第43話 ブラックは楽しそうに、下品に笑ってやがる
「イーナ、筋肉達磨にバフを!」
「誰が筋肉達磨だあ! 本人を前に堂々と悪態つくなよなあ!」
おっと間違った。
心の中での呼び方が出ちまった。
イーナはジリの背に乗り、バルドゥルのもとへ。
「ははは、馬鹿だ、馬鹿フェルドだ!」
「あれえ? ずいぶんと寒いですね。冬になったかな」
テオとルッツだ。
が、顔が赤い。
「ギルドで飲んでたから、とっ捕まえてきたぜ!」
いやバルドゥル。
こいつら酔っぱらいじゃねえかよ。
昼間っから飲んでんじゃねえ。
が、助かった。
「イーナ、そいつらを回復してくれ! 速攻で酒を抜くぞ!」
「了解。フェル、任せて!」
イーナはバルドゥルにバフをかけ終わっている。
いいじゃねえか。
「行くぞ、バルドゥル!」
「がははは! 暴れるぜ! 付いて来いよ、フェルド」
「ちょっとお。こっちが大変なんだよお。助けてくれよお」
ああ、ドミニクは一人でブルーに対処中。
大変だろう。
ブルー一体をバルドゥルに任せて、俺はドミニクの助力へ。
ドミニクが防戦一方になっている。
ドミニクは俺より回避が弱いから、怪力なブルーを相手にするのは大変だろう。
俺は左手を失っている期間があったんで、回避も磨いてきた。
ブルーの怪力を耐えられるのなんてバルドゥルと「清廉なる赤い薔薇」のマリオンくれえだよ。
ブルーがドミニクを鉈で斬り付ける。
ドミニクはギリギリ躱すが、体勢を崩す。
ブルーがニヤリと笑い……
ここだ!
《激流ノ歩》発動。
一気に間合いを詰める。
《燕返し》に繋げる。
グルォォォ!
新しい敵が突然乱入したことに、斬られたことにブルーが怒りの声を上げる。
で、吠えてる場合かよ?
「俺だってまだいるんだよお!」
ドミニクが斬り付ける。
攻撃力が足りねえか。
それほど傷は深くねえ。
だが俺と二人ならなあ。
「俺の相手はどうするよ!」
《疾突横閃》!
突撃、突き、横一閃で、斬り抜ける。
「こんなこともできるんだよねえ」
ドミニクが俺が付けた傷跡を攻撃。
更に肉を深く斬り付ける。
ゴガアァァ!
だから吠えんじゃねえよ。
うっせえ!
「終わりだよ!」
《剛唐竹割り》。
ブルーを斬り倒す。
で、バルドゥルのほうは?
ときおりアイツの下品な笑い声が聞こえてきたが。
「がははは! どうした、どうした。それじゃあ、俺には届かねえよ!」
ブルーの鉈を戦斧で弾いてやがる。
どんな腕力だよ。
んで、俺との訓練じゃねえんだから、とっとと倒せよ。
後ろがつっかえてんだよ。
ガツン、ガツンと戦斧でブルーと打ち合っている。
楽しんでるんじゃねえか?
「とっとと倒せよ。次が出てくるだろうが!」
「フェルド、短気はいけねえぜ。ま、しょうがねえなあ。おら、いっとけや!」
バルドゥルの戦斧をぶん回す。
ブルーの鉈ごと、首を掻っ切った。
魔法剣(火)だな。
攻撃力特化なやつだ。
単純に強え。
できるんならやってくれよな。
だが、まだブルーが出てくる。
その間にも門からノーマルのオーガが吐き出されている。
クソ!
ノーマルのほうは対処できねえぞ!
「待たせたなあ! テオ様の登場だ!」
「いやあー、すまねえ。こんなことになるとは思ってなくてなあ」
テオとルッツが酒から復活。
なんだよ、酒からって。
格好悪いんだよ
ダメおっさんコンビじゃねえか。
「俺はテオさんとルッツさんとノーマルを対処するよお。フェルドさんはマスターとブルーをお願いなあ」
ドミニクがノーマルへと走る。
イーナとジリもフリーになる。
彼女たちの攻撃魔法がブルーへ飛ぶ。
これなら十分!
オーガどもを殲滅だよ!
