第二十二話妖刀が無くても
朝日が昇る頃に冷たい井戸で顔を洗い暖かな日差しを浴びる。
靡く(なび)風が頬をかすむ。
空を見上げながら一言呟いた。
「さてと!今日も1日頑張ろう!」
晴れ渡る一点の曇りもない青空が笑っているようにみえた。
...華身一刀流剣道場...
互いに礼をし、竹刀を握る。
鹿洲が抜刀の構えを取り、剣の出方を見る。
剣は鹿洲へ、竹刀で斬りかかろうと前へ出た瞬間。
鹿洲の抜刀術が剣の胴体へ斬りかかろうとした。
「華身一刀流抜刀術 叢雲」
鹿洲の抜刀術が剣の胴体目掛けて打ち込む瞬間、その一瞬を見逃さないように見ていた剣が竹刀で竹刀を防ぎ、鹿洲が怯んだタイミングを狙って首元へ竹刀を向けた。
「少しずつだがやるようになってきたな!剣」
息切れを起こしながら呟いた。
「ありがとうございます。鹿洲さん」
「あとは実戦あるのみだな。」
「よし!一旦休憩を挟もう。」
道場を後にしようとしたとき、晃作が鹿洲に話しかけた。
「鹿洲さん!俺にも華身一刀流を伝授させてください。」
「うーん...」
「本当にお願いします。」
「俺は別にいいがお前は今のままでも十分戦えるだろ?」
「確かに戦えます。それでも、俺は剣より強くなりたい!」
「分かった。ならお前には簡易結界の方だけ教えてやる。」
...華身一刀流道場...
道場へ向かうとそこには桜華と鹿洲と晃作がいた。
「本当にいいのか?鹿洲」
「あぁ、大丈夫!最悪、俺が割ってはいるからな。」
「分かった。舞い散れ!夜桜」
「妖装解放 万華鏡千本桜 夜桜」
妖刀による結界が展開された。
かつて、妖刀を持たない者たちは妖刀を持つ者たちの妖装解放を恐れた。
その理由は単純明快...
その結界に引き込まれれば死ぬからだった。
そんな弱者を守るため立ち上がった男がいた。
その男の名は宮本 甚平
後に弱気者のための剣術と結界術を生み出した男だった。
「いいか、よく聞け相手が結界を発動したタイミングを狙って妖力を刀に集中させろ!刀を鞘から抜いた時、発動するはずだ。」
晃作の周りに妖力が溢れている。
「華身一刀流結界術 凪!!」
瞬時に妖力によって簡易結界が生成されていく。
簡易結界がもうすぐで出来上がる瞬間に結界内にヒビが入り破れた。
「やっぱり駄目だったか...」
妖装解放を解いて、志波竝は呟いた。
「妖力の制御ができていないんだな?」
「あぁ、華身一刀流を教える前にあいつは微弱な妖力の制御をやらないといけねぇ〜...本来なら戦いの中で覚えるがあいつは今まで、それをせずに戦ってきたからな...」
「まぁ、あの時刀を握って立ち向かおうとしていたあいつが今じゃ剣と同じ土俵に立とうとしているわけだ...晃作まだやれるか?」
晃作は息切れを起こしながら答えた。
「はい!やらせてください。」
再び夜桜の妖装解放が放たれる。
その結界内は凄まじいほどの気迫を放ち、妖力も満ち溢れている。
晃作は深く深呼吸をした。
おちつけ...
これはまだ、実戦じゃない。
もしも、自分が妖刀を使えなくなったときの練習だ。
鞘から慎重に刀を抜き、刀身に手をかざした。
「華身一刀流結界術 凪!!」
桜華の万華鏡 千本桜の花びらが襲いかかる。
それをかわしながら晃作は自身の結界の範囲内に桜華が入るのを待つ。
桜華が晃作の間合いに入った瞬間、結界の押し合いがはじまった。
晃作の簡易結界が桜華の千本桜に負けそうになるとき、一瞬の隙を見て簡易結界を緩めた。
その一瞬のタイミングで刀を納刀し、黒い斬撃を放った。
「華身一刀流抜刀術 常闇」
視界が黒に染まった。
そのタイミングで黒い斬撃が桜華目掛けて放たれ、桜華はそれを避けて驚いた顔をしながら話した。
「お前...今のは...わずかな隙を狙って放ったのか?」
「はい!桜華さんが簡易結界に突っ込んでくるタイミングに結界を緩めて...」
マジかよ...
