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妖刀 四重奏(カルテット)  作者: 幻魔 狂死郎
千子(せんじゅ)獄楽編
23/31

第二十三話 始まりの詩

一人の少年が逃げ惑う。

その少年のあとを追うように男たちが少年を追いかける。

少年は森の中の獣道をひたすら進んでいき木の後ろへと身をしゃがませて隠れる。

「いたか?」

「いや、こっちにもいないべ!」

「チクショウ〜!あのガキ...」

少年を追いかけ森の奥へと向かっていく。

その状況を見ていた少年は獣道を下り、森から抜け出し近くの小屋へと逃げ込んだ。

「ここなら大丈夫なはずだ。」

少年は手に持っていた1枚の手紙を見つめながら呟いた。

「姉ちゃん...なんで?なんで?僕を置いていくの?」

少年は頬には大量の涙が流れていた。

「こんなものなんてあっても...」

少年の手には手紙と何かが描かれた地図があった。

そこには不老不死の花の在処と薄く綴られていた。


...華身一刀流剣道場...

いつものように道場で晃作と一対一の修行をしているとどこからか鼻歌を流しながら向かってくる奴がいた。

「お前ら〜!!修行は順調か?」

顔を赤らめながら、酒に酔った男が近づいてきた。

酒クセェ〜!!何杯飲んだんだよ?このおっさん(内心)

晃作は軽く流しながら心ではそう思っていた。


「どうしたんです?鹿洲さん昼間から酒なんて?」

「お前らにもいい知らせだ!久しぶりにクジを引いたら当たってしまってな〜!!」

「何がです?」

「温泉!!お・ん・せ・ん!!5日間の旅がな!」

1枚の紙には温泉旅行へ7名様招待と記載されていた。

「どうだ?いいだろう!すごいだろう!」

「場所は?えっ〜と...」

場所を見るとそこには千子せんじゅ島と記載されていた。

「千子島ってどこ?」

そこにたまたま通りかかろうとしていた志波竝がボソッと呟いた。

「千子島?沖ノ島より東へ60kmだろ?」

いや、なんで知っているの?

その場にいた全員、口ずさんだ。

「いや、知ってるも何もあそこは八重桜が有名だからな〜!それに千年に一度しか咲かない花もあるらしいしな!」

「いや、そんなことを言われても...」

剣と晃作は内心そう思った。

鹿洲が呟いた。

「とりあえず、明日の朝までに準備しろよ!あっ、あと夜に誰が行くか決めるからな!」

2人はお互いの顔を見合わせながら「え〜〜!!」と叫んだ!

...夜桜町大通り...


「なぁ、剣?」

「何だよ?晃作。」

「なんか準備したほうがいいのかな?例えばメンコとかおはじきとか?」

「お前は何しに行くんだよ?」

「決まっているだろ〜!!女の子をお持ち帰りしに...」

その瞬間、剣が頭に拳骨を浴びせた。

「イッテェぇぇ〜〜〜!!何すんだよ〜!」

「わりぃ、手が滑った。」

「手が滑ったじゃねぇよ!これで頭割れたらどうすんだ〜!!」

「割れねぇよ!お前の頭硬いから!」

「アァ?」

晃作とくだらない話をしていると後ろから気配を感じた。

「剣さんでよろしいですか?」

そこには10〜20歳ほどの黒い長髪の可愛らしい女性が立っていた。

晃作は女性を見るなり、近寄り呟いた。

「どうも!お嬢さん!僕は蕗谷 晃作でぇす!よろしくね〜〜!!」

女性が困った顔をしながら微笑んだ。

そんな晃作を突き飛ばし手足を縛りながら剣は言った。

「あなたは?」

場所を団子屋に移動して話を聞くことにした。

「あなたの名前は?」

「私は富野とみの 由美子ゆみこと申します!」

「それで由美子さんはなぜ、僕の名前を?」

「詳しいことはいえませんがあるお方からあなたの名前を教えていただきました。」

「その方の名前ってわかりますか?」

「確か、炎閣と名乗っていました。」

「もしかして、侍のような格好をした刀工ですか?」

「はい!そうです。」

由美子さんから聞いた話によるとどうやら千子せんじゅ島で豊臣秀吉の配下と名乗っている者たちに村人が脅されて何の罪もない村人が殺し合わせているとのこと...

