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現れた首謀者(後編)

「勿体ぶるわね。それで、用件は何?」


「急かしますね。でも、仕方ないですか。そうですね。挨拶をしたかったと言うのが第一ですが、そんなことで納得してもらえるとは思っていませんので、正直に話します。僕としては、いまこの場にいる学校の生徒の皆さんには感心しています。最後まで自主的に残って、ゴールまで目指してくれている。このゲームを、この世界のルールに乗っ取って一からクリアしようとしてくれている。嬉しい限りです。でも、お姉さん、他の生徒たちを別ルートで現実世界に戻してしまったあなた方は、やはり頂けません。ルール違反ですし、お姉さん方の強すぎる戦闘能力も反則に思えてなりません。あなた方にモンスターのレベルを合わせると、ゲームのバランスがどうしても崩れてしまうのです。そこで、お姉さん… 僕からの提案なんですが、お姉さん方、特殊な力を持った方々は、僕がすぐにでも現実世界へと戻すというのはどうでしょう? 彼らはここに残りゲームを続ける。お姉さん方はすぐにこのゲームをクリアしてしまう。いかがですか?」


 意外である。だが、弥生も動じることなく、


「あなた、勘違いしてる。私たちはゲームを楽しみにこの世界にいるんじゃない。彼ら迷い込んだ生徒や学校関係者を救出するために来ているの。遊びじゃないの、仕事よ」と答えた。


 もっとも、少年も重々承知と頷く。


「やはりそうなりますよね。僕としても無理な相談だと思っていました。でも、いまのこの世界にとって、あなた方はやはり脅威だ。手荒な真似はしたくなかったですが、交渉が決裂するのであれば、仕方がありません。あなたを連れ去ろうと思います」


「連れ去る?」


 眉を顰めたそのとき、上空より翼を広げた赤い巨大なワイバーンが現れる。「嘘!」と叫んだ次には弥生が鷲掴みにされ、彼女一人空高く連れ去られてしまった。ジタバタしても抜け出せない。地上を見下ろせば、少年は小さな「穴」を発生させてスルリと滑り込み、あっという間に姿を消している。その「穴」に飛び込んでしまえば羽田たちも帰れるものの、彼らは事態を理解できていなければ、「穴」もすぐに消滅してしまう。


 弥生は彼らを馬鹿と叫ぶが、その声が届かないほど遠くに運ばれている。もう炎を使って竜の手を焼いてしまっても、落下すれば死に繋がる高さである。向かう先が方角にしてどうやら例のゴールとされる塔であるようで、彼女はひとまず黙って連れらされることにした。


 案の定、そのうちに塔の屋上にて降ろされる。手荒に落とすのではなく、竜は優しく両足で着地させてくれる。屋上には、確かに「穴」がある。それも直径三メートルほどの大きなものである。縮まずにずっと開口を維持している。竜は鼻先でそこへ入れと促す。


「馬鹿ね。ここで私が向こうへ帰ったら、この穴から応援をたくさん呼んでこれるじゃない」


 「穴」の前でそう呟くと、それに答えるように、


「大丈夫です。あなたが抜けた後、一度、この『穴』は消滅させて新しくプログラムし直しますから」


 と、背後から返事がする。振り返ればあの少年が立っている。まったくどこからでも現れる。弥生は手から炎を出して戦闘の構えを取った。


「私が素直にここから帰ると思う?」



続きます

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