剣...お前の相方はとんでもねぇことをやるやつだぜ。
時間はすでに夕日が暮れかけていた。
「疲れた〜」
「俺も疲れたよ!晃作」
どこからかいい匂いがする。
「飯の支度ができているらしいから先に風呂を済ませてこい!」
2人は鹿洲の方を見ては〜いと答えた。
外で風にあたっている志波竝を見つけて鹿洲は話した。
「あの2人はいずれ、すごいやつになるかもな...」
「努力と生まれながら秘めている自身の力で戦う剣。そして、天性の才能を宿しあらゆる戦闘をこなし戦う晃作...俺があの日出会った奴らは俺を超える化け物になりやがった。でも、大丈夫!俺はアイツらに期待してるよ!この先の未来ってやつを...」
「あぁ、そうだな!桜華。」
「なぁ、鹿洲。俺の頼みを聞いてくれるか?」
「何だ?改まって...」
それは静まり返った夜だった。
桜が開花するほんの数日前に彼は笑ってこうつぶやいた。
「まさか...お前、剣たちに言わないつもりか?」
「あぁ、アイツらの妨げになりたくないからな。それに...」
桜華は空を見上げながら一言呟いた。
「あいつらを見ていると昔の自分とお前とあいつらを思い出してな!どうしても重なって見えてしまうんだ。」
「狂死郎とお花か?」
「あぁ...」
その日はちょうど曇りもない晴れた空に光る流星が流れていた。
...大阪城...
多くの兵士が天守閣を見上げていた。
その天守閣には2人の兵士と第七天魔王と二代目炎閣の姿があった。
「それで?儂に用とは何じゃ?」
一人の兵士が告げた。
「恐れながらこの度は私共が犯した多くの失態の数々誠に申し訳ありません。」
「その失態の数々のぉ〜...お主誰の前で正座を崩してよいと思った?」
もう一人の兵士が第七天魔王の許しもなく正座を崩し、あぐらをかいていた。
「いえ...私は...」
その瞬間、首が飛び血が噴き出た。
「あぁ...」
「恐れたか?安心せい!儂は弱者が大嫌いじゃ!」
「ひぃ〜」
と言いながら第七天魔王に背を向けて逃げようとした途端、無数の斬撃が放たれた。
その兵士の肉塊が飛び散った。
「おっとやってしまったやってしまった。三枚おろしで済ませるつもりだったが細くきりすぎた。」
炎閣が襖をあけ現れ、その惨状をみて呟いた。
「秀吉様!客人が見えてまいりました。」
「おお!そうかそうか入ってまいれ!」
そこには美少女のような顔立ちをした者が立っていた。
「お久しぶりでございます。秀吉様!」
「久しぶりじゃな!姫奈よ!」
「お元気そうで何よりです!」
「おぬしも知らぬ魔にわこうなっておるな!」
「いえいえ、滅相もございません。」
「それで?今日は何用じゃ?」
「実は...」
姫奈は秀吉に自身が頼みたいお願いを秀吉に伝えた。
「ほうほう、破邪の花か!」
「はい!噂では沖ノ島より東に60kmの所にある言われております。」
「それはいい話じゃ!どれ?家臣を使い行かせてみよう。」
「このことは内密によろしくお願いいたします」
「わかっているわかっている。」
「あと、妖刀使いの件ですが...」
「大丈夫じゃ!すでに手はあるからのぉ〜!!」
...華身一刀流剣道場...
朝日が昇る。
顔を洗いに井戸へ向かうとそこには千代がいた。
「おはよう!千代」
千代は剣を見つめて
「おはよう!剣」
と言った。
そして、他愛のない話をしまた平和な日常が今日も続く。
誰もがそう思っていた。
あの時までは...