と、調子に乗るもんじゃねえな……
こういうときは悪いことが起きるんだ。
だが俺のせいじゃねえぞ、きっとな。
扉からの瘴気が強くなる。
強烈なプレッシャーだ。
これはブルーじゃねえ。
ああ、こいつだ。
扉から漏れていた瘴気はこいつのせいだ。
ガツリと爪の長い黒ずんだ手が入り口を掴む。
狭そうに頭をかがめて扉をくぐった。
黒ずんだ体は、ブルーのよりさらにデカい。
手には棘の付いた金棒。
金色の瞳が俺たちを睨む。
恐怖が体の底から湧いてくる……
『フェルド、ブラックです。ブラックオーガ。またの名をオーガキング……』
王様かよ。
どおりで……
「ガハハハ。ビビってんのかよ、フェルド」
「うっせえや、バルドゥル。オラあ、びびちゃいねえよ」
正直、ちとビビってたがな。
が、やらなきゃならねえんだ。
なら、ビビッてちゃダメじゃねえか。
「王様だろうが知らねえや。オーガはオーガだろうが」
「そうだぜ、フェルド。所詮、オーガだ。やっちまえばいいんだ」
ガアアアアアアァァァァァ!!
ブラックが叫ぶ。
空気が震える。
なんだあ、違和感がある。
空気が重い。
『マジックダウンフィールドでしょう。あれの近くでは魔法の威力が弱まります。攻撃魔法が効かないかもしれません』
なんだあ、そのスキルはよう?
つーことは近距離の俺たちがどうにかしなきゃいけねえってことかよ。
『確認しましょう。イーナ様、攻撃を合わせてください。ゲイルランス!』
「了解、ジリ! ゲイルランス!」
巨大な回転する風の槍が突撃する。
しかし、ブラックに近づくにつれて小さくなっていく。
ブラックに行く頃には三分の一程度。
グルルアァ!
ブラックは片手で払いのける。
おい、おい、それでも魔法の槍は人間の頭程度の大きさがあっただろうが。
何でもないように振り払うんじゃねえよ。
グアアァァァ!
ブラックが金棒を振りまわる。
危ねえな。
飛び退く。
が、風圧で飛ばされそうになる。
どんな腕力してんだよ。
「おうらあぁ!」
ブラックの動き終わり、バルドゥルがツッコみ、戦斧を叩きつける。
が、ブラックは肩で受けやがった。
半分弾かれたように斧が戻ってくる。
ダメージは少ない。
っ、俺も。
《疾風突き》!
突撃して、その勢いのまま突きを……
突きが入らねえ!
まずい!
ブラックの金棒が迫る。
《激流ノ歩》、ギリギリ発動した。
横に抜ける。
金棒の風圧で体勢が崩れる。
ピンチの連続じゃねえか。
風の槍がブラックに向かって飛んでいく。
ブラックは邪魔そうに手で払う。
イーナかジリか。
ありがてえ。
その隙に退避する。
危ねえってもんじゃねえだろうが。
「おい、バルドゥルよ。どうするよ?」
「おおう! どうしようもねえな。お前が考えろや。俺は時間を稼ぐくれえしかできねえぜ!」
時間稼ぎだけかよ。
まったく頼りになるマスターだな!
まあ、しょうがねえ。
Sランクの魔物だ。
英雄でもなきゃ、倒せねえや。
Sランクの冒険者なんて、この街にはいねえし……
あん……?
一点豪華主義。
極振りで、Sランクの魔力。
いたなあ……あいつ。
「イーナ、ジリ。バルドゥルを援護しろ!」
「了解!」
『まあ、魔法もないよりはマシでしょう』
で、俺は《激流ノ歩》で、メリスの前へ。
「わあぁ! 驚かすな。でかい図体のくせに移動力があるなんて卑怯じゃ!」
メリスは端っこの方で固まっていた。
俺の言いつけ通りに防御に徹してたみてえだ。
意外に素直だな。
「じゃねえや! 急ぎだよ! メリス、お前の力が必要だ!」
「ふえ? わらわのか?」
「そうだ。まずは俺の剣を強化してくれ!」
金属性ってのは武器へのバフが得意な属性だ。
俺の突きはブラックに通用しなかった。
が、メリスの強化が加われば。
メリスは魔法制御が馬鹿だが、強化なら、触れての発動なら問題ないだろう。
「なるほど、わらわには簡単なことじゃ! ほれメタルエッジじゃ!」
剣が銀色に輝く。
が、やはり制御がザルだ。
強すぎなんだよ。
力が俺の方まで流れ込んできそうになる。
身体強化と、俺の中のイーナのバフで、なんとか耐える。
「おい、止めだ。もういい!」
「お、そうか? まだまだいけるのじゃが」
いらねえよ、これ以上。
こっちの体が壊れるわ!