また、彼らは不老不死の花を探していると情報を貰った。

「わざわざ伝えていただきありがとうございます。」

「いえいえ!あと、もう一つだけお願いしてもいいですか?あの島にいる私の弟をどうか...助けてください!」

土下座をして頼み込もうとしていた由美子さんの手を取り剣は言った。

「わかりました!弟くんは僕が助けます!」

夕暮れが照らす中、由美子さんを見送り華身剣道場へ戻る。

戻るとそこには志波竝や他の人たちも集まっていた。

「戻ったか?剣!晃作!」

卓の真ん中には木箸が置かれていた。

「その木箸に墨で黒丸をかいたものがある。それを引けば、千子せんじゅ島へ行けるって話だ!さぁ、やるぞ!一斉の〜で〜!!」

全員が一斉に木箸を引いた。

「黒丸を引いたものは名乗れ!」

「わぁ〜い!アタシひけた!」

千代が嬉しそうに言った。

「これで!女の子とイチャイチャ...ニヒィニヒィ!!」

何かきっしょい!!

「俺も引いたぜ!」

「あぁ、当たっちまったのか?」

渉と烈破が言った。

「なんだよ〜俺もかよ〜」

兼六が言った。

「あとは?」

鹿洲は自分の木箸を見せながら呟いた。

「あっ!」

剣は声を上げたと同時にその場にいた全員が剣に視線を向けた。

「よ〜し決まりだな!」

そろそろ、風呂やそれぞれの部屋に戻ろうとした時、剣は鹿洲に聞いた。

「桜華さんはいいんですか?」

一瞬間が空いたが鹿洲は答えた。

「あぁ、あいつはやることがあるってな!」

「そうなんですね!」


鹿洲は外へ空気を吸いに行くとそこには桜華がいた。


「あれでよかったか?桜華」

「あぁ...あれでいいさ。」

桜華は空を見上げながら鹿洲に語った。

「なぁ、鹿洲。 アイツらのことを任せていいか?」

「まさか...お前...」

「まだ、アイツがいる場所にはいかねぇよ。ただ、どうやら俺はもう長くないらしいからな。」

...数日前...

女物の羽織を羽織って病院にいく男がいた。

医者が診察を終え、ため息をつきながらこう話した。

「志波竝さん、あなたの命はそう長くありません。もってあと三ヶ月あるかないかです。」

「...そうですか...病名は?」

「結核です。」

「本来は病棟で隔離しなければなりませんがどうされます?」

桜華は少し考え込み答えた。

「しばらく待ってもらえますか?」

病院からの帰り道、レンガで作られた壁を拳で殴り呟いた。


「クソっ!!」

桜華の頬から涙が流れていた。

...現在...

井の中の蛙

大海を知らず...

されど...

始まりの詩を知る...

「アイツらにとってはこれは始まりなんだろう...」

志波竝は続いて呟いた。

「せめて、アイツらが生きていくこの先のために俺は詩を残すさ」

志波竝は空を見上げながら詩を詠んだ。

白い粉雪が降る。

寒空のした一人で歩く少年がいた。

少年は刀を持ち、あてもなくただひたすら進む。

祖父と伝説の刀工が残したものを求め彷徨う。

次は忘れられた島へと...

それでも彼の目は色鮮やかに輝いていた。

始まりの鐘が彼らに鳴り響くだろう...

志波竝は空を見上げながら続けて呟いた。

「大丈夫だろう?剣、お前たちなら...」

空には綺麗な流れ星が流れていた。

...大阪城 天守閣 ...

数人の女を抱き、日本酒を飲みながらくつろぐ男がいた。

「秀吉様、どうやら獅子王剣含む者たちもあの島へ向かうらしいです。」

秀吉は酒を置き呟いた。

からすはいるか?」

「はい!招集すれば集まるかと?」

「なら八咫烏やたがらすを招集せよ!そして妖刀使いを葬り、刀を手に入れるのじゃ!」

「御意!」

一人の忍びがその場から去った。

...華身一刀流剣道場...

翌日の朝になり、目を覚まし井戸で顔を洗い支度を済ました。


選抜したメンバーが外へ出ると、そこには桜華や他の仲間が待っていた。


「行ってこい!」

桜華が剣の背中を押してそう呟いた。

「行ってきます!」

剣は微笑んで手を振りながらその場を後にした。


港に到着するとそこには鹿洲が先に船の準備をしていた。


「もしかしてこれ、自分でやらないといけない系?」

晃作は不服な顔をして呟いた。

「仕方ないだろ?俺たちもやるぞ!晃作!」

鹿洲は彼らを見つめながらこう思った。

桜華...お前が言っていたことが少しわかるよ。

コイツらを見ていると俺たちの昔を思い出してしまう。そうだろう?

俺ら三人でよくバカをやって爺に叱られたよな!

で、それを見てお花がよく笑ってた。

あれから15年か...

空を見上げながら鹿洲は頷いた。

晃作がサボろうとしていたところで剣が鹿洲さ〜んと大きな声で呼んだ。

「サボんなよ!晃作!」

「へいへい!やりますよ!やりゃいいんでしょ!」

一時間後...

船の準備を済まし、それぞれ船に乗り込む。

剣が最後に乗り込む前に一点を見つめ、一言呟いた。


「行ってきます!」

千子せんじゅ島への船を出した。












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