表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨のち曇りそして晴れ  作者: 冬馬
第三話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/88

第三話ーー晴れーー52

 信号が青に変わり、康二達は右折すると、県道24号に入った。京浜急行の高架を潜り緩やかな坂を上がると、崖と小高い山が姿を表す。これを見ても三浦半島の特徴がよくわかる。


 大体の地形は、内陸に行く程、標高が高くなり、海や、川に近づくほど標高が低くなっている。それは、長い間に水で侵食されているせいであり、それが広がり平野となるわけだ。


 そして人は、暮らしやすい平野部に集まり、街が形成されていく。


 半島というのは、その地形の極端な形といっても良いかもしれない。内陸に標高が高い山があり、その反面、海岸部は標高が低い。その間と言える平野部が少ないから、ほんの少しでも標高が低い部分から外れると、すぐに崖が見えたり、小高い山の中に入ったりする。標高が低い海岸部に人が集まり、街が形成され、街を結ぶ道が出来る。もちろん海岸部と言っても、全てが標高が低いわけではない。いわゆる、崖直下が海というところもあるわけだ。そしてそこに道を通す為にトンネル(隧道)を掘るのだ。国道16号でもこの横須賀界隈は多くの隧道がある事でも有名である。そして、このような地形は、良港が多い事でも知られている。


 バイクでツーリングをしていると、このような地形の変化を感じやすい。それがまた面白いのだ。


 ほんの少し、山道と言える程ではないが、緩やかなコーナーを過ぎると、逗子市の看板が見えてきた。そしてその看板の下のコーナーを越えると、すぐに隧道に入った。本来の横須賀市と逗子市との市境は、この沼間隧道の中間辺りにあるのだが、逗子市の看板は隧道手前に出ている。


 隧道を抜けると、横浜横須賀道路の高架をくぐった。ここまで来ると、さっきまで走っていた海岸部に比べて、山の中に入って来たという景色が広がり始めていた。


 希は、この景色の変化に驚きつつも楽しんでいた。だが、心のモヤモヤは収まっていなかった。


 高架を超えて、すぐに下をJR横須賀線が走る橋を越えると、高速道路入り口の看板が見えて来た。


 えっ!?高速道路に入るなんて事は無いよね?


 希は、少し不安になって康二の後を走っていた。

 

 緩いカーブを抜けると、案内標識が見えて来た。案内標識によると、左折をすると、横浜横須賀道路と逗葉新道とある。


 康二は、左にウインカーを出した。


 ちょっと待って?ほんとに高速道路に乗るの?


 希は、そう思い焦りながらウインカーを出した。康二はそれを見ると、左折車線に入った。


 すぐ、信号だし、赤で止まったら、その時に康二さんに聞こう……


 希はそう思いながら、康二に続いて左折車線に入った。すると、信号は赤になる事なく青のままで、先を走る康二は、綺麗に左折をして行った。


 ええ!!私、高速道路走った事ないよ〜〜〜


 希が恐る恐る左折をすると、


 うん?


 横断歩歩道橋に二つの案内看板が出ている。左側は、高速道路を表す緑色の看板で、右側は一般道を表す青の看板だ。


 うん???


 前を走る康二は、右にウインカーを出した。希も康二に続いて右にウインカーを出すと、康二は右側車線に移動した。道路には、鎌倉、葉山とペイントされている。


 希は、康二に続いて右側車線に移動して、緩やかで大きなカーブを越えると、道路の分岐が現れた。左車線は、横須賀横浜道路の入り口に続き、右側車線は、そのまま直進し、案内標識には鎌倉、国道134と葉山と書かれていた。


 高速乗らないんだ〜よかったぁ。


 希は、ホッとしながら、康二の後を続いた。


 そう言えば、康二さん、ここの事言ってたな……


 確かに康二は、県道に入る前に、ここの事を言っていた。だが、その時の希は、康二を意識してしまい、まともに話を聞けていなかったのだ。


 ここは、高速道路に慣れていない初心者にはわかりづらいと言えるだろう。なんせ、直前の案内標識は高速道路を指す物だから、戸惑うのも当然だ。高速道路に入りたくない者は、避けてそのまま県道を直進するかもしれない。もちろん、直進しても葉山、鎌倉方面に行くことが出来るのだが、康二は、ちょっとした景色を希に見せたくて、このルートを選んだ。

 

 横浜横須賀道路出口からの合流を抜けて、緑に囲まれた1本道を二人は走り続けた。


 本当に海に行くのかな?


 この辺りを知らない希はそう思っていた。スマホのナビソフトにも海らしいものが出てこなかった。ただ、希には不安は無かった。康二を信頼していたから……


 トンネルを抜けると、緩やかなカーブを抜けて、料金所が見えて来た。康二は、左のウインカーを出し、ハンドサインを希に送って、料金所手前の待避所にバイクを停めた。

 

 この料金所は、ETCを使った新しい決済システムが導入されていて康二のバイクにもETCをつけているのだが、希のバイクにはETCが付いていない事を考え、ETCカードを抜いていた。料金所で、希が戸惑うのを避けるためである。


 康二は、康二の後ろに止まった希の元に行き、事情を説明した。


 「料金所は、僕が二人分払うから、希ちゃんは、そのまま僕の後を付いてきてね。それで、料金所を出たら、ここと同じような待避所があるから、そこで止まるから」


 康二は、そう言うとデニムパンツのポケットに入っていた小銭を確かめると、希の返事も聞かずに自分のバイクの元に戻った。康二も、希を怒らせてしまったと思い、バツが悪かったのだ。


 希も、まだ照れて康二の顔を見る事ができないでいた。


 康二が、後ろを確認して、車が途切れたところで、料金所に向かった。希も康二の後に続いた。


 料金所に入ると、康二が小銭を渡して、係員に向かって言った。


 「後ろのバイクの分と一緒で」


 係員は頷くと、康二に2枚領収書を渡した。


 康二は、領収書をポケットに入れると、ゆっくりとスタートし、希も料金所の係員に軽く会釈をして康二の後に続いた。

次回の更新は13日となります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