表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨のち曇りそして晴れ  作者: 冬馬
第三話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/86

第三話ーー晴れーー42

 希の驚いた顔に気がついた裕介が言った。


 「何?なんか変かな?俺」


 「いえ、そんなんじゃ無いです」


 希は慌てて答えた。


 「そう?なんか、不思議そうに俺の顔見てたからさ」


 裕介がそう言うと、希は申し訳なさそうに言った。


 「あの……裕介さんってバイク屋さんなんだなぁって……」


 すると、それを聞いた遥子が大笑いをして言った。


 「そりゃそうだ。コイツ、バイク屋らしい事なんてしてないもん」


 「ひでえな。君らの見えない所でやってるの」


 裕介が文句を言うと、奥からオヤジさんが来て言った。


 「いやいやいや、嬢ちゃんの言う事も尤もだよ。お前がやってる事といやぁお姉ちゃんの尻を追っかけてるぐらいだろうが」


 「オヤジまで言う?俺グレちゃおうかな……」


 裕介はイジケると、ペンキ屋に八つ当たりを始めた。


 「お前が早く決めないから、俺がいじめられちゃったじゃんかよ!!別のヤツに売っちゃうからな!!」


 「ちょっと、それって八つ当たりじゃん。もうちょい考えさせてよ。簡単に出せる金額じゃないよ」


 ペンキ屋が不満げに言った。


 「お前、結構儲けてるだろ?何だったらローン組んでやるよ。それにうちの場合、親父の整備付きだぜ?安いもんだろ?」


 確かに、SDRの中古市場は、90万以上付けている個体もザラにある。ここまで来ると、おいそれと買えるものでは無いのも確かだ。


 「灯ちゃん、俺も乗せて」


 ペンキ屋はそう言ってSDRに跨ると、アクセルを煽ってみた。


 「確かにレスポンス良いね。単気筒だから、僕のRZとはまた違う感覚だし、本当に面白そう」


 「さ、どうする?」


 裕介が聞いた。


 「どうする?」


 遥子が聞いた。


 「どうするのぉ?」


 灯が聞いた。


 「どうすんだ?」


 親父さんが聞いた。


 「どうするんですか?」


 希もみんなに乗っかって聞いた。


 「うーん……」


 ペンキ屋は悩みに悩んでいる。


 「決めた!!」


 ペンキ屋が大きな声で言った。すると、皆、固唾を飲んでペンキ屋を見ていた。


 「僕は……」


 「僕は?」


 裕介が繰り返した。


 「このSDRを……」


 「このSDRを?」


 遥子が繰り返した。


 「買いま……」


 「買いま?」


 灯が繰り返した。


 「…………すん!」


 「どっちだよ!!」


 「お前はGボーイズのキングか!!」



 Gボーイズのキング


 ドラマ「池袋ウエストゲートパーク(2000年放送)」で窪塚洋介演じる、カラーギャング「Gボーイズ」の圧倒的なカリスマを持つヘッド。主演の長瀬智也とのシリアスなシーンでこの名?セリフが生まれた。


 「キング?」


 希と灯が不思議な顔をして遥子を見た。


 「あっ……この子達、生まれてない……」


 遥子はそう言うと、多くを語ろうとしなかった。


 「ねえねえキングって何?」


 灯が遥子に聞いた。


 「いいの!忘れて……お願い……」


 遥子はそう言って誤魔化した。


 「変なのぉ、ねぇ」


 灯は希にそう言うと、希も首を縦に振った。それを見ていた裕介は、ネタ元はわかっていたが、自分も歳のことをツッコまれるのが嫌なので、あえて黙っていた。


 「で、結局どうすんだよ?」


 オヤジさんがペンキ屋に聞いた。


 「うん、買うよ。その代わり、色々面倒見てよ?チャンバーはもちろん代えるとして、ポジションも若干代えたいし、キャブはどうしようかな。ノーマルでしばらく走ってみて決めようかな。あと、ブレーキとか、サスとか、色々カスタムしなきゃ」


 ペンキ屋がそう言うと、裕介がすかさずツッコミを入れた。


 「オマエ、カスタムの方が金かかるんじゃね?」


 「いや、それは後藤モータースの力で、何ともなるでしょ?」


 「実費は貰うからな!」


 こういう所でも、後藤モータースの性格がよくわかる。ここに利益を乗せようとは思っていないのだ。


 「オマエ、やりすぎてはなに怒られんなよ?」


 遥子がそう言うと、ペンキ屋が笑って言った。


 「大丈夫、仕事増やせば良いんだし。だから希ちゃん、営業宜しくね」


 「へ?」


 希は急に話を振られて驚いていた。


 「僕のデザインヘルメット被って学校行ってさ、僕のサインも入れておくから。聞かれたら、僕のアトリエの紹介してよ?」


 ペンキ屋が笑って言うと、希も笑って答えた。


 「もちろんです!無料でやってもらえるんだもん。それくらい、いくらでもしますよ」

 

 「お!嬢ちゃん、ヘルメットやって貰えるのか?どう言うデザインにするんだ?」


 オヤジさんが嬉しそうに聞いた。


 「今日一日、希ちゃんを見てて大体イメージはついたんだけどね。それは楽しみにしておいてよ」


 ペンキ屋が言うと、希が少し申し訳なさそうに言った。


 「だけど、どうせだったら新しいヘルメットにしてもらいたいんで、新しいヘルメットを買うまでお預けなんです」


 「学生だもんなぁ。ヘルメットも安いもんじゃ無いしな」


 裕介がそう言うと、遥子が言った。


 「だから、うちでバイトする事にしたんだよね」


 「お!そうか!」


 オヤジさんが嬉しそうに言った。


 「なんか、親父が遥子んところに行くのが増えそうな気がする」


 裕介がそうぼやくと、遥子がツッコんだ。


 「ツケばっかりで金にならない客だけどな。希ちゃんのバイト代だと思って、溜まったツケ払え!」


 「わかったよ」


 親父さんが申し訳なさそうに言った。


 そんな話を他所に、ペンキ屋と灯はSDRに夢中だった。

次回の更新は08日となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