誰が為のゲーム(前編)
「僕の年齢ですか? お姉さんの目にはいくつに見えますか?」
「ちょっと、聞いているのは私のほうなんだけど」
「そうですよね。それは失礼。少なくともお姉さんよりかは年下ですよ」
「そんなの見ればわかるわよ。どう見たって小学生にしか見えないんだから。でも、頭の中はとても小学生のものとは思えない。うん? 少なくとも私より年下? それじゃ、十代後半ということもあり得るの? なんだか漫画みたいな話だけど、体は子供でも、頭の中は大人ってことも、この業界ならあり得ないことも無いわよね」
「そこまで推測しているのであれば隠していても仕方のないことかもしれませんね。お姉さん、僕はこう見えても年齢にして十五なんです。学年でいうと、高校一年生ですかね。高校には行っていませんけど」
「やっぱり… でも、十五。それでも想像以上に若いわね。どこかしっかりしているし、もう少し上かと思った」
そこに赤髪が間に入る。
「彼はそこらの同級生と比べても頭のいい子でね。国が国なら飛び級していてもおかしくない頭脳の持ち主だよ」
弥生はムッと顔を顰めた。
「あんた、話に割って入って、あんたたちはいったいこの子とどんな関係があるっていうのよ?」
「我々かい? 我々は彼の才能を最初に見つけたものだよ。その才能を高く買い、その可能性を示してやったといっても過言ではない」
「何を偉そうに。威張る話でもないじゃない。でも、本当?」
少年は躊躇なく頷く。弥生は口を「へ」の字にして苦笑いをする。付き合う人間を選ぶ必要の説教をしてやりたい。
「君たちUWが彼のことを見つけてやれなかったのは、君たちの世界の住人である彼にとっては、ある意味、可哀想な話だよ。もっとも、君らUWが彼のことを保護できたとして、それで彼の能力を活用してやることができたかといえば、疑問に思うがね」
「どうしてよ? こんな一般人を巻き込む危険な使い方のほうがよっぽど活用なんて言葉とは無縁に感じるわ」
「おっと、でもな、こんな使い方というが、この世界を企画して作り上げたのもこのニシ君自身だ。君は彼を責めようというのかい? 病気の彼を」
「何よ、それ。結局あんたたちはどんな協力をしたって言うのよ? それに、病気だから何だっていうのよ。病人ならどんな理不尽なこともしていいって言うわけ? 他人を巻き込んでいいって言うわけ?」
赤髪の言うことも所詮、赤髪独自の見解である。少年には少年の言い分がある。
「お姉さん、病気だからという理由で何でも好きにやっていいという考えは僕にもないです。ただ、病気であることは間違いがないし、まだ先だけど、確実に人より短い寿命でしか生きていられない。そんな僕でも世のために自分の才能を使いたいと思うことは、決して理不尽とは言い難いと僕は思う。何より、僕が作ったこの世界にも、ちゃんとした意味と目的があります。人によっては少し過激に思えるかもしれないけど、やはりそれも意見の相違というものだと思う」
「あなた、私とまだ話がしたいって言ってたわよね? それ、その考えを私に理解させるっていう意味だったの? 私を仲間に引き込もうって、そういった考えだったの?」
少年は困った顔をして、何とも言えない。代りに赤髪が口を開く。
「仲間に入れようとか、そういう安いものじゃないと思うぞ。誰にでも理解されたいという欲求はある。理解もされずに頭ごなしに否定されては、それこそ理不尽と言うものだからな」
続きます




