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校舎の外に現れたロボット(後編)

 桐生とヴァイスは胸部に飛び乗り外部からコクピットのハッチを強制的に開いてしまう。刀を突きつけ、パイロットを威嚇する。しかし、そこには例のメガネの男子生徒の姿はない。中はアニメで見る巨大操縦型ロボットの典型的なコクピットの作りをしている。数種のメーター、スイッチ、レバーそしてシートがあるその中央に、どういう訳か、黒い「穴」が浮かんでいる。


「これは…」


「逃げられたか…」


 相手の素早い判断に敵ながら感心していると、「穴」は徐々に萎み始める。間髪入れず、ヴァイスが掌を向けてその能力で強引に「穴」をこじ開け、直径一メートルくらいまで広げる。


「誠司、いまのうちに生徒たちを呼んでくるんだ。ここから可能な限り逃がすぞ」


「お前、ナイス判断。待ってろ!」


 桐生はすぐに機体から飛び降りると、丁度視線の先に滋たちの姿を見つける。


「何があったの?」


「説明はとにかく後だ。あの機械人形のコクピットの中に『穴』を見つけた。すぐに生徒たちを呼んできて彼らを逃がすぞ」


 滋もコクリと頷く。戦闘中の激しい揺れ、爆音のせいで体育館に集まっていた生徒や学校関係者も、あらゆる窓から、あらゆる扉から外の様子を窺っている。すぐに島田の姿も見つけた。


「先生! 脱出できそうです! みんなを順番にあのロボットまで案内してください!」


 滋は生涯でも稀にみる大声をだしたつもりであるが、如何せん声量が足りない。島田もよく聞き取れなかったようで、結局桐生が彼女の近くまで走って説明をする。頼りない己に申し訳ない顔をする滋に、戻ってきた桐生は、


「おい、お前はすぐに結界を張れ。校舎からコクピットの『穴』まで被うくらいのつもりで根性と全力を出せ」と命令する。


 倒れたロボットから一番近い校舎の出口は滋と深沢が出てきた玄関になる。そこから脱出させれば張る結界も最小で済むが、脱出できると知った生徒たちは、教師たちの引率も無視して我先と体育館から蜘蛛の子散らしたように走り出してくる。ロボットに勝手に近付く生徒たちを止めるために、滋の結界がひとまず役に立つ。


「ごめん! 順番に並んでください!」


 この説得、ならびにやって来た島田たち数人の教師の指揮によって一列に並べていく。それでも生徒の中には声を張って文句をいう者や泣いている者、列を割り込もうとする者もいる。教師たちは女子を優先させようとするが、それもなかなか上手くいかなかった。弥生も先生たちを手伝う。その間、桐生はコクピットに戻って「穴」に半身を入れてその先を覗き込む。


「警察の姿も見える。大丈夫、ちゃんと俺たちの世界に繋がっている。高さも問題ない。よし、一人ずつ脱出させるぞ」


 桐生の合図で滋も結界を解く。島田たち先生の統率力でようやく一人ずつコクピットへと誘導する。「穴」へと逃がしている最中、桐生はコクピットの側で、弥生と滋は列を挟むように立ち、周囲に目を配り神経を尖らせて敵の出現に備える。


 先生たちと誘導の補助をしていた深沢が滋に駆け寄ってくる。


「教頭先生たちが玄関から出てきましたよ! あっちを優先させていいですか?!」


 無論、許可する。



続きます

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