領地と王都を結ぶ街道にて
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前作「ボーっとしている王太子殿下と婚約した侯爵令嬢は苦労する」も公開中です。
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是非ご覧ください。
あれは半年ほど前のこと。
私は貴族学院の夏季休暇を領地で過ごし、新学期に間に合うように王都へ戻る道中だった。
大型馬車が2台と数名の護衛騎士。
1台の馬車には私と前侯爵であるおじい様ゲオルグ・ジェスターの二人。
もう一台には私の侍女のメアリと執事見習のカルロが乗っていた。
馬車は野営の際に中で寝られるように大型だ。
最も馬車の中で寝るのは私と侍女のメアリだけ。
おじい様も護衛騎士たちと野営していた。
ジェスター家はもともと辺境伯家。
なんでも初代様はヒノモトからきた剣士だったそうで子孫の私たちまで黒髪、黒目。
我が王国を含むいくつかの国では、時折ヒノモトというところで生きていた記憶を持つ者が生まれるときがあるが、ヒノモトの民は黒髪黒目だそうな。
初代様は記憶をもって生まれたのではなく、ヒノモトから流れ着いたと言われているが本当かどうかは定かではない。
ただ、このヒノモトがらみの人は剣士、魔法使いとして優秀な人も多い。
初代様もその武勇をもって1200年続く王国の建国にかかわった功労者だそうな。
その割に辺境の地に飛ばされ、およそ100年前に国境を維持し魔獣から国を長年守り抜いた功績により侯爵に叙されるまで伯爵位だったのは謎なんだが。
まぁ侯爵と言っても長い歴史を持つ王国において最近なったばかりだから、6大侯爵家なんて言われていても成り上がり者扱いされている。
そんな家柄だから全員それなりに武器が扱える。
騎士団にいたっては王国一とまで言われているのだ。
一見平和に見える王国内だが今でも魔獣や他国からの脅威はなくなっていない。
我が騎士団はその侵攻を食い止めるため実戦経験も豊富。
ゆえに簡単に大人数を私の警護に使うわけにはいかない。
まして王都へ向かう道は普段商人も使う安全なルート。
問題ないと少人数での移動としたのだが、これが仇となった。
夕方に差し掛かり空が赤く染まるころ、街道に整備されている野営場にまもなく到着するというころ、街道に一本のロープが張られているのが見えた。
「敵襲!」
さすがは我が騎士団。
すぐに異変に気付き警戒の声を上げる。
叫びながら馬を止める護衛騎士、馬車もうまく泊まることが出来、木の間に張られたロープで御者が怪我することは無かったが、街道両横の林から盗賊が現れた。
その数は100人を超えていた。
おかしい。
今時こんな大規模な盗賊団があるなんて。
普通、10人程度、多くても20人を超えることはない。
その程度の人数なら、こちらは貴族家で魔法も使えるし対処可能と考えていたのに。
「ぬかったわい」
おじい様が剣を抜きながらつぶやく。
盗賊の様子がおかしい。叫ぶでもなく、やけに装備がいい。
「どこぞの馬鹿が糸を引いておるのぉ」
おじい様の話しを聞きながら私も剣を抜き魔法の用意をする。
「フローリア、分かっておるな?」
「はい」
おじい様の問いかけに答える。貴族の娘が盗賊に囚われればどうなるか。
自害する覚悟も固め、簡単に死んでやるものかとさらに魔法を練り上げる。
盗賊も緊張している。
いくら装備が良かろうが多勢であろうがこちらは武勇でなる家。最強の騎士団。
せめて油断の一つもしてくれればよいものを。
そう思ったとき。
私たちの背後をふさいでいた盗賊の一人が縦に真っ二つになった。
え?何が起きたの?
「ほっほっほっ、お困りかな?」
縦に真っ二つになった盗賊の横を返り血を浴びることもなく、ただ血濡れの剣を片手に小柄な老人がこちらに歩いてきた。
まさかこの老人の手により、この地が地獄となるなどこの時は予想もしていなかった。
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