刀が相手の腹を切り裂きかけたとき、それをギリギリで防ぎきった。

「確かに強いな...だが、これはどうかな?」

相手が真司へと矛先が向ける。

刀と刀がぶつかり合う。

「やるな〜!お主」

「そちらこそ!」

そこに恵美須が割入った。

「あ〜らごめんあそばせ!あたしも混ぜてくれるかしら?そこのガタイのいい!お・に・い・さん」

「俺は男に色気を使われるのが嫌いなんだよ!」

斬撃が恵美須に放たれた。

「掴め!貞綱」

斬撃を相殺して相手へ近づく。

相手の間合いに近づき斬り裂いた。

「グッ...ハ...まだだ...まだ死ねん!せめて貴様を道連れにしてやる。」

恵美須に刀を向け斬りかかろうとした瞬間、恵美須を庇い真司が背中を斬られた。

真司はそのまま、倒れ込む。

その隙を狙い相手の首を斬り裂いた。

「真司!真司!」

「恵美須さん...大丈夫ですか?...」

「バカね!あたしは無敵よ!」

「それならよかった...ありがとうございます。...恵美須さん」

真司は眠るように瞼を閉じた。

「私より先に行くんじゃないわよ...バカ真司!」

恵美須の頬からは涙が溢れていた。

少年のほうに近づき、呟いた。

「さぁ、逃げるわよ坊や!」

「うん!」

少年をおぶって獣道を下っていった。

獣道をひたすら進むと一軒の小屋があり、そこで一時的に休息をとることにした。

少年は恵美須に尋ねた。

「さっきのお兄さんは?」

「大丈夫よ!」

そう、笑ってごまかした。

嘘を言ってごめんね。

彼はあの空の向こうに行ってしまったわ。

そうあの空に飛び立つ鷹のように...

山菜を煮込んだものとほんの少しの玄米を食べ、火を消し眠った。


翌朝になると、周りは白い霧に包まれていた。

その霧があるうちに小屋を出て砂浜へと向かっていた。


...千子せんじゅ島周辺の海域...

一つの船が千子せんじゅ島へ向かっていた。

「もうすぐ、着くぞ!捕まってろよ。」

船が浜辺へと流れ着いた。

「イテテテェ〜...」

「大丈夫か?剣!晃作」

「おれは何とか!でも...」

「なぁ〜にこれ!頭がはまって抜けねぇんだけど〜!!誰か〜助けて〜〜!!」

「アイツはほっといても大丈夫そうだし行くか!」

「置いて行かないで〜〜!!」


鹿洲さん曰く、この千子せんじゅ島にはかつて鉄の神様が祀られていたらしい。

その神様を祀る神社は龍神神社。

なんでも、この島の古くからある刀工らしい。これから向かうのはその神社の近くにある。龍神温泉と呼ばれる旅館。

戸を開けるとそこには3人の女中さんが迎えてくれた。

「ようこそ!おいでくださりありがとうございます!私、当旅館の女将をしております。七瀬と申します!良ければごゆっくりおくつろぎください。」

二階へ通されるとそこからはこの島の綺麗な景色が見えた。

「わぁ〜!!綺麗!」

千代は目を光らせて呟いた。

「そうだろ?なんたってここは日本百景に載ってもおかしくないからな!」

「鹿洲さんはいつから知っていたんですか?」

「ここか?俺が子供の頃から知っているぜ。なんせ、ここは爺とよく遊びに来てたからな!」

「鹿洲さんのお爺さんってどんな方だったんですか?」

鹿洲は青ざめた表情をしてつぶやいた。

「俺の爺はな!俺や桜華より怖えぞ〜!!なぜって爺は鬼の副長と恐れられた新選組の土方のような人だったからな!」 

鹿洲は続けて呟いた。

爺はよく、竹刀で相手の剣速を上回っていた。

さらに俺が子供の頃にみたのは10人いた門下生相手に一人で一人あたり5秒で全員に胴を打ち込んでいた。

さらに基礎がなっていないやつは夜遅い時間まで腹筋、走り込み打ち込みをさせられたって話をよく聞いた。

そんな、爺を昔から見ていたけどあの日見た爺の笑顔だけは今も鮮明に覚えている。

まぁ、こんなところだな!俺は...

鹿洲が話終えると剣は呟いた。

「いいですね!なんか!」

鹿洲は微笑みながら答えた。

「そうか?そんなことねぇと思うけどな!」

日は暮れ、夜になり外を見つめていると蒼白が照らす月明かりの海岸に一人の少女が空を見上げていた。

旅館を出て、急いで海岸へ向かうとそこには先ほどの少女がまだいた。

近くによっていくと少女が何かを呟いているのが聞こえた。


耳を澄ませると少し聞こえた気がした。

ねんねんころりねんころり

龍神様の社にゃころり

闇夜に染まる千里の子

恐れぬ間にころりん

魔王迫る千里の里

龍神無きあと誰が守るべし?

沖の東の道標

と呟いているように聞こえた。

「ねぇ!」

話しかけようとした時、少女は剣の方を向き微笑んだ。

「待っていたよ!」

そう言っていた気がした。

...旅館...

あれからどれくらい経ったんだろう?

目を覚ますといつの間にか旅館にいた。

「あれ?俺は一体...」

「起きたか?剣!」

「はい!なんとか...」

「お前、だいぶうなされているようだったぞ!大丈夫か?」

「大丈夫です。なんとか」

「それならいいが...」

鹿洲はそうつぶやきその場を後にした。

「大丈夫かよ?剣!」

「いや、大丈夫。ただ変な夢を見ただけだよ!」

「変な夢?」

晃作は剣に近づき、続きを聞いた。

「少女?昨日、夜な夜な起きたけどそんな子見てないけどな!いたなら話しかけに行くのに」

「いないか...そっか...ありがとう。」

支度を済まし、軽い朝食をいただき旅館を後にした。

村がある方へと向かっているとどこからか少女の泣き声が聞こえた。

泣き声がする方へ向かうとそこには10代くらいの女の子が泣いていた。

「どうしたの?」

剣は声をかけると女の子は呟いた。

「あのね、あのね。お母さんとはぐれちゃったの。」

少女の目はウルウルとしており、なんだか守りたくなるほどの可愛さだった。

手を軽くたたき、呟いた。

「なら、お兄さんが探すね!」

少女をおぶって近くの村へと走った。

...近くの村...

近くの村につく不穏な雰囲気が流れていた。

「誰か〜!いませんか〜!」

剣は大きな声で叫んでも誰も返事がない。

「やっぱり人はいないのか?」

剣は何度も大声で叫んでいるとどこから声が聞こえた。

「旅人よ!何の御用ですかな?」

「この少女の母親を探しに来たんですけどこの村に見えます。」

「はて?見覚えがありませんね〜!気のせいではありませんか?」


男は首を傾げながらそう呟いた。



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