第10話
<sideシルフィード>
「ふっ、はぁぁァァァ」
私は放課後、闘技場で鍛練をしている。
理由はもちろん、恭夜に勝利するためだ。これまでの成績は今日の試合を合わせて、五戦全敗だ。
初めて対峙した時に、恭夜の膨大な魔力と凄まじい剣技を感じてから今まで以上に鍛練するようになった。すべては恭夜に勝つために、勝って私を認めてもらいたいからだ。
自分でも何故ここまで恭夜に勝って認めてもらいたいのかわからないが、とにかく勝ちたいのだ。
「シルフィード、早く帰ろうよ〜」
「わかった、今行く」
私は一通り鍛練を終わらせると、荷物を纏め闘技場の出入り口で待たせていたツバキとティアの元に行く。
「悪いな待たせて」
「いえ、構いませんよ。それよりカフェに行きませんか?恭夜さん達も行くと言ってましたし」
「よし行くぞ二人とも」
「行くわよ、シルフィード、ティア」
ティアの問いに私とツバキが即答で答える。
カフェに着いて恭夜達を探しているとすぐに見つけられたのだが、何故か恭夜が男子生徒と戦闘をしていて、アレンは近くの席に座って紅茶を飲みながらおもしろそうにそれを見ている。
「アレン、これは一体どういう事だ」
私達はアレンの近くの席に座り訪ねる。
「ん?ああ、三人とも今来たんだね」
アレンから簡単に説明を聞くといかにも恭夜らしいと思った。
「不銅無双流 三ノ型 業火」
恭夜はそう言うと真っ直ぐ男子生徒に突っ込んで行き、途中に形勢された岩壁に突きを放つと、岩壁を破壊してその後ろにいた男子生徒の首元で剣先を止め、決着がついた。
決着がつくと男子生徒はすぐに何処かに逃げていき、恭夜は女子生徒と何かを話している。
二人が握手をしているところを見ると自己紹介でもしているのだろう。
とりあえず四人で恭夜達に近付いて行くと、突然恭夜が女子生徒の頭を撫で出す
『恭夜!!』
何故かそれが頭にきて恭夜を叫んだ
<side恭夜>
『恭夜!!』
「うわっ!?」
突然名前を呼ばれて、驚きながら声がした方を見ると、何故か虎とか竜とか獅子とかが後ろに見える程、もの凄い怒気を放射し続けているシルフィードとツバキ、ティア、そして、待たしても必死に笑いを堪えているアレンがいた。
『恭夜!!』
「はいッ!」
今度は更に怒気が混じりながら名前を呼ばれ、俺は生命の危機を感じ、ニアの頭から手を離し咄嗟にその場に正座する。
「はぅ〜〜〜〜」
ニアは怖がって俺の背中にへばり付いている
『ッ!!』
いや、なんでいきなり怒気が三割増しになってるの?
「・・・恭夜、その娘はお前にとって何だ?」
シルフィードは俺の首に双剣を当てながら、完全に目が据わっている顔を接近させる。
こえ〜〜〜〜、シルフィード超怖いんだけど。
「え〜〜と、友達?」
今さっき知り合ったばかりだけど自己紹介したし、握手もしたから友達でいいよな?
「なら、なんでその娘の頭を撫でてたのかな?」
今度はツバキが手裏剣とかクナイを構えながら聞いてくる。
しかも、肉食獣の獲物を狩る時のような目をしている。
えっ?狩られるの?狩られちゃうの俺。
「え〜〜〜と、・・・・・何となくかな?」
「恭夜さんは、何となくで女の子の頭を撫でるんですか?」
今度はティアが満面の笑みで弓に矢を番えて構える。
怖い、怖すぎるぞ。百点満点の笑顔で怒気を纏っていらっしゃる。おかしい、シルフィードとツバキはまだしも、俺の知ってるティアはこんな事しなかったはずだ。
アレン、助けてくれ
ごめん、無理
アレンにアイコンタクトで助けを願うが即効で断られる。
「はぅ〜〜〜恭夜兄様」
『ッ!?恭夜』
あっ!また怒気が三割増しになった。
それから約3時間後、なんとか三人の怒りを静めることに成功し、みんなにニアを紹介する。
「ニアって言います。クラスは魔法使い(ソーサラー)です。教室は2―1です。よろしくお願いします」
ニアに続いてシルフィード、アレン、ツバキ、ティアの順番で自己紹介していく。
「はぅ、え〜と、恭夜兄様、シルフィード姉様、アレン様、ツバキ様、ティア様」
ニアは一人一人を見ながら、顔と名前を一致させていく。
「むぅ?何故私と恭夜は姉様と兄様なのだ?」
「へぅ?えっと・・・・何となくです」
「う〜〜ん」
「どうしたんだアレン?うんうん唸って」
「ニアって名前どこかで聞いた事が」
そう言って額に手を当てて考えている。
「あっ!確か・・・」
アレンがそう言って前に出る。
「母親が国家衛士隊・六神官の一人にして、12歳にして聖シュバリエ学園に飛び級で合格した異例中の異例の生徒の名前がニア。じゃなかったっけ?」
『なっ!?』
「?」
アレンの話にみんな驚いているが、俺は何がなんだか。
「はぅっ!なんでバレたんですか?」
「ちょっと、それ本当なの?」
「うん、たぶんそうだと思うよ」
う〜ん、俺だけ話についてけてないな。
「なぁ、シルフィード」
「むっ、なんだ?」
「国家衛士隊・六神官ってなんだ?」
『はっ?』
今度は俺の言葉でシルフィード以外、呆然としている。
「そういえばそうだったな」
シルフィードは苦笑いしながら言う
「国家衛士隊とは、軍隊よりも入隊するのは難しく、一人一人の実力は軍隊なら大佐以上のレベルで、国王の親衛隊のような物だ。その中で頂点に立つのが六神官なのだ」
「あ〜、なるほどね」
「後知らないと思うから言っておくが、この学園の入学試験合格平均年齢は15歳だ」
「あ〜、つまり、ニアはエリート中のエリートって事?」
「まぁ、そんなところだな」
「恭夜って、ホントに何にも知らないだね」
ツバキが呆れた顔で言う
「うるせ――――――」




