王都タウンハウスにて
毎日21時更新を目指して頑張ります!
前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
「実に気に入らぬ」
馬車に乗って早々にそうつぶやいたボクデン様は珍しく不機嫌そうに窓の外を見ていた。
騎士たちを追い込む時ですら優しい笑顔なのに。
石畳の上をカラカラと音を上げて馬車は進む。
「あの、おじい様?」
「おぉ、すまぬな。少々考え事をしておった。」
少し不安になって声をかけた私にいつもの笑顔を向けるボクデン様。
だがすぐに厳しい顔に戻りこう告げる。
「あまり面白くない状況のようじゃ。皆が戻ったところで話しをしようかの」
また過ぎに笑顔に戻るとカカと笑いながらこう言った。
「まぁ、いざとなれば全て切り捨ててしまえばよい」
全て台無しである。
我が家のタウンハウスは他の侯爵家と違い少し王城からは離れているが、それでも20分程度で到着する。
門の横には騎士が警護に立っている。いつもより少し物々しい雰囲気?
馬車が門をくぐり玄関口にゆっくりと止まる。
「姉上!」
「あら、ライアン。起き上がれるようになったの?」
私の2歳下の弟で次期侯爵のライアンが駆け寄ってくる。今は帝国へ留学中で私の卒業に合わせて一時帰宅中。
本当は卒業パーティーにも来たがってたのだけれど。
ボクデン様に目を付けられ、地獄の特訓により動けなくなってしまった。
「先ほど先触れが戻ってきて大まかには話しを聞きました。大丈夫なのですか?僕があのボンクラ王子を切ってきましょうか?」
いつからこうなった!私のかわいい弟を返せ!
隣のボクデン様を睨むと「その意気やよし!」
・・・まったく気にしてないし。
「フローリアちゃん!」
おばあ様が駆け寄ってきて私を抱きしめてくれる。
「あっ・・・」
涙がこぼれた。ボクデン様のおかげでそれどころではなかったけど。
やっぱり私は悲しかったのだ。10歳で同い年の第二王子殿下と婚約して8年。
成り上がりの家だの、他のご令嬢の方がだのと言われても耐えてきた。
相手がボンクラすぎて何を言っても通じず。側近たちは第二王子をおだてるだけで諫めもせず。そのうち第二王子をおだてて利益をむさぼる側近たちからは邪魔にされだした。
それでも、そのすべてに耐えてきた。
それが全て無駄だったのだ。
「大丈夫よ、あなたは何も間違ってない。後はお父様とおじい様、それとボクデン様にお任せなさい」
おばあ様が優しく抱きしめながら頭をなでてくれたのだが。
「おばあ様、ボクデン様にお任せするのは避けたいところです」
涙が引っ込んだ。
部屋に戻り着替えが終わったころにライアンがドアをノックした。
「姉上、ちょっといい?」
「どうぞ」
私が応えると侍女のメアリがドアを開けてくれる。
私の部屋に入りソファに座ったライアンは少し迷うようなそぶりを見せながら話し始めた。
「姉上、さっき母上からパーティーでの出来事を聞いたんだけど」
迷いを振り切るように私の目を見る。
「国王陛下の様子がおかしかったと聞いたんだけど、姉上はどう感じた?」
お母様もおかしいと感じた?
侯爵家を裏で長年支え、「真実を見抜く目を持つ」と言われたおばあ様が鍛えぬいて自分以上と言われているお母様が私と同じようにおかしいと感じている。
私が答える前に弟が続ける。
「やっぱり姉上も感じたんだね。そうか・・・」
私の雰囲気から察したのだろう、そう言ってしばらく考え込んでいる。
「実は今回の一時帰宅は姉上の卒業祝いだけじゃなくてね、ちょっと調べたいことがあって帰ってきたんだ。今回の陛下の行動の原因か分からないんだけど。おかしなことがあってね。」
メアリがお茶をもって入ってきたからか、一旦言葉を区切る。メアリの退室を待って続ける。
「うちの侯爵家の歴史がおかしいんだ。一般的に国で習うものと当家で保管しているもの、留学先の帝国にある世界標準の歴史がほんの少しずつ違ってるんだ」
「うーん、1200年も前からの話しよ?違っててもおかしくないんじゃない?」
正直、読み物なら面白いかもしれないが歴史なんて正確には分からないんじゃない?
「うん、僕も最初はそう思った。でもね差異がある場所は帝国、王国、当家、3つ必ず違うんだよ。2つは共通で1つだけ違う場所はないんだ。だからそれを書き出してみたんだけど、何かを隠すために歴史を書き換えたんじゃないかって思うようになったんだ」
は?何を言い出す?
「このことで父上に手紙を書いたら、今後はこの件を手紙に書くな、姉上の卒業タイミングで一時帰国するようにって」
「お父様が?」
お父様は超合理主義者で優秀。一部には悪魔の頭脳なんて言われて恐れられてる人。
そんなお父様が息子に緘口令を申し付けた。
そして国王陛下のおかしな態度。
一体何が起こってるの?
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また次のお話しでお会いしましょう。




