卒業パーティーにて、再び
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前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
「どうか、どうかお待ちください、ボクデン殿!」
お父様の焦る声により現実に戻ってきた。いや、戻ってきたくなかったんだが。
あの盗賊襲撃事件の後、おじい様(こっちは本当のおじい様でしてよ)の判断によりボクデン様は当家にお越しいただいた。
はっきり言えばあんな化け物を世に放っておくわけにはいかないということなのだが。
お越しいただいたのは良いのだが。
はっきり言って大変なことになった。
一番の被害者は私。ボクデン様は自称祖父と言い張りおじいちゃんと呼ぶように強要してきた。
ボクデン様と呼んで抵抗していたがおばあ様(当家の真の支配者)とお母様(当家のナンバー2)の「ボクデン様もお寂しいのねぇ。フローリアちゃん、おじい様と呼んであげなさいな」の一言によりあえなく陥落。
被害は拡大の一途を辿った。
当家の騎士団は私を守るのに実力不足としてボクデン様の地獄の特訓が実施された。
もともと精鋭、最強と言われていた騎士団はもはや人外へ向かって真っ逆さま。
私の護衛も兼ねていた侍女のメアリと執事見習のカルロに至っては・・・。
ボクデン様の「お付きの者がその程度で良いと思っておるのか?」の一言に私への忠誠心マックスの二人は自ら地獄へ向かうことを志願。
たった半年で別人になっていた。あぁ、私の癒しがぁ。
盗賊襲撃事件を見ていない父、現侯爵フランツ・ジェスターはボクデン様の実力を判断できずにいたようだが騎士団の訓練を見て考えを変えた。
前侯爵の言う通りボクデン様を放っておくのは危険だと判断。
あの事件を見ていない人間の中で最も正確にボクデン様の実力を認識しているのはお父様だろう。
ゆえに現在のパーティー会場にてお父様はボクデン様の腰にしがみついている。
「お待ちくださいぃ!」
ダンディ、最強騎士団を率いる辺境の雄、攻撃魔法の第一人者。
確かにお父様は魔法の専門家であって剣士ではない。
だがお父様は身体強化魔法だって一流だ。
そのお父様がしがみついても涼しい顔で歩むボクデン様。
お父様ですら止められず必死にボクデン様にしがみついている様子に第二アホ王子と取り巻きすら急に黙った。
いや、愛人男爵令嬢だけはなんか騒いでるけど。
王家護衛の騎士団が今更動き出そうとしたその時。
「静まれぇい!」
フリードリッヒ・エセル・ダルハート国王陛下の一喝が鳴り響いた。
「父上!」
「黙れと言っておるのだ」
助け船が出ると思ったのか嬉しそうに陛下に声を上げたアホ王子を静かに睨みつける。
「貴様らの処分は後回しだ」
うわ~処分って言っちゃったよ。判断が異常に早いなぁ。
「フローリア嬢、愚息がすまぬな。愚か者どもの話しは追って侯爵といたす故しばし待ってくれぬか?」
「かしこまりました」
他に言えないよねぇ~。なんか陛下は顔色悪いし、焦ってるっぽいし。
「さて、そこな剣士殿。余はこの国の王フリードリッヒ・エセル・ダルハートである。日ノ本の剣士殿とお見受けするがいかがか?」
「いかにも、某は塚原卜伝と申す日ノ本の武芸者にございます。そしてフローリアの祖父にございます」
ギャッー、こんなとこで何を言ってくれる!
冗談はさておき、なんかおかしい。
陛下の「ヒノモト」というお言葉は「日ノ本」と言っているように聞こえる。
「ほう、フローリア嬢の祖父殿か。此度の騒ぎは余の不徳の致すところ。必ず貴殿の納得いくよう差配する故、ここは一度引いてくださらぬか?フローリア嬢に良きように図ろう」
ボクデン様の祖父発言を気にもせず、陛下がお話しになっている。言葉を選んでいる?
「ふむ。国王陛下の仰せとあらば引くしかありませんな」
ボクデン殿が歩みを止める。
お父様が崩れ落ちる。哀れ。
「皆の者、この度は愚息どもが諸君らの晴れの門出の場を汚し申し訳ない。この場で謝罪しよう」
列席者全員が息をのむ。陛下が謝罪した?異常事態だ。
「王家の責任の下、改めて卒業パーティーを開催しよう。そこまで待てぬ者には迷惑料を、待ってくれる者には就職先や移動先へ説明文書を王家より出す」
破格の申し出であろう。
「ジェスター侯爵、それと学校関係者は今から別室にて会議を行う。それ以外の生徒は学校側に任せて良いか?」
「かしこまりました」
お父様と学院長が陛下に答えた。学院長は担当教諭たちに指示を出していく。
騒ぎを起こした第二王子殿下とその取り巻き&愛人男爵令嬢は近衛騎士に連れていかれた。
私はお父様と一緒に来ていたお母様と合流し、ボクデン様を連れて退席する。
迎えの馬車に乗った後、窓の外を見ながらボクデン様がつぶやいた。
「あぁ収めてくるとはのぅ、実に気に入らぬ」
ボクデン様の目が剣呑な光を帯びていた。
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また次のお話しでお会いしましょう。