それよりも。
「お前、剣の召喚ができたよなあ。あれのデケえの、上位魔法は使えねえのか?」
「いや、使えるが。しかし、わらわは……」
「使えるなら使え。死ぬぞ、ここで、みんな。お前だけじゃねえ、ここにいる全員だ!」
「じゃが、当たらなければ。逆に他の人に当てては……」
「当てるよ。ここには他のヤツが、仲間がいるんだ。そいつらが当ててやるよ。だからデカいのを、とびきりデカいのを頼む! お前だけが頼りなんだ! お前がこの戦いに必要なんだ!」
メリスは一瞬だけ考える。
そして、キッと俺を睨みつける。
「――分かった! やってやるのじゃ! フェルドが大きすぎるとやめろというくらいのやつを出してやるのじゃ! 覚悟するのじゃ!」
「いいじゃねえか。頼りにしてんぜ」
手をメリスの頭……じゃねえな。
握手に差し出す。
メリスが俺の手を握る。
「頼むぜ、メリス」
「了解なのじゃ!」
メリスは魔力を練り始める。
ブラックはバルドゥルと打ち合っている。
バルドゥルは頑張っているが、弾き飛ばされねえようにやっと耐えている。
イーナとジリの魔法も飛んでいくが、ほとんどダメージを与えられてねえ。
ブラックは楽しそうに、下品に笑ってやがる。
遊んでいるな。
自分が負けると思っていねえ。
悔しいが、今のままじゃ奴の勝ちだ。
俺たちは負け、街は全壊、全滅。
だが、足掻くぜ。
人間を侮っちゃいけねえぜ。
鼠だって追い詰められりゃあ、猫を噛むんだ。
俺たちにできねえわけがねえ。
「行くぞ、フェルド! 神代の槍よ、我らに敵する混沌を貫け! 出でよアマノサカホコ!!」
メリスが魔法を発動する。
《アマノサカホコ》聞いたことのねえ、魔法だ。
街の上空、巨大な魔法陣が出現する。
距離があるから大きさがわかんねえが、相当なデカさだ。
その魔法陣から槍が現れる。
穂先が現れ、次第に刃の全体が現れる。
巨大……
俺の想像の倍はデカい。
いいねえ。
が、やはり出現場所がおかしい、大分ずれている。
そのままじゃ、ブラックに当たらねえだろう。
だが……
「メリス、方向は制御するな。自由落下に任せろ!」
「しかし、それでは当たらんぞ!」
お前が制御しても当たらねえんだよ。
だけどなあ。
「仲間を信じろ! 当ててやるぜ、必ずな!」
「わかった」
巨大な槍がゆっくりと落ちてくる。
いや、ゆっくりとじゃねえな。
巨大だからゆっくりと見えるだけだ。
相当な速度だ。
それじゃあ、行こうか。
ブラックへと駆ける。
叫ぶ。
「イーナ、ジリ。上の槍をヤツに当てろ!」
「え、上?」
イーナが上空を見て、槍を発見する。
「大きい槍だ!」
『あれをか? フェルド、無茶ですよ!』
「無理でもやれ! 突風でも嵐でもなんでも起こして当ててくれ、頼む!」
『しょうがないですね。やってみましょう』
「イーナ、頑張るよ!」
イーナとジリがブラックの攻撃から外れる。
その穴は俺が埋めなきゃならねえ。
ちと荷は重いがやるしかねえな。
ブラックはイーナたちが上を見上げたのを認識して、上空を確認する。
巨大な槍がある。
ヤツは笑った。
距離がある。
当たんねえと思ってんだろう。
当ててくれるよ、イーナとジリがな。
その時間稼ぎをさせてもらうぜ。
《激流ノ歩》でブラックに突撃する。
「おら、バルドゥル。助けに来てやったぜ。死んじゃあいねえだろうな」
「おう、フェルド。遅かったな!」
バルドゥルの体にはいくつもの傷が見える。
が、死んじゃあいねえ。
死ななきゃ、あとでイーナに回復させてもらえんだろう。
ガアアァァ!
