UW側と島田たちの話し合い(後編)
宮下は随分と一方的に話をまとめる。島田に言っているのか、同じUWの桐生たちに言っているのか、言うだけ言って、誰の許可も得るでもなく、さっさと助手を引き連れ、教室を出てしまう。出たところでヴァイスにも来るように促すが、話を聞く事が優先と拒否された。宮下たちは仕方なく自分たちだけで保健室へと向かう。勝手なものである。あの二人だけで保健室に行ってしまえば、そこで教頭先生を看ている生徒たちが驚くだけだと弥生が指摘すると、島田の指示で、廊下で待機していた若い男の教師に宮下たちを案内させる。気を使わせて、桐生は恥ずかしくなる。
「ヴァイスさんはどうして行かなかったんですか?」
滋がふとそんなことを聞く。
「君らがどう動くかで、俺の動きも変わってくるからね。それに俺としてはここを作ったと自称するそのアナウンスの人物よりも、実際にこの世界を作ったであろう、もしくは作るのに手助けをしたであろうその背後の人物、おそらく能力者の人物のほうが、興味があるからね」
「でもそれは、僕らの推測でしかないですよ」
「それでも、十中八九、後ろに誰かいるだろうね」
そこに桐生も、
「おい、ヴァイス。お前、こういう異次元創作の能力について何か知っているか?」と聞く。
「いや、詳しくは。ただ、ありえない話でもない。俺たちがこの世界に放り込まれたとき、『穴』はノートパソコンから発生していた。仮に、パソコンの中で仮想世界を創り出してデザインし、君らの住む世界と繋げることができたなら、こんなテレビゲームのような変てこな世界も作られるはず。『あちら側』には、君らのように戦闘能力に偏ったような能力者ではなく、芸術的な分野で才能を持った者のほうが断然多い。そういった芸術的な能力者の中にも天才と呼ばれるような者もいる。まだまだ『あちら側』ではパソコンなんて科学的に進歩した代物は普及していないが、そんな天才がパソコンなんてものを手にして、その仮想世界の新たな可能性に着目したら、と考えれば、可能性は大いにあり得る。それと…」
「それと、何だよ?」
「これは全く俺の勘でしかないが… 以前に君らが捕まえて、俺に引き渡した赤い髪と白い髪の二人組がいるだろう。しばらく『阿国』で軟禁していたんだが、現在行方不明でね。特に赤い髪の奴はその才能を使って、一攫千金、立身出世の野望を持っている野心家だった。何だか、その繋がりもあり得ると、そう思えてね」
「勘か… 確証はないんだな?」
「ないね。まあ、それは置いておいて、俺としても、まずここからの脱出のほうを優先さているので。ここに残るのもそのためだよ。理想としては、人命は君らに任せ、俺一人でも脱出して、真の犯人を調査、確保して外から君らの救出を図る」
「お前一人なら脱出できるのか?」
「考えがないわけじゃない。まあ、そうなると研究所の二人の護衛はできなくなるけどね」
「いいんじゃない、あの二人なら別に」
さて話は進展したが、UW側だけに通じるものなら、島田や深沢にはちんぷんかんぷん。頼りのない顔をして、
「あの… 何のことを喋っているのかわからないんですけど…」
「いやいや、申し訳ないです」
続きます




