領主館・領主執務室にて ジェスター侯爵side
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前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
「侯爵殿はそういう落としどころになされたか・・・」
皆が私の指示で動き出した日の夜、私とボクデン殿は執務室で酒を飲みながら話しをしていた。
「国王の前で王国は信用に値せずと啖呵を切っておったからのう。正直、完全に独立して王国を見限ると思っておったのだがな?」
ボクデン殿は私の判断の真意が知りたいのだろう。
「血濡れの太刀を携えて戦場をかけること幾星霜。恥辱にまみれようと後の子のため」
「ん?初代殿の言葉じゃな?」
「ええ、ボクデン殿に読み解いていただいた初代様の書き残されたお言葉です。初代様が我慢し、その後の先祖たちがそれを守ったから王国1200年の歴史がある。当家の我慢の上に成り立つ平和であることを無視されたのは腹立たしい限りですが、民のために我慢することは初代様からの伝統かと思いましてね」
カランとグラスの中の氷が音をたてる。
「かといって何も無しと言う訳にもいかない。公国という形で半独立ぐらいはしないと祖先の頑張りに報いることができませんから」
ゆっくりとグラスの酒をあおる。
「結局、巻き込まれて難儀するのはいつも力無き民草じゃからな」
「ええ。この方法なら多少の混乱はあっても王国全体の動乱にはならないでしょう。問題はアホどもがどの程度の戦力を有しているか。王国としてどの程度の勢力が出せるか。そして我々がそれを平定できるかですね」
ボクデン殿も静かに酒を飲む。
「侯爵殿はどの程度の戦力になるとお考えか?」
「王国全体で近衛騎士は数百程度、兵士が6万。そのうちどのくらいが王妃側につくか。まぁ、当家の3000の騎士、4万の兵にかないませんがね」
「ふむ。昼間に訓練の状況を見たが問題あるまい。そもそも4万の軍勢を定期的に訓練できるだけでも大したものじゃが」
「たしかに金もかかりますが、魔獣の脅威から国を守ろうと思えばこれくらいは必要ですから」
「魔の森に展開している兵士を領地に戻せば簡単にカタがつきそうじゃがな」
ニヤリと笑いながらボクデン殿がこちらを見る。食えないお方だ。
「ご存じでしたか」
「表向き4万となっている兵が実は6万で、2万づつ3交代で魔の森に入り防衛にあたっていることかね?それとも隣接する他の領地に入り込もうとする魔獣を事前に狩っていることかね?」
「そこまでご存じならその兵は今回の戦に使えないこともご理解いただけていると思いますが?」
「じゃが、隣接する他領地は敵方についている貴族じゃろ?そこの防衛を止めるだけで敵方の数は減らせると思うがね?」
「隣接する他領地は表向きシーウェス家、カーライル家についていることになってますが、実際はとっくの昔から当家の傘下ですよ」
グラスの酒が無くなってしまった、今日は少し飲みすぎかな?
「遠くでふんぞり返るアホより近くで守ってくれる家に付きたいのはあたりまえじゃな」
「ええ、表向きにそうすると面倒なので誤魔化してきましたがね。今回は表替えって当家の公国に参加予定ですよ」
「知らぬ間に領土が減るとはの。王家が気がつく頃には大勢は決しておるか」
「税は取るが防衛はお前らがやれでは誰もついてきませんよ」
「ふふん、そりゃそうじゃ。で?新しい公国の名前は決まっておるのですかな?」
「ええ、国の名は・・・」
夜がふけていく。
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