ブラックは俺を無視して、バルドゥルに攻撃を仕掛ける。
俺じゃあ、傷つけられねえと思ってるんだろう。
だが、それでいいのかよ、あんた?
隙だらけじゃねえか。
《疾風連撃》だ!
右一文字、左袈裟懸け、左逆袈裟懸け、唐竹割り。
四連撃。
おお、斬れるじゃねえか。
さすがメリス。
だてに魔力極振りじゃねえな。
ググアアア!!
ブラックが吠える。
俺に斬られたのがそんなに悔しいかよ。
そんなに睨んだって、もう怖くねえよ。
もうお前の顔は見慣れちまったよ。
ついでに突きも食らっとけよ。
《迅突・無型》だよ。
「おお、いいじゃねえか、フェルド! 俺も強化してもらってくるぜ。あのエルフの嬢ちゃんだろ!」
「おい、離脱すんじゃねえよ! 俺一人じゃ無理だろうが!」
「少しだけだ。頑張れや!」
あいつ俺を殺す気かよ!
ほら、ブラックが睨んでんじゃねえか。
ついでの突きは余計だったか?
ガガガアアアァァァ!
無茶苦茶に金棒を振り回して来やがった。
ギリギリ避けていくが、ほんとうにギリギリだ。
ん、なろ!
スキルなしの袈裟懸け。
傷は浅い。
やはりスキルじゃねえとダメか。
あ、余計なことをした。
いきっちまった。
ブラックが金棒を振り下ろす。
避けきれねえな……
あの金棒を受けきるのは俺には無理だ。
だが、なら、逸らせ。
受けられないなら、逸らせばいい。
集中しろや、フェルド。
おお、少しだけ時間の流れが遅くなった気がする。
下りてくる金棒に、そっと剣を添える。
その力の流れをほんの少しだけ逸らしてやる。
力に逆らうんじゃない。
寄り添って、しかし、思い通りに導いてやるんだ。
金棒は俺のすぐ横の地面に激突した。
時間の流れが戻る。
くそ!
風圧と地面に金棒が激突した衝撃で、体が飛ばされる。
着地と同時に《激流ノ歩》を発動。
前につんのめる感じで地面に倒れ込む。
ブラックの追撃を躱していく。
しかし良い感じに怒ってやがるな。
いいぜ、いいぜ。
巨槍が気になるが、見ねえ。
ヤツに気付かれたらお終いだ。
ブラックの攻撃が一瞬止まる。
おう、気になってんのはバルドゥルか?
俺の攻撃がお前に通用するようになった理由が知りたいかい?
そりゃあ、俺を無視しすぎだろがよ。
《疾突横閃》。
突きをぶち入れて、横に切り裂く。
そのまま横に離脱。
グルア!
だから、俺を忘れんじゃねえって言ってんじゃねえか。
俺の攻撃スキルは通用するようになったんだぜ。
ガアアア……
ブラックが雄たけびを上げ、途中で止まる。
俺を見降ろしている。
その地面に巨大な影ができている。
空に何があるよ?
おう、気付いたか?
