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快速四号  作者: ヤーツツ・トモミ
第二章 快速四号
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第12話ー④ 第二ターゲット

大会は十二時半に終わった。

 帰りの山陽道で、松野は行きと同じTシャツとスカート姿に戻っていた。


「四十八万も出して継受したのに、ずいぶん雑に扱うのね」


 クラウフの壺は、高橋の足元に転がっていた。


「信者にはならないって言いながら、あんな高い壺を買って……何を考えてるのか、分からないわ」


 松野はアクセルを踏み、観光バスを追い越した。メーターは百四十を超えていた。


「俺も、納得いかないことがあります」

「何?」

「受付の名簿です。信者の一覧に名前がありましたけど、俺、いつ入信したんですか?」


 高橋は窓の外を見たまま言った。


「大会に入るためよ。仮入信みたいなもの。それより、お金は本当にあるの? 支部のお金で立て替えたんだからね」

「勝手に入信させるのは、どうかと思いますけど」


 松野は答えなかった。


「まあ、いいです。松野さんも、自分の思うようにやってる。俺も同じですよ」


 


 一時間ほどでアパートに着いた。

 半日の外出が、ずいぶん長く感じられた。


「お金、取ってきます」


 部屋へ戻り、引き出しから封筒を出した。

 上村の顔が、一瞬浮かんだ。


 これとも、おさらばだ。


 外では、松野が車にもたれて待っていた。


「五十万、入ってます」


 松野は中身を数え、二万円を返した。


「確かに。壺まで買ったのに、入信する気はないのね……って、私がさせちゃったんだけど。形式上は」

「気が向いたら、また遊びに行きますよ」

「そう。じゃあ、期待しないで待ってるわ」


 車は大通りへ消えていった。


 


 壺を部屋へ運び込み、高橋はロフトの布団に寝転んだ。

 あの金を使ってしまった。残りは少ないが、あと二週間しのげればいい。


「あ、本を返すの、忘れた」


 松野から借りていた本が、布団の脇に落ちていた。

 手を伸ばすと、その横で携帯が震えた。


 二人目の相手からだった。

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