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日本最強の剣聖は転生した異世界で孫娘(仮)を困らせる  作者: 銀色商会


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王城・会議室にて 王国side

毎日21時更新を目指して頑張ります!


前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。

https://ncode.syosetu.com/n1432mb/

是非ご覧ください。

「何を考えてあんな馬鹿なことをしたんだい?」

静かな声が王城の小さな会議室に響く。

優し気に声をかけたのは次期国王となる王太子マクスウエル・エセル・ダルハートであり、震えながら俯くのは第二王子アロンド・ダルハート。


ジェスター侯爵家でフローリアが衝撃の事実を知らせているころ、会議室には国王フリードリッヒ・エセル・ダルハート、王妃シュレイナ・ダルハート、王太子、第二王子、そしてカーライル、アングファ、シーウェス、コレイル、アシュケルのジェスター家を除く6大侯爵家の当主たちがそろっていた。


「何を言うのです、マクスウエル!弟の真の愛を祝福してやれないのですか?」

王妃が耳障りな甲高い声で叫ぶ。第二王子は黙ったままだ。


「お静かに願えませんか、母上?エセルの称号を持つ者が聞き取りをしているところなのですが?」

憎々しげに我が子である王太子を睨みつけながら黙り込む王妃。


エセル(聞く者)の称号。国王や王太子など国として必要なことを聞く権利、すなわち国の実験を握るものの称号だ。歴代最年少でエセルの称号を受けた王太子。一方エセルの称号を受けられる王妃。この場の力関係は決まっていた。


「そろいもそろって本当に愚かだな」

王太子の視線は自分を睨みつける母、俯いてこちらを見ない第二王子、そして尊大にふんぞり返るシーウェス家の当主をめぐる。


「それはどういうことでしょうな?」

王妃の兄であり国軍を率いる軍務卿を務めるシーウェス侯爵が半笑いでこちらを見る。


ため息をつきたい気持ちを抑えて王太子が応える。

「ジェスター前侯爵とフローリア嬢への襲撃事件を私が把握していないとでも思っているのか?シーウェス侯爵、私はあなたにも何を考えているのか聞きたいのだがね?」


「ふん、恐れ多くも第二王子殿下の意に添わぬ娘と、長年王家の懸念となっている貴族など潰してしまうのがあたりまえではないか!」

机を叩いて勢いよく立ち上がるシーウェス侯爵。


「潰すなら完璧に潰してみせよ。前侯爵もフローリア嬢も無傷、100人の盗賊団のうち50人はとっくにジェスター侯爵領で口を割らせられてるよ」

「は?」

立ち上がったシーウェス侯爵から勢いが無くなる。

「全員死亡では?生き残りがいたなどと聞いておりません!」

「襲撃の際に50人は死亡。残り50人は前侯爵がわざと逃がしたが現侯爵の隠密部隊がそのまま尾行して根こそぎ捉えられてるよ。大体、あの二人を殺してどうするつもりだったの?」


王太子殿下が一息つく。

「あの二人を殺したところで表向き炎属性と言われているが実際は全属性持ちの現侯爵も、回復魔法の達人である夫人も、最強の軍隊も精鋭の騎士団も全部健在。まともにやりあったところで王国が勝てると思ってるの?」


「王国軍は全軍併せて6万。ジェスター侯爵軍は4万だが日頃から魔獣や近隣諸国との実戦で鍛え抜かれた最強軍隊。騎士団は全員2000だが全員魔法と武器が使える精鋭。おまけに武器も侯爵領で生産される最新兵器だ。数が多いだけでろくな訓練もしない国軍、武器を買う金はお前の懐に入っているだけだろう。馬鹿が!」

吐き捨てるように言った王太子の鋭い視線にシーウェス侯爵が力なく座り込む。


「最悪なことに帝国に留学させていた次期侯爵も呼び戻している。あいつは父親の全属性魔法と母親の回復魔法、祖父である前侯爵の剣技と祖母の領地運営能力まで併せ持つ神童だぞ!おまけに帝国に留学して帝国皇女様と親密な関係にあるらしい。挙句にあのボクデン・ツカハラという怪物。一体どうするつもりだ!」

王太子殿下の勢いが止まらない。


「弟ほどではないが剣技と魔法に優れ、領地経営は弟をしのぐフローリア嬢をお前の妻に迎えれば、阿呆のお前を補って十分だし、ジェスター家から人質も取れると思ったのに」

王太子殿下は第二王子殿下に向かって話しながら、がっくりと肩を落とした。


「愚か者どものせいで全てが水の泡になってしまった・・・。これが母と弟、そして伯父だと言うのだから笑えぬ」

「いや待て、王太子よ。お前の言いたいことは分かるが、先ほどの騒ぎの後の会議では余自らジェスター侯爵に婚約の継続を願い出た。王家から許しを請うようなまねはしたくないが、しかたあるまい」

国王陛下が告げるとため息をつきながら王太子殿下が応える。


「その席で王妃様は婚約の破棄と真実の愛とやらの継続を認めろと迫ったようですが?もっとも全て無駄だと思いますが」

既に母とすら呼ばなくなっている。

そっと懐から一通の手紙を取り出す。


「なんじゃ、それは?」

「陛下、これはジェスター侯爵から届いた正式な婚約破棄、それと慰謝料請求の通知です。ご丁寧にも慰謝料は王妃様でもシーウェス侯爵の負担でも構わないと書いてますよ。全て知っていると念押しですね」

もはや自棄になった半笑いで王太子が告げた。


「いや、それは慰謝料で治めてやろうということではないですかね?」

近衛師団を預かるカーライル侯爵が口をはさむ。この男は軍閥としてシーウェス侯爵家と近い関係だ。


「あるいはそう思わせて時間を稼ぎ、何らかの準備を整えるか・・・」

つぶやくように言ったのは宰相のコレイル侯爵。


「戦ということでしょうか?ジェスター家からの税収が途絶えると困ったことになります」

財務卿のアングファ侯爵が太った体を揺らして額の汗を拭いている。


「アシュケル侯爵はどう思う?」

王太子は発言していないアシュケル侯爵に話しを振る。


「そうですなぁ。当家は商売の家で政治には参加しておりませんのでお話しを伺っておりましたが」

一息ついて飲み物を飲んで続ける。

「最悪と言ってよろしいかと。ジェスター侯爵領はあの領地だけで成り立つように既に確立しております。小さな国と言っても過言ではない。我が家でも商売で入り込めないほどの商家と帝国の結びつきもございます。私がジェスター侯爵なら独立してしまいますね」

無責任に言い放った。


静まり返る会議室。

「そんな・・・、どうしたら・・・」

誰かがつぶやく。

会議は踊る、されど進まず。

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ご批判は豆腐メンタルなのでほどほどでお願いします。

誤字ありましたらお知らせいただけると泣いて喜びます。

また次のお話しでお会いしましょう。

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