奴は空を見上げる。
そうだ、巨槍だ。
すぐ近く、槍が来ている。
『フェルド、離脱を! ウィンドジャベリン!』
おい、ジリ、その《ウィンドジャベリン》、俺に向かってるんだが……
なるほど、無茶やるよ。
ジャベリンの進行方向に飛びながら、剣の腹でジャベリンを受ける。
ジャベリンの風圧で俺は、巨槍の攻撃範囲からはじき出される。
ブラックも動こうとするが……
「ウッドバインド。逃がさないよ!」
イーナの全力の《ウッドバインド》だ。
地面から伸びた木が、ブラックの足に絡みつく。
ブラックがもがく。
お前なら脱出できるだろうよ。
時間をかければな。
聖女イーナの魔法だぜ。
さすがに一瞬じゃ斬れねえよ。
それよりも巨槍が落ちてくるのが早え。
巨槍はもうブラックの真上。
ガルオオオーン……
ブラックは吠える。
逃げることをやめて、巨大な金棒で巨槍を迎え撃つ。
大きさが違うな。
ブラックの三倍以上の巨槍が落ちてくる。
渾身の力で打ち付けた金棒は、しかし弾かれる。
飛んで、家に激突し、崩壊させる。
巨槍の端っこがブラックに落ちる。
直撃じゃねえ。
だが、その威力は十分。
金棒を持っていた右腕の方、肩から、腿までバッサリと切断した。
切断部から黒ずんだ血が噴き出す。
巨槍は地面に突き刺さり、そして金色の粉になって消えた。
ガァァァァ……
ブラックが吠える。
まだ生きてやがる。
しぶてえな。
「おう! 待たせたなあ! 俺様の復活だ!」
「最後だけ持ってくのかよ、バルドゥル」
いいよ、俺は疲れた。
お前が倒せ。
「いやあ、楽しかった! だが終わりだ!」
バルドゥルの体から赤い靄が上がる。
強度の火属性の身体強化だ。
戦斧も赤白く輝く。
「それじゃあ、さよならだ! 冥土の土産に目をかっぽじって見やがれ!」
かっぽじるのは耳の穴だよ。
バルドゥルは戦斧を天高く構える。
ガアァァ!
ブラックが牙をむきながら、バルドゥルを睨みつける。
バルドゥルは凶悪な笑顔。
「ぜんぶ断ち切れ! 剛気苛断!!」
必殺技だか何だか知らねえが、技名を叫ぶなよ。
相手に攻撃がバレるだろうがよ。
戦斧が赤い光の尾を引きながら、ブラックの体を斬り割いた。
ついでに地面も五メートルくらい切り裂いている。
ブラックは真っ二つ。
二つに分かれた体が、それぞれ地面に落ちる。
「がははは! これで終わりだ!! 俺たちの勝利だぜ!」
召喚の門は消えている。
ブラックの召喚で力を使い果たしちまったんだろう。
ノーマルオーガたちはドミニク、テオ、ルッツに倒され、全滅。
ブラックオーガの体は三つに分かれて地面に落ちている。
黒ずんだ血の海ができている。
その周辺にはオーガ、ブルーオーガの死体が山のようだ。
本当に終わった。
これで終わりだ。
地面に大の字に寝そべる。
「終わったぞー! 生き残った! ちきしょー! もうこんなギリギリの戦いは御免だー!」
今は動きたくねえ。
勝利の喜びとかよりも、動きたくねえって気持ちが強え。
疲れて腕一本動かすのも苦労するぜ。
もう、こんなおっさんを働かせるなよな。
そろそろ下の世代に譲りたいものだぜ。
「フェル! すごい。みんなすごいな! 大勝利だな!」
イーナよ、なんで俺に飛び込んでくるよ。
俺は疲れてんだよ。
だが、頭を撫でてやる。
「おうよ。みんなすげえんだ。大勝利だぜ。世紀の大勝利だ」
『まあ、あなたたちにしてはよくやった方でしょう』
ジリの毛並みもぐちゃぐちゃだな。
それだけ頑張ってくれたってことだ。
ありがとうよ。
撫でてやろうとしてたら、引っかかれた。
こうしてオーガとの戦いは終わった。
街がだいぶ壊れた。
怪我人もいるだろう。
だが勝った。
俺たちは生き残った。
生きてりゃ、どうにかなるだろう。
まあ、今はそれでよしとしようや。
<<ステータス>>
フェルディナント・エアハルト
年齢:42歳
冒険者:Aランク(Up!)
LV:41(Up!)
生命力:273
筋力 :189
魔力 :111
素早さ:152
アクティブスキル:
水流の構え(New!)
ジリ
年齢:不明
黒豹
LV:46(Up!)
バルドゥル・バルツァー
年齢:47歳
冒険者ギルドマスター
LV:46(Up!)
ドミニク・ビットマン
年齢:38歳
冒険者:Bランク
LV:35(Up!)
メリスティア・ハルヴェリオ
年齢:126歳
冒険者:Eランク
LV:6
生命力: 12
筋力 : 7
魔力 :252
素早さ: 7




