表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨のち曇りそして晴れ  作者: 冬馬
第三話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/88

第三話ーー晴れーー36

 「あれ?なんで?」


 ペンキ屋はなぜ涙が流れたのか不思議だった。


 「あ、遥子が泣かした」


 裕介が子供のような事を言った。


 「なんで、私なんだよ?もしかして……本当にコウちゃんの事好きだったの?」


 遥子は心配そうにペンキ屋に聞いた。遥子なりにペンキ屋の心情を思っての事だろう。


 「違う、違う。なんか安心しちゃってさ。こんな風に言ってくれるとは思わなかったから、気が抜けちゃった」


 康一は、ペンキ屋の話を聞いて思った。


 そうか、自分が普通とは違うって事にずっと悩んでたんだな……人に理解されないから、自暴自棄になってたんだ……


 「と、言う事で、ペンキ屋の告白は、恥ずかしい話じゃないと言う事で、罰ゲームとして遥子の黒歴史を暴露して貰いましょう!」


 裕介が、また訳のわからない事を言い出すと、遥子は怒って言った。


 「なんで私の黒歴史なんだよ!?」


 「だってよ、康一も聞きたいって顔してるぜ?」


 裕介は、無責任に康一に話を振った。


 「俺に振るなよ」


 「だってよ、興味あるだろ?インパルスの遥子の話」


 裕介は、遥子をイジるのが楽しくて仕方がないようだ。


 「良いよ。俺が聞いた話だとね……」


  ペンキ屋が話し始めると、遥子が必死に止めた。


 「やめろよ、ペンキ屋!!!」


 「えー、めちゃ面白いのに……相当、ヤンチャだったって」


 ペンキ屋がニヤつきながら言うと遥子が聞いた。


 「ところで、オマエ、誰からその話聞いた?」


 「うん。姉御の同級生に、はなちゃんっていたでしょ?はなちゃん、子供の頃から仲良しなんだ」


 「はなかぁ。あのやろー。余計な事を言いやがって!今度会ったら覚えてろよ」


 遥子が怖い事を呟くと、ペンキ屋が言った。


 「こう言うところが姉御なんだよね」


 「うるさい!」


 遥子はそう言うと、ペンキ屋を追いかけ回した。ペンキ屋は嬉しそうに逃げ回った。


 佐野くん、顔が変わったな……話せてスッキリしたんだろうな……


 康一はそう思いながら、二人を見ていた。



 「と言う事があったんだよ」


 ペンキ屋が嬉しそうに言った。心なしか、さっきまでと表情が違うと希は思った。


 「でね、その後、3人で峠を走ったんだけど、楽しかったな。マスツーリングで一番楽しかった。いや、あれはマスツーリングなんて甘いもんじゃ無いな。みんな早かったもん」


 希は楽しそうに思い出話を語るペンキ屋を見ていた。目がキラキラと輝いている。


 さっきのあの振る舞い方は、本当の自分を隠すためにやってたんだろうな……


 希はそう思った。

 ペンキ屋のあの大人の振る舞いは、自己防衛の為だったのだと理解したのだ。希はそう思えたら、ペンキ屋に対する苦手意識が薄れて行った。


 そのうち、私も灯ちゃんみたいに、正直に自分の気持ちを言える様になれたら良いな……


 きっと、これからもペンキ屋の立ち居振る舞いは変わらないだろう。しかし、ペンキ屋の本心がわかった今は、それさえも気にならなくなった。これはペンキ屋の言う通り、クセなのだと受け入れる事が出来た。

 だが、受け入れても、それが気にならないと言えばウソになる。きっと、灯も同じなのだろう。子供扱いに対する反発心である。それを灯は素直に言う事が出来る。もちろん、知り合ったばかりの希には無理な話だ。


 きっと、そうなれるよね……仲間になれたら……ね


 希はそう思うと、ペンキ屋に聞いた。


 「そんなに早かったんですか?」


 「早いなんてもんじゃないよ。僕もそれなりに自信はあったんだよ。いつもギリギリの走りしてたんだからさ。けど、次元が違った。いくら僕のバイクがセッティング変えたばかりって言っても、それだけじゃ無かったね。根本的に違った。それで余裕があるからムカつくよね」


 「そんなに?」


 希は驚きながら聞いた。


 「うん。言うだけの事はあるなって素直に思ったよ。実力の差を見せつけられちゃったら、言う事聞くしかないよねぇ」


 ペンキ屋は笑いながら言った。


 ペンキ屋さんにとって、この出会いは凄く良い物だったんだな……


 希はそう思った。


 「あんな、大きいバイクをさ、ひらりひらりって操っちゃうんだもん。ほんとに凄いよ。僕もさ、せめて姉御には勝ちたいと思ったんだ。当時、まだ姉御は400ccのバイクだったしね。一応、僕のバイク、750キラーって言われてたし」


 「それで、どうだったんですか?」


 希は興味津々に聞いた。


 「それがさ、姉御にも全く叶わなかった。姉御も綺麗に曲がるんだ。さすが『インパルスの遥子』だと思ったよ」


 「ちょちょちょっと、待って下さい?『インパルスの遥子』って?」


 希が驚いてペンキ屋に聞くと


 「あのね、姉御は……」


 「ちょっと待て!!!!!」


 慌てて遥子がペンキ屋の話を遮った。


 「おい!オマエ今何を言おうとした?」


 遥子がすごい形相でペンキ屋に詰め寄ると、ペンキ屋は悪びれずに笑いながら言った。


 「いや、姉御の当時の呼び名を教えてあげようと思ってさ」


 「え?なになに?私にも教えて?」


 灯が話に入ってきた。


 「ちょちょちょちょちょい、ペンキ屋分かってんだろうな?」


 遥子は、動揺しながらもペンキ屋に凄んだ。


 「やっぱさ、隠し事は良くないと思うんだよね。僕もカミングアウトしたんだしさ」


 ペンキ屋は、訳のわからない理屈を言った。


 「それと、これとは話が違うだろ!」


 「そんな事ないよ。灯ちゃんも希ちゃんも聞きたいよねぇ?」


 「うん!!」


 「はい!!」


 二人が仲良く返事をすると、ペンキ屋は勝ち誇った顔で陽子に言った。


 「ほら?二人も聞きたいってさ」


 「また黒歴史が……」


 遥子は顔を覆って嘆いた。すると、ペンキ屋は嬉しそうに話し始めた。

次回の更新は18日となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